来訪者
是田・・・北校舎から来た。
立花は、迷っていた。
紘輝に今すぐ告白するべきか?あるいは、もうちょっと後でしようか?
偶然コインを見つけた。
そうだ!コインストをしよう!表なら告白。裏なら後で。立花コインストをした。
結果は裏だった。
信一は、北校舎から、誰かが歩いてくるのを確認した。感染者か!
だが、狙撃銃のスコープで見たときは驚愕した。
感染者じゃない!普通の生徒だ!
「皆来てくれ!」
生徒、職員、全員来た。
「あれをどう思う?」
全員、北校舎から感染してない生徒を見て、戸惑いを隠せない。
「そこでとまれ!」
来訪者は止まった。
「信二、確認してくれ」
信一は、自分の拳銃コルト・ガバメントを信二に渡した。
信二は、バリケードの隙間を匍匐全進で通り過ぎて、来訪者の所へ向かった。
体のあらゆる箇所を徹底的に調べた。
だが、傷ひとつない。
「誰かに、血やつばをかけられた?」
来訪者は首を横に振った。
「傷はないし、唾液や血液はかけられてないそうです!」
信二はそう怒鳴った。
「よし、感染してない!連れて来い!」信一はそう言った。
信二は来訪者を2年2組に連れて行った。
生徒達は来訪者を囲んだ。
「どいて、どいて」
百合がコップを持って、来訪者に駆け寄った。
「ココアよ。飲む?」
来訪者は、うなずきもせず、黙ってコップを受け取って、ゆっくり飲み始めた。
「名前は?」
百合は、優しい声で尋ねた。
「ぜ・・・是田」
是田と言う名前だった。
「是田君。どこに隠れてたの?」
是田は震えた声で言った。
「しょ・・・職員室」
全員驚いた。
「ここに来るまで、誰にも会わなかった?」
「うん・・・誰も居なかった。」
信じられない・・・信二はそう思った。
「とにかく、今は休んでね」
是田はココアを飲みほした。
是田は頭痛に襲われていた。
皆には、誰にも会ってないと言ったけど、本当は、大勢の人に会った。
誰かが僕にキスをしたんだ。