デーモンゲート
「そう言えば、龍はおとぎ話の中だけ、ってありがちだよね」
アンが腕を組んで言うとレイが手の甲でアンを叩きながらクビを振った。
「なんでアンが異世界の龍事情を知ってるんだよ」
アンが苦笑いをしているとおじいさんが会話に割って入って言った。
「勇者だよ、その子供は。
ただしふにゃの前の前」
「えぇ、この子供の水龍が?
ふにゃの前は某王だから、その前か」
「そうじゃよ、良く知っておるな」
「それならはやく魔王を倒しに行きなさいよ」
「ところが、この勇者は魔族と仲良くなってしまったので魔王退治をやめて、この湖に住んでいると言ったところだ」
「なんだよダメ勇者か」
水流は目をそらしていたが、おじいさんの話が終わると一言だけ話した。
「わりといい奴らだったんだよ、魔族」
「いい奴って。
で食ったのか、生け贄を、食ったのか」
「いや、まったくそう言うのは無くて。
転移前はそう言うのがあったがこっちでは魚が豊富だし」
「転移前は人を食っていた、と」
「どうだったかなもう忘れた」
「食ったな・・・コイツ食ってるよ。
しかし神なら自分の力で元いた世界に帰れるだろ」
「元いた世界はだいぶ変わって川も湖も海も汚くなったようだから帰らないことにしたんだ」
おじいさんはワナワナと震えながら「帰れるのか?」と呟いた。
「うん帰れるよ」
「魔王を討伐したら私を帰してくれないか?」
「いいよ連れて行ってやる、今でもいい」
「いや、きちんとやるべきことはやる。
とにかく、約束だぞ」
アンとレイは「変なフラグが立ったな」と言ったが水龍はアンを見て
「お前はどうする?」
と聞いた。
「私はここの生まれだから、帰るとかそういうのは無い」
「そうか?
まあ、そうだな」
アンが水龍の言葉が気になって「なんか知ってるの?」と聞いたが水龍はすぐに何も答えなかったが重い口をひらいた。
「いや、なんとなく。
天上の神がどうしたいかにもよるからな」
サキュバスたちは胡散臭そうに神を名乗る少年とお爺さんを見ていたが
「おいおまえ、あたし達をお前のバシタにしてくれよ神様」
「いいぞ。
だが何故だ」
「この戦が終わったらやることがない、ので、やる相手が欲しいのさ、キャハハ」
アンとレイは「これもフラグだな」とつぶやいた。
『この二人を異世界に連れて行くのか、なんとか勝たないといけない。私もついて行って成り行きを見たいものだ』
アン達はかなり早く着いたようで、遅れてドラゴンの始祖、ドラゴとその子孫達がデーモンホールの前に降り立った。
おじいさんはドラゴたちの到着を歓喜して出迎えた。
「おお、これは力強い応援だ、感謝する!」
まわりにいた騎士たちが
「どうした爺さん、口上は王子の役割だ。
お前は引っ込んでろ」
おじいさんは黙ったが、ドラゴはその言葉に答えて
「ふん、私は戦わない。
ちょっとした作業をするだけだ」
そう言うと子孫たちに指示をだした。
「もう我慢できん、魔王城へのゲートにイン!」
診療所にいるお爺さんに向かって飛び込もうとする子供ドラゴンとふにゃの舎弟達をアシャは制止した。
「待て、まて。
・・・でどうなんだ向こうのようすわ、某王」
「行ってくれると助かるがのう」
「そう言うことではなく」
「均衡しておる、だが、さすが猫族と総長だ。
魔王は防戦しておる」
「なら、お前がのんびりしてないで加勢して一気に倒せよ。
それに私はだな、魔王城は灼熱と聞くがどうなんだこのまま行ってもいいのか、と聞いている」
「それなら、冷凍魔法をかけるとちょうどいい」
「レイラ、冷凍魔法をかけてやれ。
それで、ドラはどうなんだ」
「行ってもかまいません」
子供ドラゴン達は「お母様の許可が降りたぞ」と口々に言うと、アシャの祝福を受けて、某王の足元に駆け寄ると滑り込むように消えていった。
「・・・我々も行くか」
「そうするしかなさそうですね」
「ドラはどうする」
「行ってもかまいません」




