番外編
「ウギャアア!」
ビクティムは聖剣で新入りを切った。
と言うより殴るように打ち付けた。
そうすると新入りの背中から飛び出た腕が聖剣をつかんだ。
「出た、本体だ」
ぬいぐるみを脱ぐように新入りから出てきた神は長い金髪の髪をした女の見た目をしており、ビクティムを珍しそうに眺めていた。
「天使か、いや、戻り天使なのか。これは珍妙な」
「お前は神だが、やがて魔に堕ちる者だ。
我らはここですれ違うのだ」
「自分の運命を悟っているのか・・・いいだろう、お互いの存立を試して見る必要がある」
シスターは割って入って言った。
「やめてください、お仲間ではないですか」
神と名指しされた女は「肉体の欲求に打ち勝った者と溺れていく者のさだめだ」と言いシスターを蹴飛ばした。
シスターは息が出来ずもがき苦しんだ。
ビクティムがシスターの傷みをやわらげる姿をみて神は言った「光の一点である最上位神から神剣を受け取りその守護天使になり、その子らに支持される存在になったと言うのか」
「説明ありがとう。
神の子は殺せなかったが・・・神の殺しかたは気が遠くなる年月を使って研究し、そして、知ってるつもりだ」
ビクティムは神の、正確には神からはぐれた神を聖剣で打ち殺した。
消える実体を見ながら「聖剣を掴んだ時点でお前は神では無かったのかもしれない」そう言いながら取りつかれていた女とシスターを両脇に抱えて修道院に帰った。
修道院の前に大きなリムジンが停めてあり、ビクテイムが通りかかるとクラクションが鳴った。
車のドアが開くと首輪をつけた四つんばいの男と秘書の女を従えた懐かしいカオスが降りてきた。
「おいビクティムこれからその二人と盛り上がるのか?」
「カオス、久しぶりだな。
しかしなんだ、社長とか言ってたのをそう言う扱いしていいのか?」
「こいつの自由意思だ」
秘書のミキが「カオス様、次の収録までお時間があまりございません」と言うのを聞いてもカオスはゆっくりと続けた。
「ヨーロッパ、とか言うのはあらかた制覇したぜ。
日本をやっつけて今度はアメリカだ・・・お前は、何やってんだ?」
「慈善活動ってやつだ」
「そうか、今日わざわざ来たのはちょいと知らせたいことがあってな。
それは・・・まあお前と神の戦いを見てたんだが、その神だ。
あいつらがいちいち邪魔してきやがる」
「ああ、だがこのなまくら聖剣で狩れる。
問題ないと私は考えている」
「さっさと魔界に落ちればいいものをまだ現世に未練のある連中だ」
そこに水龍が現れた。
「神殺しとは・・・だが聖剣で切れるならもう神とは言えないだろう」
「フフフッ、そう思うか。
そうだよな」
「で、どれくらいいるんだ?」
「800万はいる・・・と言われている」
「800万?!
お前はどっちだ」
「戦友を裏切らんよ。
それに800万すべてが敵ではない」
カオスはその数に呆然としながらも「一神教はありがたい、あたしはそっちを担当するよ」と言ってリムジンに乗った。
「おっとお土産をわすれていた。
ヨーロッパの田舎で見つけたんだ」
カオスは布で何重にもくるまれた剣をビクティムに投げて渡した。
「これは懐かしい、魔剣か。
いいのか、お前はどうする?」
「もう一本あるぞ」
そう言ってリムジンは走り去った。
「おい水龍、お前も兵隊を集めろ。
できれば力の強い向こうの世界から」
「こっちに来るかな?」




