八話目「日本のお坊さんが食べない物の話」
ジャペァンは、生活宗教の国です。新年が来たら「神社にお参り」に行き、「年始回り」に行き、無事に年が明けた事をみんなで喜びます。
人が死んだら、大体の場合はお坊さんを呼んでお経をあげてもらって、現代ではセレモニーホール等で仏式の供養をして、お骨をお墓に収めます。
その他に、神道の「厄落とし」の考え方から、日本由来のお祭りから、外国発祥のお祭りまで、色んな「祭」をするのが好きです。
商業商戦としては、クリスマスもハロウィンも取り入れて、次はイースターを狙っているのです。
日本でのバレンタインデーは、輸入された当時の慣習とは異例で、女性が男性に「告白」をする事が許されている日でした。
当時の告白は、男の人が女の人に「一緒に月を見てくれませんか」と申し込むものと言う風習があったはずなので、其処を逆転させた革命的なお祭りだったんですね。
はい。以上は前置きです。
そんな「楽しい祭りだったら大体ウェルカムさ!」と言う、懐が深くダルダルな風習のジャペァンですが。
大体の人は人生の中で仏式の法事に関わったりします。
日本の仏教って言うのは、「神道の中で穢れとされて畏れられていた死の世界」を、浄土だと考えさせることに成功した宗教なのです。
それを取り仕切る僧は何時でも死の近くに居なければならないので、常に身を清らかにしなければならない。
なので、僧となるためには修業が必要で、お経を覚える他に、人生の規律を守ったり、考えの深さを必要とされます。
その一端に、「お坊さんは食べちゃダメ」と言われている食材が幾つかあります。
仏門の者は生き物を殺してはならないので、食材で言うと肉と魚介類と卵と乳製品を食べてはいけません。
植物だって生きてるじゃないか! と言う愚問が、宮沢賢治の時代からあって、僕も長らく、その辺りの線引きを考えたりしていました。
調べてみたら「追いかけて逃げる物は食べちゃダメだ」と言う事だと知り、長年の愚問に決着がつきました。
植物は、可食部を持つ事で、種を動物に運んでもらうと言うシステムの生き物なので、植物にとって可食部を食べられる事は「役目は果たしたぜ」って意味なんです。
追いかけたら逃げる生き物は、「命を取られたくない」と思ってるので、食べてはいけないと言う事。
けど、可愛がって育てたがために、追いかけても逃げなくなった家畜は、食べて良いんでしょうか? と言う新たな愚問が。
食欲で信頼を裏切ってはいけないよね。