友人達の夢2
企業
ヴェルネ社・・・世界的に有名な医療会社。
野田のそんな過去があったのか・・・
「信二、少し1人にしてくれ・・・」
信二は立ち上がり、野田を1人にした。
教室で、鳥円がパソコンで何かしている。ブログの更新かな
「何してる?」
「ネット小説を作ってます。今回の封鎖事件を小説化してるんです。」
題名を見た。
「<大羽中学校封鎖事件>?ださい」
鳥円はむっとした。
「なら、他にいい題名がありますか?」
「感染学校」
「かっこ悪いです」
「スクール・オブ・ザ・デッド」
「きっともう誰かが作ってます」
「感染者」
「ひねりがありません」
もう、これ以上ないぞ。信二は小説を読んでみた。
「これじゃ、小説じゃなくて、新聞だぞ」
「作文は苦手です」
「俺は得意だ。一緒に作ろう」
信二と鳥円は一緒に小説を作り始めた。最初は意見に食い違いがあったが、序所にそれが無くなり、いつの間にか2人とも、楽しんでいた。
「内容は大丈夫だな」
「後は題名ですね。」
「後でじっくり考えよう。」
信二はソフィーを見つけた。ロケットペンダントで写真を見ていた。
「誰が写ってるんだ?」
ソフィーは突然話しかけられて、驚いた。
「しっ信二君!驚いたよ。もう!」
「悪かった・・・で、誰が写ってる?」
ソフィーはロケットペンダントを見ていった。
「両親」
「両親のことが好きなのか?」
ソフィーは首を横に振った。
「そんなに、好きじゃない。」
「なぜ?」
「お母さんは、凄腕弁護士で、家に帰ってくる時間がいつも、遅いの。」
「父さんは?」
「お父さんは、会社の社長で、家にはほとんど帰ってこないの・・・」
「会社って、まさかヴェルネ社か!?」
「そうだよ。知らなかった?」
ヴェルネ社は、今世界が注目している製薬企業で、各国の医療や薬品店にヴェルネ社製の薬品が必ず置いてあるくらいだ。
「何で日本に来たんだっけ?」
「お父さんが、日本支部の様子を見ようと来たの。私は日本に残りたいって言って残ったけど」
そういえば、俺こいつの顔をまともに見てないな。見てみよう。
ポニーテールの金色の豊かな髪が、無造作に背中に落ちていて、やさしい顔立ちだった。そこら辺の女子とは違って、気どらない美しさがあった。
思わず、心を奪われた。
「どうしたの?信二君?」
信二は顔を赤くして、「なんでもない!」と言った。
「???」
ソフィーは首を傾げた。
くっ・・・思わず見とれてしまった。
「信二君?」
「そ・・・そういえば、お前夢とかある?」
「夢?」
「将来の夢」
「あるわよ。もちろん」
あるのか・・・
「好きな人と結婚すること」
結婚か・・・
「きっと叶うぞ。その夢」
信二は、ソフィーの好きな人物が自分だと知らずに答えた
「本当!」
「ああ」
しかし、本当に魅力的な人だ。なぜ俺を友人として受け入れたんだ?
「そういえば、なんでお前俺を友人にしたんだ?女友達は作ってないのか?」
ソフィーは顔を赤くした。
「それは、私を一番最初に話しかけてくれたから」
どういう意味だろう?
「当時の私は、日本語が解らなくて、フランス語しか喋れなかった。でも信二君は、片言の無理のあるフランス語で話しかけてくれた。正直嬉しかった。」
思い出した!こいつが学校に大事なプリントを忘れて帰ったから、届けに行ったんだ!そのとき、丁度塾でフランス語を習ってたからな。
「それに、日本語も教えてくれた。今、日本語が喋れるのは、信二君のおかげだよ。」
て・・・照れるなー!
ん?良く見ると、もう1つロケットペンダントをつけている。家族の写真を収めているペンダントよりずっと高級っぽい。
「もう1つのペンダント誰の写真が入ってる?」
ソフィーの顔が赤くなった。
「だ・・・駄目!秘密!」
「教えてくれよ」
「駄目!」
仕方ない。諦めよう・・・
「じゃあ、見張りに行ってくる」
「うん。いってらっしゃい」
信二は、現実離れしたこの状況で初めて、他人との交流の楽しさを学んだ。
「本当か?」
信一は無線で瀬木と連絡をとっていた。
『ああ!自衛隊が到着した!野村たけしって博士が、SAT隊員を4人連れて、突入するらしい』
野村と言う名前を聞いて、大輝がついにバレタと思った。
「突入の理由は?」
『アイビという女性の捜索だそうだ』
ついに、居場所が判明されたか・・・
「自衛隊の方は?」
『博士から指示が来れば、突入部隊を突入させ、全員射殺するそうだ』
「厄介だな」
『信一!早く俺の屋上に来い。連れは無しでな』
瀬木は無線の周波数を変えた。
大輝は渋い顔をした。なんとしてでも、野村にアイビは渡さないぞ。