四十九話目「暴食を得る二日間」
昨日、クリスマスイブに作るためのホットケーキタワーの材料を探し求めた。
スプレー式の、自動で泡立つホイップクリームが欲しかったのだが、売って無かった。
時期だから品切れなのかな? と思って、ハンドミキサーで泡立てるタイプのクリームを買った。
ハンドミキサーと言っても、「自動で動く電動ハンドミキサー」を想定されているらしい。
しかし、うちには、人間が自力で動かす、百均のハンドミキサー(泡だて器)しかない。
これは…頑張るしか無かろうて。
と思いながら、チョコクリームと普通のホイップクリームを買う。
チョコクリームのほうは砂糖が入っているらしい。ホイップクリームのほうは、別で砂糖を入れるらしい。
グラニュー糖は必要なのだ。
それから、果物の類は、鮮度を気にして、前日くらいまで買って来ない事にした。
作戦であるが。
まず、中型サイズのホットケーキを、出来るだけたくさん焼く。
卵と牛乳を使った、ちゃんとしたホットケーキを作ること。
出来上がったホットケーキは、冷ました後で冷蔵庫で保管する。
次に、クリームを泡立てる。泡立ったものは冷蔵庫で保管する。
次に、果物を切る。
そして、ホットケーキ、ケーキシロップ、チョコソース、果物、クリーム、ホットケーキ、の順番で、タワーを組んで行く。
目標の高さは一リットル牛乳パックと同じくらいが良いな。
タワーにしては低めだが、一気に食べる量としてはそのくらいが良い。
そのように建設されたタワーは、記念写真を撮った後、崩壊させながら食べる。
途中でしょっぱいものが食べたくなるかもしれない。
ポテトチップスでも買っておこう。
飲み物は紅茶。あくまでホットケーキタワーの建設と破壊に力を注ぐので、飲み物で追加カロリーを取ってはならない。
二十四日当日は、ホットケーキタワーの他に、甘い物を食べてはならない。
甘い物に飢えた状態で、大量の甘い物を食べる。なんて素晴らしい。
時間に関しては、二十四日は十八時以降に帰ってくる事になるので、十九時台までにタワーを作り上げて、二十時までには食べよう。
そして二十一時までに完食して証拠を隠滅して、何事もなかったように風呂に入るべし。
そして次の日には、ケンタッキー州風の鶏さんを食べるのだ。
何と言う暴食。何という大食。まさにグラトニーを満足させるためだけの所業。
こんなに罪深い飽食を経験してしまったら…おいらの胃壁さんは持つだろうか。
食べた側から「ねぇ、戻して良い?」と聞かれるのは困る。
戻したら全てが水の泡です。ちゃんと消化しましょうね。