番外編
「ペッタン、ペッタン・・・ペッタン♪」
十字軍を名乗る、今や双子になった右脳を受け継いだ方が歌い出した。
「何、どうしたのいったい?」
アンは突然の歌に戸惑いながら問いかけた。付き添いを名乗る女は苦笑いしながら・・・。
「こいつらは貴族で・・・なんと言うか変わってるんだよ」
アンは・・・
「あー、こちらの貴族の・・・戦闘の歌かな?」
「いやぁ・・・」
しばらく沈黙した後に、さらに歌い続けた。
「ペッタン、ペッタン、ツルツルペッタンコ。垂直落下で抵抗無し♪」
アンはその男がこちらを見ていることから察した。
「あーあー、そうだよツルツルだよ、ペッタンコだよ」
「アン、相手にしないで、魔王が目の前にいるんだから」
レイが言うと、今度はレイを見ながら歌い出した。
「顔はいいのにこっちもペッタンコ♪」
顔を真っ赤にしたレイは
「黙れ、さもないと殺す!」
と言ってリリアンをふると男の口を縫い付けた。
「お前らこういう性格なんだな」
ビクテイムは二人を横目で見ながらあきれ顔で立ちあがると聖剣を魔王に向けた。
「だいぶ力が落ちたな、魔王」
「そうだな、そっちのツルツルペッタンコが私を弱らせている。
だがお前はツルツルペッタンコのおかげで力をつけている、のか」
「そのようだ」
ビクテイムは魔王に切りかかったが数太刀のまに腹を串刺しにされた。
「弱っていてもお前は敵ではない。
ここにいる全員を殺して城に帰るぐらいのことはできる」
ビクテイムの傷はアンの力で瞬く間に治っていくのだが勝つ希望は無いのが分かった。
何回か繰り返し腹を刺された後、四つん這いではいよってきたふにゃがこん棒をビクティムに渡した。
ふにゃは言葉を忘れたかのように何も言わずにニッコリと笑って母猫の所に帰っていった。
「懐かしい、レディースの連中は売をやってやがるのか。
たくましく生きてるな」
ビクテイムの頭の中に声が響いてきた。
「こん棒に人が宿っていたのか?!
私に力を貸してくれ」
「お前は舎弟を大事にしてくれたようだからな、それに俺よりも調子にのってるやつは我慢ならん潰してやる」
元暴走族総長の釘バットはビクテイムの手には天使の羽ほどの軽さになって釘はダイヤモンドのように光輝いた。




