親子の再会
「隊長!エアダクトです!」
全員、ダクトを見た。
「こんな所にダクトなんて不自然だ。」
水谷は、確かにダクトの位置に不自然を感じた。
「石神、調査しろ」
石神は、椅子でダクトをあがろうとした。
「待て。短機関銃は邪魔になる。拳銃に変えろ」
石神は、短機関銃を水谷に渡して、拳銃を装備し、胸のフラッシュライトを手持ちに変えた。
「無線を開け」
ダクトは、狭い空間で人1人が匍匐前進でやっと行けるくらいだ。
「石神、どうだ?」
『奥に、冷蔵庫らしい物があります』
「それを確認しろ」
しばらく沈黙が続く。
『試験管が入ってます。3本』
「ラベルは貼ってあるか?」
『はい』
「読め」
『え~と・・・DVO,DVT2,DVT3』
「DVO」
野村が呟いた。
「デモーニョウイルス?」
「今回の事件の原因のウイルスのオリジナルだ」
「つまり?」
「彼女の捕獲ができなくても、血液採取さえできれば任務は達成できる」
『すぐにもど・・・』
「どうした?」
『音が近づいてます』
「音?」
『化け物だ!化け物が近づいてくる!』
「逃げろ!早く戻れ!」
『駄目だ!向こうが早すぎる!』
「諦めるな!」
『来るな!化け物!』
銃声が3発鳴った。拳銃で抵抗したのだろう。
「石神?」
『化け物を撃退しました』
石神が、ダクトから出てきた。
「一体何を見た?」
「化け物です・・・そうとしか表現できない」
化け物?別の怪物がこの学校内に居るのか?
「試験管です。」
野村は震えた手で受け取った。恐怖だ震えてなかった。興奮だった。まるで、長い間欲しがっていた物を手に入れた子供のように興奮していた。
「任務を達成」
全員、理科室の出口へ向かった。
「これで、出れる」
だが、ドアを開けた瞬間に、女子生徒の感染者が、野村に飛び掛った。その際、野村は試験管を落とし、どこかに転がっていった。
「こいつを殺せ!」
野村は、感染者の胴体を押さえながら叫んだ。
だが、水谷達は躊躇った。
「何してる!早く撃ってくれ!」
「隊長!俺には撃てません!」
木馬は叫んだ。
「お・・・俺にも無理だ」
「何を言ってる!?こいつは感染者だ」
石神は、標準を感染者の頭に向けたが、相手は大人ではなく、子供だ。戸惑いを感じた。
「くそ!」
水谷は、感染者を後ろから首を絞めた。
「すまない・・・許してくれ・・・」
そのまま首をへし折った。
「ありがとう」
「お礼は言わないでくれ・・・」
今度は子供を殺してしまった・・・
「試験管は?」
全員、しまっととばかりに探した。
「奥に転がっていったはずだ」
全員、奥にライトを当てた。
1人の少年が試験管を持っていた。
「坊や。それを渡してくれ」
火野は、できるだけ優しく言った。
だが、少年は、銃を恐れて逃げた。
「くそ!追え!」
水谷達は、少年を追った。だが、追った先は階段だった。
「俺と博士は2階。石神は3階。火野は4階、木馬は5階を調べろ!」
「いえ。拳銃をください。私は1階を調べる」
野村が言った。
「博士、でも・・・」
「早く!」
仕方ない。銃を渡した。
「合流地点は職員室前だ!行け!」
全員、それぞれの場所へ行った。
水谷は、2階の隅々を捜索した。
「こちら水谷。2階に居ない。」
『こちら石神!3階は居ません』
『こちら木馬!居ません』
「火野!火野はどうした」
火野は4階の教室の1つ1つを確認した。くそ!少年が居ない!
教室を出た。だが、廊下の真ん中に男子生徒が立っていた。血まみれだ。感染者だな。
「俺は負けないぞ!死んでたまるか!」
感染者が火野に向いた。
だが、その顔を見たとき驚いた。
火野と同姓同名の息子だ!
「くそ!嘘だろ!」
息子はわめき声を上げながら、走ってきた。




