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プチヒーラー  作者: テクマ
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番外編

「ビクティム様、こちらのお召し物をお使いください」


「これでいいよ」


「ハロウィンも終わりますし、それでは露出が・・・」


「そうか」


ビクティムは知らない町に馴染むため渡された服をしぶしぶ受け取った。


「バザーで余ったのですが似合うと思います」


パンツと襟のある細身のシャツはサキュバスには少し窮屈だがマントをとって着ることにした。

ビクティムはシスターが持つシャツに背を向けて袖を通した。


「背中に怪我をされてますか?」


シスターが羽の後を指差して言った。


「もともと羽があったのだ、いま生やすことは出来るのだが服がきれないと困る」


シスターは『聖人様かと思っていたが、天使様だったのか』そう思い目を丸くした。

傍らでそれを見ていたシスター長浜は「天使様だったのですね、理由は分かりませんがお忍びで地上を散策中とお見受けします、わが修道院を宿としてお使いください」と言った。


ビクティムは特に否定も肯定もせず、しばらくここで暮らすことにした。





修道院には付属の孤児院があった。


「・・・と、言うことで、孤児院にいれらたのだよ」


朝の教会にはお祈りに来た子供達で溢れていた。

ビクティムはその中に水龍を見つけて話していた。


「まさかお前が孤児院ねぇ、水田君と呼ばれてるのか、ハハハッ。

しかし、この修道院も手広くやってんだな」


孤児院を担当するシスターが来て話に割って入った。


「水田くんのお知り合いなの?

その綺麗な異人さん」


「これはワシの嫁だ」


「・・・あ、そう。

じゃ、教室に戻ろうね」


シスターは少しあきれ顔で、水田と呼ばれる水龍は連れていかれた。





修道院でビクティムは一宿一飯の恩義に報いるため、求められるまま信者の診療をした。


「ビクティム様、次の信者様です」


「背中がずっと痛くて・・・医者ではすい臓がんと診断されて余命が・・・」


「これは大変だ・・・すい臓がんというのは知らないが」


ビクティムが手を当てあると「よし治った」と言った。


「え?有難うございます?」


「よし、ここにたのむ」


ビクティムが指で指し示した方向には

箱があって隙間からお金が覗いていた。


「はい・・・おいくらほど?」


「気持ちでいい」


「では・・・」


財布からお金をつまみ出すとビクティムの顔を見た。ビクティムは横目でみて「うーーん」と言うと、多めにつまみ出した。ビクティムは「うむ」と言うとそれを箱の中に入れた。


診療を希望する信者は日毎に増えていった。

ある日、シスターに頼まれて診療に出掛けることになった。

繁華街の裏道に入るとシスターは「私の生まれた場所です」と言った。

風俗店の立ち並ぶ地帯に入ると一軒のワンルームマンションに入って一人の女性を診察した。


「お前、性病だな。

この世界の医者でも治せるようだが」


「だいぶ放っておいたので目が見えなくなっているのです。

これではお医者様でももとに戻せません。

私と同じ病なのです、治してあげてください」


ビクティムは『はいはい、わかった』と言った表情で、その女を治してやった。その帰りにシスターに言った。


「お前は男を知らないようだから、お前の母親が売女でうつされたのか」


シスターはビクッとしたがすぐに答えた。


「はい、その通りです。もう亡くなりましたが、私を育てるためにしたことですから尊敬しています」


「そうか、私の親もそのまた親も売女だし、私もそうだ。

お前の母親と違ってろくでなしだが。

まあ、治癒が出来ないのに・・・売春は楽しいからな、天職だったのだろう」


シスターは隣を歩くビクティムを見上げながら『天使様は私を励ますためにおっしゃっているのだ』と思った。


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