自衛隊到着
追加登場人物
前原健二・・・陸上自衛隊一等陸佐。現場最高責任者。
坂田龍・・・陸上自衛隊二等陸佐。
新田家摸・・・陸上自衛隊二等陸曹。医学に堪えている。
-学校グランド-
不愉快なヘリコプター音だ。森泉は機嫌を悪くした。指揮権が移ってしまう。だが仕方ない。
「ヘリコプターが着陸する。誘導しろ。」
テントの外では、隊員がヘリコプターを誘導していた。ヘリコプターは4台。幹部レベルの連中が乗ってるのか?時刻はもう午後6時を過ぎていた。ヘリコプター4台とも、グランドのの真ん中に着陸した。中から、迷彩服を着用している自衛官12人と隊員12人が出てきた。その中に白衣を着けている人がいる。あいつが専門家か・・・森泉はそう思った。自衛官の1人が握手してきた。
「私は陸上自衛隊一等陸佐の前田健二だ。現場最高責任者だ。」無愛想の声だ。もう1人握手してきた。
「私は二等陸佐の坂田龍です。前田一等陸佐が万が一の事があった場合、私が最高責任者になります。」丁寧な口調と愛想のいい声だ。
「私は森泉健勝。SATの現場責任者です」一応名乗っておこう。そう思った。
「指揮権は我々に移ります。後はお任せください。SATはもう撤退・・・」
「撤退させないでください。」専門家らしい人物が言ってきた。
「どういうことだ?」前田が質問した。
「隊員全員集めてください。自衛隊もSATも」
森泉は言われた通りに隊員を全員呼び出した。前田も同じく。自衛隊は全員来た。だが、SATは屋上狙撃隊員は来れなかった。
「私は野村たろう。この件の専門家として来ました。」
野村と言うのか。森泉は質問してみた。
「一体何の専門家ですか?」
「ウイルス学です。」
SATは全員驚いた。本当にウイルスの流行だったのか。
「で、どういうウイルスで?」
野村は学校を指差した
「あの中には、ウイルスが流行しています。」
「質問に答えてないぞ。」
「そのウイルスは、今だ公表されていない、いわば新種です。」
これには、自衛隊も驚いた。
「発見したのは、今から12年前のフィリピンです。」
フィリピンか。アメリカかと・・・
「それで、症状は?」自衛隊の1人が質問した。
「狂犬病に酷似しています。ただ、感染対象は霊長類だけです。」
「よかった~。霊長類だけか」自衛隊の1人が安心した。すると他の自衛隊がいった。
「人間も霊長類だぞ」安心した自衛隊がまた不安に襲われた。
野村は説明を続けた。
「接触感染型の伝染病で、発症時間は数分から数日と個人差があります。発症した感染者は殺人衝動を引き起こし、無差別殺戮を行います。つまり狂暴化します。」
どこかのゾンビ映画を思い出す。森泉はそう思った。
「ウイルスは唾液や血液や体液などに含まれています。つまり、感染者の血液や唾液が体内に入れば、即時感染、発症します。」
即時発症か・・・
「残念な事に、今だに抗ウイルス剤が完成していません。つまり、感染者から普通の人には戻れません。」
感染すれば、一巻の終わりだな。だから、外部に感染者が漏れないように封鎖させたのか。
「だから、SAT隊員何人かに同行して、中に突入したいんです。」
「待ってくれ!なぜSATなんだ?自衛隊じゃないのか?」SATの1人が反論した。
「そうだ。野村博士。後数分すれば、第1特殊武器防護隊が来る。そいつらと共に突入すればいいじゃないか」前田が言った。
「この少女を見てください」と言って写真を見せた。
森泉はその写真を見た。美少女だった。
「この子フィルディナンド・アイビ。当時8歳現在20歳です。そして、このウイルスの第1感染者で世界で唯一のオリジナル型感染者。」
森泉は耳を疑った。「オリジナル型?」
「そう。学校に流行しているのは変異型です。ある科学者が、この少女をこの学校に連れてきた可能性があるんです。この学校は元々研究所として建てられる予定でした。でも依頼者が急に学校に変えさせたんです。つまり、この学校には研究室があるはずなんです。そこに彼女が居る可能性があるんです。だから、彼女を捕獲したいんです。」
前田は質問した。
「変異型じゃ駄目なのか?」
「オリジナル型は変異型よりも感染力が強く、感染者も変異型よりもずっと狂暴なんです!変異型は接触感染で、また変異する確率は低いですが、オリジナル型は突然変異する確率が高いです!オリジナル型が変異を起こし、空気感染型になりえます!」
空気感染・・・その言葉は森泉の嫌いな言葉だった。
「もし、オリジナル型が大流行したら、変異型のワクチンが効くと思いますか!?」
沈黙が続いた。
校内のある部屋
何かが這う音がした。