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感染者の牙  作者: 岡田健八郎
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防衛策

追加登場人物

栗山仁くりやまじん・・・3年生の栗山の弟。

手野仲てのなか・・・3年生唯一の非感染者。2組出身

「で、結局どうするのよ?」海咲は皆に聞いた。

「やっぱり、誰かが北校舎に行くしかないな。」野田は言った。

信二は、気分を変えようとテレビをつけた。

『…見てのように、この大羽中学校は警察特殊部隊SATによって大規模な封鎖が行われました。』

全員、テレビに釘付けになった。自分に中学校が映っているからだ。若い女性レポーターが解説を続けている。

『今、まさに校内で大勢の生徒、職員が閉じ込められています。警察側は、封鎖の理由を一切明かしません。』

隠蔽か。

『一説によると、校内にウイルスが流行しているとの事です。専門家に解説してもらいましょう。』

画面の横から、老人が出ていた。いかにも専門家っぽい。

山羽やまはさん。ウイルス説についてどう思いますか?』

『信憑性が低いですね。まず隊員は窓を溶接しました。大体の人は感染者を外に出さないための工作だと思うでしょう。だが、普通ならあんな事はしません。本当に感染なら、とっくに広まっているはずです。それに、感染が学校内に収まっているのは都合が良すぎます。それに人権が…』

うざいおっさんだ。実際に<感染>が広まってるんだよ。

チャンネルを変えても、どの番組もこの学校が報道している。

『・・・さっき、ヘリコプターが屋上に墜落しました!墜落原因はいまだ不明です』

『・・・一体、何が起きているのでしょうか』

『・・・感染の疑いがあります』

『・・・テロの可能性があります』

信二は気を悪くしてテレビを消した。

「で、どうするの?」海咲が聞いた。

「バリケードを作るんだよ」

答えたのは信一だった。

「この校舎の机や椅子で渡り廊下を塞ぐんだ。感染者はこっちに襲撃する際、バリケードに引っかかる。そこを、俺と大輝が銃で狙撃するんだ。」

誰も反論しなかった。大人・・・しかも特殊部隊の意見だ。反論できないだろう。あれ以上の意見を出す自身が無かったからだ。

「反論が無かったら、すぐに実行だ。」

だが、皆不安だった。紘輝と信一が、何人か感染者を殺害したが、向こうには、まだたくさんの感染者が居て、作業中に襲い掛かってくるかもしれない。だが、シャッターを下ろすために北校舎に行くのもリスクが大きすぎる。バリケードを作るしかないか・・・


 バリケード作業が始まった。皆、南校舎の机、椅子を運び、渡り廊下にバリケードにし始めた。信一の数人の職員は、見張りに付いている。

 信二には、1つ気になることがあった。3年生は、誰から感染が始まったかだ。3年生全員が感染してしまった。だが、幸いにも1人だけ、感染から逃れた生徒がいた。手野という人だ。手野は信二の教室の隅で、怯え続けている。信二は、手野に聞くすることにした。

「手野先輩。3年では、誰から感染が始まったか、わかりますか?」

手野は怯えるだけで、答えなかった。待っててもしょうがない。作業に戻るか・・・そう思った矢先、手野が怯えきった声で言った。

「栗山だ…栗山から始まった」

「え?」誰かが動揺した。

「兄さんが・・・兄さんが、感染者になったんですか・・・?」栗山仁だ。俺のクラスメート。

「仁。思い当たる事は無いか?」

「ありません・・・あっ!」

「何かあるのか?」

「そういえば、ネズミを触っちまったとか言ってました。」

なるほど・・・感染ルートはネズミか・・・

「兄さんは、兄さんはどうなりましたか?」

「知らん。見ていない」

信二はそう言って、去った。


 自衛隊輸送ヘリコプター

「到着までの時間は?」

『およそ10分』

「了解」

野村は興奮してきた。ついに彼女が見つかる!大輝が長年隠し続けた彼女が・・・!この時の野村は1秒が1時間に感じられた。


「ついに完成だな」

渡り廊下のバリケードが完成した。所々に隙間があり、匍匐全身すればすり抜けられるが、連中は走ってくる。絶対に抜けられない。抜けても殺せばいい。

信一は、狙撃銃を構えた。

「全員。武器になるものを持っとけ」

言われた通り。皆武器になるものを携行した。テニスのラケット、彫刻等、バトミントンラケット、サッカーボール、まあ、素手よりは、ましだな。紘輝はどこだ?


 紘輝は、この校舎にある美術室で、木造バットに釘を刺していた。なずけて、釘バット。危険極まりない武器だな。



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