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感染者の牙  作者: 岡田健八郎
13/40

無線会話

追加登場人物


伊藤海咲いとうみさき・・・2年2組のリーダー的存在の女子。立花と生徒会長選挙で、1票差で負けた。美少女だが、男勝りの根性と精神を持っている。

信二達の教室は議論が殺到していた。北校舎の感染者の軍団に襲撃されないための対策だった。北校舎の1年生と感染していない職員全員、この校舎に避難していた。

「いっそ、防災シャッターを閉めたら?」

山田が意見をだす。この学校には、渡り廊下も含め、あらゆる所に火災用防災シャッターがある。何人かは賛成した。

「駄目よ。防災シャッターは、火災の発生時にしか作動しないし、それに、制御版は職員室にあるのよ。その職員室は北校舎にあるのよ。つまり、感染者の巣に突入する様な物。」


 そう反論してきた伊藤海咲だった。

「じゃあ、アルコールランプで、火災探知機に近づけて強制的に作動するのはどうだ」野田が言った。

「無理よ」と海咲

「無理じゃない!」

「じゃあ、そのランプはどこににあるの?」


野田ははっとした。


「そう。理科室・・・つまり北校舎よ。感染者がうようよしてる。」


「じゃあ!どうしろと言うんだ!」ついに野田がキレた。


「だから、会議しているじゃない」

野田は反論できなかった。

「そんなにシャッターを下ろしたいなら、誰かが北校舎に行ってくれればいいけどね。どっかの勇者が」


皮肉・・・だよな?男子に対しての。信二はそう思った。

「じゃあ、俺が行くよ」信二は言ってみた。教室内に笑いが込み上げた。皆。笑いのツボ変だな。

「冗談はよせよ。信二。」冗談じゃないのに・・・

「そういうのは、勇者とは言わないは。命知らずの無謀者よ」海咲が言った。さっきは勇者がいればと言ったのに。

「いい?信二君。職員室の制御版でシャッターを下ろしてみなさい?たちまち渡り廊下は閉鎖され、あなたは北校舎に閉じ込められ、感染者の餌食よ。」

確かにそうだ。

「それに、北校舎は屋上を含まないで、6階はあるの。対してこの校舎は4階しかない。渡り廊下は2階と3階しかないの。理科室は6階にあるのよ。まったく感染者と出会わずに無事に帰ってこれる?」

確かに、無理だ。

「じゃあ、大勢で行けばどうだ?」

「誰も行きたがらないわ。職員も含めて全員」

勇気が無い連中だ。

「じゃあ、信一さんに頼んで、屋上に居るSAT隊員に屋上に出してもらえるように説得してもらおうよ」山田の奴、俺の兄貴を利用するのか。

「無理だ。屋上の狙撃手の瀬木は、忠誠心の塊だ。命令に従う男だ。屋上に出てみろ?俺ならともかく、お前らは撃ち殺されるのがオチだ」信一は断言した。

その時、信一の無線が鳴った。

『信一、応答しろ!信一』

瀬木の声だった。

「俺だ」

『良かった。無事だったか!お前の所の屋上にヘリが墜落したから心配だったぜ。今何処に?』

「校内だ。」

『馬鹿!周波数を変えろ!』

信一は、周波数を変えた。

『なぜ、校内に居る!?』

「ヘリコプターがやって来るから、やばいと思って校内に逃げたんだ。同じ隊員が下敷きになっちまったよ。校内に入って正解だったよ」信一は嘘をいった。

しばらく間があった。


『だが、もうすぐ自衛隊が来る。指揮権が自衛隊に移っちまう。そうしたら、お前本当に出れなくなっちまうぞ』

「なら、その前に、屋上に出してくれよ」

『じゃあ、早く来い!お前1人くらいなら大丈夫だ。』

「連れもいる。」

『無理だ!非常事態なんだぞ!校内の一般生徒や教師は、感染の疑いがあるから出せない。解ってくれ』

「非常事態なんか、くそ食らえだ。」

『これは、絶対命令だ!連れを連れてみろ?俺が撃ち殺すからな。1人で来い!連絡はまた後でする』

「瀬木!罪も無い人がどうなってもいいのか!?お前の正義感はどうした?瀬木?瀬木!」

雑音しか流れない。周波数を変えられたな。これだから、忠誠心は面倒だ。信二はそう思った。



 瀬木は苦悩した。信一は本当に弟を連れてくる気か。出してやりたいのは山々でが、もし連れて来たら、俺は弟を撃つ羽目になる。頼む・・・1人で来い。


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