百九十五話目「長い一日」
二千二十五年三月九日。
朝四時台からずっと意識があって、水分も食料もしっかり摂取して、今まで燻ぶらせ続けていたことにも手をつけ始めて。
色々進展した気になってるけど、今はまだ十三時になる所。まだ今日の残り時間がありますねぇ…。
大丈夫です。この後は、しっかりと、作曲作業と言う生みの苦しみを味わいますから。暇がっている時間はありません。
凡俗なるおいどんは、スコアと言うものを読みながら、「ベースってこう言う使い方があるのか」とか、「ドラムってこう言う使い方があるのか」って言うのを、おさらいしています。
おさらいが必要。つまり、今までどんな風に音楽を作っていたのか、忘れたのです。
別の言い方をすると、入力の方法が変わったので、直感で「ここに入力するとこの音が出るはずだ」と言う勘で作る方法が使えなくなったのです。
なので、直感がまた芽生えるようになるまで、ピアノロールエディタをカチカチしては再生する…と言うのを繰り返すことになります。
楽器で作曲する人は、鍵盤の此処を押せばこの音が出るはずだとか、この弦の此処を抑えてピッキングすればこの音が出るはずだとか、そう言うのは分かってると思うんですよ。
そう言った直感的な所は、DAW使いでも似たようなものなのです。慣れているDAWほど扱いやすい。
予めの考えもなく、DAWを替えなきゃならなくなった時が、一番苦しみ足搔きますね。
苦しみ足搔いて、最終的に一年間ほど逃げたんですけど。おいどんは碇の息子さんじゃないから、逃げる時はめっちゃ逃げます。
逃げられるなら逃げろ! 全速力で逃げろ! その間に別の作業をしろ! って言う感じです。そんなわけで一年間小説を書いていました。
十三時十分になりました。入力の感覚はつかんだので、この後は、ドラムとベースでも打ち込みましょう。
あんまり音楽に詳しくない人って、「最初はリズムから作るんでしょ?」って思ってるらしいですけど、そうしなければならないって言うわけでもないのです。
ギターから作る人も居るし、メロディーラインから作る人も居るし、歌詞から作る人も居るし、作りやすい方法で作れば良いんではないでしょうか。
ただ単に、今の僕は、冴えてるメロディーランを考えられるほど、右脳が生き生きしていないのです。
なので、とりあえずリズム隊を作って、コードを鳴らして、なんとなく「きっかけ探し」をしようとしているわけです。
だけど、まず、「秒表示」に成ってしまっているエディタを、「小節表示」に直す所から始めなければなりません。
最初にプログラムを作るときに、「何表示にしますか?」の欄で、「秒」のまま起動しちゃったら、後から変えねばならんのです。
そう言う細々した設定を扱えぬ者は、DTMerには成れないという事なのか…。
DTMerが高じて、ギターでなんか音が弾けるようになろうとかし始めてますしね。
今、家にギターが無かったら、諦めてるだろうけど。諦めないための先行投資を惜しまなかったことに関しては、〇年前のおいどんは偉かったんですよ。
小型だけど、タンスの中にシンセサイザーまであるんですよね。それも、遠くない未来に使う予定です。