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感染者の牙  作者: 岡田健八郎
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異変

「先生方は至急職員室へお集まりください。繰り返します。」

教頭先生の声だ。

「じゃ、職員室へ行くから席で待ってろ。」

黒木大輝はそう言って、教室を出た。その直後1組の竹田優が2組に来た。

「自分の教室へ戻って」

立花裕香が注意したが、竹田がそのまま信二のもとへ寄った。

「信二。何の会議だと思う」

竹田が信二に質問した。信二は答えるのを面倒くさがった。代わりに紘輝が答えた。

「学校閉鎖するんじゃね?俺達の学校は3年と1年は5クラスしかないし、2年は4クラスしかない。

3年は5組と3組がインフルエンザで学級閉鎖。1年は1組と2組と4組だ。」

信二は学校閉鎖に期待した。そうすれば家でゆっくり眠れる。

「学校閉鎖がいいと思う。ミスター心臓病」

信二はものすごい皮肉を言った。竹田はむっとした。

「ふん!どうせ俺はチビで弱い雑魚ですよ!」

「本気にするなよ。優」

紘輝は言った。すると、スピーカーから

「全校生徒に告げます。すみやかに教室に戻り担任が来るまで待機するように。繰り返します・・・」

それを聞いた立花が「自分の教室に戻って」と冷静な声で言った。

「はいはい。戻ります」

竹田は戻った。本格的に学校閉鎖だな。信二をそう願った。担任の川口先生が来た。

「皆、大事な話だ。よく聞いてくれ。・・・上田は?」

川口先生が上田がいない事に気づいた。

「休みでは?」

ソフィーが答えた。

「いや、連絡を受けていない。あいつのことだから来るはずだが」

ドアが開く音がした。上田だ。しかし全員上田の姿を見て驚いた。

「血まみれじゃないか!」

川口先生が上田に駆け寄った。顔が下がってて見えないが、首筋に噛まれた傷があった。

「やばい!立花、黒木先生を連れて来い!女の方な!」

川口先生が立花に指示を出した。無口の立花はうなずいて駆け足で廊下に出た。

「上田、顔を上げろ」

川口先生はそう言って、上田の顔を両手で上げさせた。

上田の顔を見たとき、川口先生は我が目を疑った。上田の目が真っ黒だった。さらに口は鮫の如く鋭い歯が並んでいた。そして上田は人間が発するとは思えない、怪物的な奇声をあげながら川口先生の首筋を噛み付いた。

「ぐわあああああああああああああ」川口先生は叫びながら上田を引き離そうともがいていた。床に倒れた。

「何をする!」

野田はすぐに先生を助けに行った。他の生徒はショックで動けなかった。野田は上田の体を後ろから両手で締め付けて、先生から引き離した。それが悪かった。先生の首は引き離した際に食いちぎられた。

先生の首と口から大量の血が吹き出た。後ろから締め付けられた上田は怪物の声をあげながら、もがいてた。生徒たちは生々しい光景を見て、大半は吐き気がしていた。

「1人じゃ無理だ。誰か手伝ってくれ!」

野田は叫んだ。そこではっとした、山田、紘輝、信二、和真が上田を押さえに行った。そこへ、黒木百合や他の先生を連れて、立花が戻ってきた。全員、怪物のような上田の姿と瀕死の川口先生を見て驚愕したが、すぐに上田を取り押さえた。

「川口先生を保健室へ連れて行ってください」黒木百合は先生達を指示した。

「上田を拘束しよう」黒木大輝は言った。中村先生がガムテープを持ってきた。そして上田の両手両足を巻きつけた。先生達は拘束された上田を別の部屋へ川口先生を保健室は連れて行った。


教室は生徒のみが残った。全員、人生で初めて、本物の恐怖を感じた。放心状態の者が多い。信二ははっきりと今までの光景を目に焼き付けていた。ありえない。人が人を食うなんて。まるでゾンビ映画だ。ゾンビ映画をたくさん作るアメリカではなく、日本でこんな事件」が起きるなんて。信二は皮肉を感じた。

犠牲者

生徒:なし

職員:川口


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