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感染者の牙  作者: 岡田健八郎
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乱闘

「騒ぎが無いな。感染者はもういないのか?」

野田はそう言った。大輝が真実を話してから、かなり時間が経つ。大輝は職員達に真実を話しに言った。

「さあな」信二はデジタル時計に目を走らせる。午後1時23分。まだ昼過ぎだった。鉄板が、学校中の窓に張り付いているせいで、光が遮られて、校内は夜のように暗い。

「とりあえず、弁当でも食うか。」

信二はそう言って、自分のリュックから、弁当箱を取り出した。

「信二・・・よくこの状況で食べれるね・・・」隣のソフィーに呆れ声で言われた。

「だって、腹減ったから」

「信二って、緊張感な・・・」ソフィーが言い終える前に、腹が鳴った。

「お前だって、腹減ってるじゃん。弁当食え。」

「仕方ないかな・・・」ソフィーはそう言って、自分のリュックから弁当箱・・・ではなくカロリーメイトのチョコ味を出した。

「弁当それだけかよ!」

「仕方ないじゃん!ダイエット中だもん」ソフィーはむきになっていた。

ダイエットしなくても、十分痩せているのに・・・それ以上痩せたらガリガリのゾンビになっちゃうじゃないか。仕方ない

「ほらよ」信二は、自分の弁当を差し出した。

「えっ?いいよ!ダイエット中だから」ソフィーは断ろうとした。

「食べないダイエットは効率に悪い。食べたカロリー以上のカロリーを消費するのがいい」

「じゃ・・・じゃあ一口だけ・・・」

ソフィーはそう言って、鳥の唐揚げを1つ取って、口の中にほうり投げた。

「おっ・・・おいしい!」

信二の唐揚げは、食感と舌触りは良く、とても美味しかった。

「じゃあ、カロリーメイトと交換だ」

そう言って、信二は、自分の弁当とカロリーメイトを交換した。

「冷凍食品なの?」

「いや、全部手作りだ。冷凍は嫌いだ。」

「お母さんが作ってるの?」

「自分で、作っている。母さんは、とっくに他界していて、父さんは自衛隊、兄さんは警察に入ってるから、いつも家は1人の時が多い。」

ソフィーは、まずい事を聞いてしまったような気がした。だが、信二の気持ちは誰よりも理解できた。

ソフィーも家では、1人であることが多い。ソフィーは、信二が運命の人ではないかと思った。


 紘輝は、信二とソフィーのやり取りを見ていた。

いいな~、彼女がいる人は・・・俺も彼女欲しい!そのとき、スピーカーから、音声が聞こえた。

『職員の皆さんは、至急3年2組に急行して下さい。繰り返します。職員の皆さんは、至急3年2組に急行してください』


 信二ははっとした。3年2組に何かあったのだ。信二はすぐに、3年2組に向かった。

「待てよ!信二」

野田と鳥円と山田が後に続いた。

「まっ・・・待って!」

ソフィーは信二から貰った弁当を持って後を追った。

「教室に戻って」

立花は、信二たちを連れ戻そうと、追った。紘輝も行こうと思ったが、嫌な気配を感じたのか、部活で使う金属バットを持って信二たちを追った。そんな彼らの後をこっそり付いていく人物がいた。


ーー3年2組教室前ーー


 3年2組の教室では、乱闘が起きていた。生徒達が争っていた。職員達は生徒達を取り押さえようとしていた。

信二たちは着いた。3年生の生徒達の乱闘を観察した。ところどころ、瞳が赤い生徒がいた。

 間違えない。感染者だった。男性感染者の1人が信二の襲い掛かった。信二は、感染者を殴りつけた。殴られた感染者は、今度はソフィーに襲い掛かった。弁当を持っていて手が使えないソフィーは、反射的に、股間を蹴り上げた。感染者は、そのまま倒れ、痙攣を起こしたような仕草をしていた。感染した後も、男の急所は変わらないのか・・・よくやったソフィー。信二は内心そう思った。その時、信二を後ろから感染者が、襲ってきた。やばい!噛まれる!そう思った瞬間、野田が感染者にタックルし、信二を助けた。

「サンキュー野田」

さらに、鳥円、山田も加勢した。

 立花も信二たちの追いついた。だが、そこで起きている乱闘に、ショックを受けた。感染者の1人が立花を襲ってきた。立花は、それを避けたが、別の感染者が両手で立花の首を絞めた。助けを呼ぼうとしても、うめき声しか出なかった。立花は口を大きく開けて、必死に息をしようとした。だが、感染者は凄まじい力で、首を絞めあげた。意識が薄れてきた。立花は、自分の人生の終わりを感じた。


 紘輝が着いた。信二たちや、3年生、職員が感染者と乱闘している。自分も加勢しようとしたが、立花が感染者に首を絞められている。助けなければ。そう思った。だが、別の感染者が紘輝に襲い掛かった。紘輝を素手で殴った。だが、感染者は怯んだ程度で、また襲ってきた。紘輝は、拳、手刀、ヒジ、ヒザで感染者を殴り続けたが、猛攻は止まらなかった。この間にも立花が危ない・・・相手は自分を殺そうしている。正当防衛だ

「神よ。我に力をお与えください」

紘輝は、金属バットに力を入れて、感染者の頭に思いっきり殴った。感染者は倒れ、動かなくなった。

「私の罪をお許しください」

紘輝は立花を絞めている感染者の後頭部をバットで力一杯殴った。頭蓋骨が砕け、肉片が飛び散った。

紘輝はすぐ、倒れている立花に駆け寄った。

「大丈夫か!?」

返事がない。

「しっかりしろ!」

返事がない

紘輝は、ある事を思いついた。ためらっている暇はない。人命がかかってるんだ。

 紘輝は空気を一杯吸った。そして、人工呼吸を行った。何秒たったのだろう。何時間にも感じる。紘輝は、何度も人工呼吸を行った。

 立花が咳き込んだ。生きてた!良かった!

だが、安心しているもつかの間、次々と感染者が襲ってきた。紘輝は、立花を自分の後ろに移動させ、金属バットを構えた。


 「神よ、私達をお守りください」

屋上の信一はついに決心を決めた。

「校内に入れてくれ」

信一は屋上の出入り口を見張る隊員に頼んだ。

「駄目です。校内への立ち入りは禁止です。命令です」

そう言うと思った。信一は狙撃銃PSG-1で隊員を殴って気絶させた。

「悪く思うな。弟のためだ」

こいつが目を覚ましたら、このドアは溶接される。その前に出なくては。

待っていろ。信二

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