番外編
「母さん、毎日こんなことしてるの?」
「なにか問題でも?」
ソアーは信者を治療するビクティムの護衛をするため傍らに座っていた。
「カオスおばさんがテレビとか言うので神を公開処刑してから修道院の周りを変なのがうろついてるよ」
「そしてカオスは日本を離れて神が1人しかいない世界に旅立って行った・・・」
「日本で戦うようなことを言っていた気もするが・・・800万の神と聞いて逃げていったな」
ビクティムがクスクス笑うのを見ながらソアーは目を細めてその意を汲もうとしていた。
「お前もヒールを習え、股広げないで食っていける」
「聖なる光を入れると魔剣が使えなくなるけど、いいの?」
「ああ、この騒動が終わってからだな」
患者の整理をしていたシスターが大きな黒人の男を見上げながら話をしていた。
黒人の男を最後尾に並ばせると、シスターはビクティムのところまで小走りで走ってきて話しかけた。
「あの方が、あなた様とお話がしたいそうです」
「ああかまわない。
しかし、煙突でも掃除していたのか?」
黒人を見たことがないビクティムは笑っていたが、ソアーはその男を見て呟いた。
「あの煙突掃除は聖なる光を宿している」
「天使さま、お目にかかれて光栄です。
私はバチカンから派遣された聖騎士の1人です」
聖騎士を名乗る普段着の服装の男はビクティムの前に手を組んで膝まつき、頭をさげた。
ソアーは母親が天使と呼ばれたことに驚きながら笑いをこらえていたが、ビクティムはこの状況になれていたので顔色も変えなかった。
「そういうのはいいから、
それで何か用かな?
その顔色から察するに、毒、でも飲んだようにも見えるが・・・私には何も感じない」
「いえ、これは生まれつきでして・・・
バチカンの教皇様からあなた様をお守りするよう命を受けております・・・
・・・ですがすでに御強い従者様がおいでのようですが私達もおそばにおいてもらえませんか」
そう言って聖騎士を名乗る男はソアーをちらりと見た。
「お前ではどうかな・・・
ひとつ聞こう、
お前は神が切れるか?」
聖騎士を名乗る男は驚く様子もなく顔を下に向けたまま答えた。
「切れるよう鍛錬を積んで来ました。
もちろん失楽園の悪魔になる神ですが。
・・・日本には400年前魔王がおり、日本における聖騎士である僧兵を根絶やしにしたように聞いております。これによって悪魔と神の均衡がやぶれていつかこのような事が起こると危惧した歴代の教皇様が我々聖騎士を組織したのです」
「これは大したものだ、だが武器がな・・・
これを持ってみろ、そしてソアーの剣も」
ビクティムは魔剣と聖剣を男に渡した。
「お前はどちらの剣を持つ者だ?」
男は剣を持つと瞬時に聖剣で自分を刺し貫いて言った。
「この剣で私を殺すことは出来ません!」
平静を装っていたが男は額に大粒の汗をかいていた。ソアーは口角の上がった悪魔の笑いを浮かべて笑いながら見ていた。そしてビクティムは何食わぬ顔で
「お前は合格だ」
と言い、そして転移前の世界から持ってきたその聖剣を渡した。
「この戦いで悪魔と神の区別は難しい、信じられるのは自分だけだ、迷ったら自分を刺すといい」
ビクテイムは修道院の外で控えていた聖騎士たちを招き入れて、配下に加えた。
「おい水龍、兵隊が増えたぞ。
もっと聖剣が必要だ持ってこい、聖女の婆さんにもらってくればいいだろ」
孤児院で積み木をして遊んでいた水龍は「神使いが荒いな」そう言ってシスターの目を盗んで聖剣を取りに行った。




