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感染者の牙  作者: 岡田健八郎
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初めて知ること

北校舎は真っ暗だった。

信二達は、自分達の教室に待機していた。渡り廊下で見張りをしていた。

信二以外の生徒はほとんど、疲れたのか眠っていた。信二の友人達は眠っていた。


 信二はまず、紘輝の所へ向かった。紘輝は、また祈っていた。

「紘輝、怖いか?」

紘輝は祈りをやめ、質問に答えた。

「怖いさ。」

やはりな。信二はそう思った。

「俺には将来の夢があった。」

「小説家だろ?」

「そうだ。このことを小説にして、出版してやるさ。しばらく寝ている」

紘輝はそう言って、眠り始めた。

「ちょっといい・・・?」

信二は突然話掛けられて、一瞬驚いた。

「何だ・・・立花か・・・」

信二は立花に連れられて、女子トイレに入れられた。

「何のようだ」

「教えて欲しいの」

教えて欲しい?何を?

「一体何を話せばいい?」

「彼の事」

彼?

「彼って誰だ?」

立花は赤面した。

「その・・・紘輝君の事」

紘輝!?あいつの何を言えばいい。

「誕生日とか、好きな食べ物とか、今欲しい物とか、好みなタイプとか・・・後・・・好きな女の子」

ははぁーん。ようは、紘輝のこと・・・・

「あいつに好きな女性はいないし、彼女もいない」

その言葉に立花は安心した。

信二は真意を聞こうと、真面目に立花の顔を見た。

信二は息を飲んだ。

美少女だ。かなりの美女だ。魅力がありすぎる。信二はいままで、面と向かって話すが面倒で、いつも他人の顔を見ていなかった。立花の顔を真面目に見るのも、初めてだ。世の中意外だな。

「そ・・・それで、なぜそんなことを聞く?」

立花は、一瞬考えた。

「昔のお礼がしたくて」

信二は瞬時に嘘だと見抜いた。

「正直に言え」

立花は、息を深く吸って、語り始めた。

「あれは、私が小学3年生の頃。当時の紘輝はかなりの問題児で、いつも悪戯されてた。彼を憎んでさえもいた。ある日、度が過ぎた悪戯を受けて、機嫌を悪くして帰ったの。その時、信号無視した車に轢かれそうになった。その時だったの。」

私は死んでアンドロイドになったとでも言うのか?

「紘輝が、私を助けてくれたの。」

ダアニイイイ!

「私は軽症で済んだけど、彼は意識不明の重症だった。」

じゃあ、紘輝がアンドロイドになったのか。

「最も憎んでいた彼に助けられた。私はしばらく信じられなかった。事故から2ヶ月、彼はやっと目を覚ました。そこで、彼に質問したの。「なぜ、あの時助けたの?」。答えは単純だった。「子猫かと思って反射的にさ」。冗談だと解っていた。でも、あれ以上質問しなかった。」

信二は、真面目に聞いた。

「事故に遭う前までは、彼を憎んでた。消えてしまえばと思った。でも、事故に遭った後は、彼のおかげで今ここに居るんだ、生きられたんだと思うと、感謝の気持ちがいっぱいになって・・・だんだん・・・その・・・」

「好きになってきた。」

立花は顔を赤くした。図星か・・・

「中学生になってから、ずっと彼を想い続けた。生徒会長になったのも、彼にいいとこを見せたくて」

この学校じゃ、どの学年の生徒にも、生徒会長になれる権利がある。

「告白はしようとしなかったのか?」

「恐くて、できなかった。もしもふられたら?もしも嫌われてたら?そう思うとできなくて」

「なら、今日告白したら?」

立花は、これまでに無いほど、顔を赤くした。

「今日のこの状況だ。以外に成功する。それに、あいつ彼女欲しがっていたから」

立花は、希望溢れる顔をした。

「じゃあ、今日するね・・・」

「ああ。健闘を祈る」

「うん!ありがとう!」

立花は本当に嬉しそうにトイレから出た。


 

信二は、今日の立花の交流を通して、他人に興味を出してきた。

友人の夢を聞こう。

まずはソフィーからだ。


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