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プチヒーラー  作者: テクマ
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魔王暗殺

「よーし、よし、やったあ、進級だ!」


「良かったじゃん、感謝しなさい」


「感謝してるよ、しかしなんだな、私がデーモンコアの鎧騎士を潰したから、なんだよね・・・なんとか、だが」


「レイラも文句無し、の結果だよね?」


「それは分からん」


アンとレイはサキュバスを連れて陽気に街を歩いていると本屋の前で呼び止められた。


「やあ、久しぶりだね、小さなヒーラーに魔術師よ。

それに・・・サキュ・・・いや、聖騎士様たち、か」


「確か脚を切って治した・・・夏目漱石」

「志賀直哉?じゃね、いや谷崎か?」


「君が望むなら夏目漱石でも志賀直哉にでなろうぞ」


夏目漱石かもしれないおじいさんはニコニコ笑っていた。


「しかし、なんだろう印象には凄く残ってるんだけど名前が全く思い出せん」


「でしょうね。

ところで、今回はとりあえずこの本をその聖騎士様達に」


お爺さんが右手で前に押し出した本のタイトルは「魔族にも出来る聖魔法」と書いてあった。

サキュバスたちは興味があるようで横目で見たが「いらない」と言った。


アンが「しょうがないな、タイムリーな本じゃん、私のお小遣いで、

って、

二人とも聖騎士の給金を貰ってなかった?」と言うと、


「あんなもんはすぐ無くなる」


「まさか、最近自由にさせていたけど男を買いに行ってるのか?」


「男には金を出さん、出す必要が無い。

なんとでもなる」


「博打か酒か?

全く」


お爺さんは「しょうがないまけてやろう、半分だ」と言った。


サキュバスはピクリとしたが動かなかった。


「ぜんぜん金が無いのか?

よし、

ただ、で、くれてやろう」


サキュバスはニンマリと笑っておじいさんに向かい合った。


「よしいいだろう貰ってやる。

だが私らにもプライドがある、

爺さん店の裏にこい」


レイが目をキラキラさせながら「ちょっと、ねえ、何するの?」と身を乗り出して聞くと、サキュバスは遠くをみるように、


「何、をするんだよ。

私たちにかかれば歳なんて関係ないのだ」


だが、お爺さんは「いらんよそんなサービス」と言った。


「何だと私らを辱しめる気か!?

使い物にならなかったら脚同様切って生やせばいい、なあアン」


アンが「ワケわからん、あなたたちが辱しめられるために裏に連れていくんじゃないの?

いいから、貰っときなよ。

私らが他の本買って埋め合わせるから」と言ったら二人はおさまった。

サキュバスたちは本を受け取ると汚いものをつまむように持ち上げるとパラパラとめくれたページを横目で覗き込むように見た。サキュバスたちはデーモンコアの戦いで魔族の騎士に歯が立たなかったので聖魔法の知識を欲していたが、それはプライドから恥ずかしいことだと思っていた。


さて君達にはこれだ「異世界の龍、10選、坂本龍一も龍だけど龍じゃないよ」そして「魔術師のスペル暗記のしかた」だよ。


「坂本?

しかし直接的な内容だね」

「スペル暗記か、もしかして見てた?」


「強い魔術師も実は10ほどのスペルしか使ってないんだよ、驚きだよね?」


陽気に話していたお爺さんだったが急に大声を出してのけぞった。


「ぐへえ!」


血を吐き後ろから剣を刺されたかのように胸から血が吹き出た作家の夏目漱石かもしれないお爺さんを見てアンたちは飛びのいた。


「うえぇ、どうしたのお爺さん」


サキュバスは「変な趣味持ってるな、気持ちいいのか?」と言ったが放っておいた。


アンはすぐに「ほれ、とりあえずヒール!・・・あれ?」お爺さんのキズが治らなかった。


「何処かから突き刺されてる剣が刺さったままだとキズが治らないんじゃ?」





その同時刻、診療所にもお爺さんが現れていた。


「珍しいな某王様、こんなあばら家にお越しいただくとは、恐悦至極」


「久しぶりだねアシャ、レイ、ドラ。

子供らも増えてふにゃの子分も沢山だ」


「あれのことを聞きに来たのか?」


「あれ?

ドラから聞いたよ、今魔王城にいる、そろそろおっぱじめるよ。

バックアップよろしく」


「何言ってんだよ、こっちにも用意ってもんが」


「ぐへえ!」


「わっ、こいつ血を吐きやがった、出てけよまったく。

そのカーペットは高かったんだ」


「ぐおおおお!」


「わ、また吐いた!

殺すぞ爺!」





さらに同時刻、ドラゴニアの聖女の居室では


「キャー変質者!

聖女様を避難させて」


「あー、ワシじゃよ。

そう騒ぎなさんな、

聖女様、久しぶりフランタニヤ王だ。ん?これでよかったと思うが」


聖女は怒り狂って怒鳴り散らした。


「だったとしても寝室に入ってくるとは、誰か呪いの呪文を!」


「ぐへえ!」


「わ、何か吐いた、血か?

すばやい呪いの呪文だ、誰か知らんがいい判断だ」


聖女はさげすむような目で見ながら神官達に指示した。


「さっさと外に捨ててきなさい!」


「はい!」





本屋のアンは「レイお願い、何かよく分からんが、刺さっている剣らしきものを魔法で切り取って」そう言うと。


「あーっと、どのスペルだったかな?

今回はノートも無いしお手上げだ」


夏目漱石かもしれないおじいさんは「29ページだ!」と言った。


「え?」


「その本の29ページだあ」


「・・・あー、いっぺーじ、にぺーじ、さん・・・んと、おっと見開きでいちぺーじ?」


「下にページ番号があるだろ?

ぐぬぬぬぬ」


サキュバス達は「爺さん、こんなところで一人で遊んじゃダメだろ、キャハハ」

「いや、ガチだよ。

何がどうガチかは分からんけどガチだって、ひゃははは」


レイが目的のページにたどり着くと「おお、これか・・・カット、でいいのかな?」と言うと、


胸から出ていた剣がぼたりと地面に落ちて胸の穴はヒールで治癒された。

某王は荒い息のまま「ハアハア、全く、治癒出来たのは一人だけか、正確には治療したのは一人、だが」


「は?ひとり。

レイはやらないでしょ、サキュバスズは聖魔法すら使えないし」


すると、城の方からす巻きにされた人らしきものが窓から捨てられるのが見えた。


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