魔王暗殺
魔界への入り口がある湖のほとり、対岸に向かってゴルフ苦愛は聖なる玉を打っていた。
その対岸には聖なる玉を怖がって魔族が逃げ惑い混乱していたが、この混乱のなか冷静にゴルフ苦愛が打った玉を拾い集めている子供がいた。
子供は集めた玉を袋にいれてそれをしょって湖を泳いでゴルフ苦愛に拾った玉を渡してお金をもらっていた。
「根性がすわっている、わん」
「我が栄光のゴルフ苦愛に入らんか、わん」
「いえいえ、とんでもない。
ドラゴンとかアルバトロスとか言うのにはなんとなく憧れますが、私なぞそんな器ではありません」
そう言うと子供はまた湖に入って対岸に泳いで行った。
「もう着いたか、はやいんだ、わん」
そこには勇者パーティーのたかしが聖剣で作ったガトリング銃も設置していた。
「ここまで前線を押し上げたが、何やら物足りない、全く手応えが無い」
共闘している帝国の剣士、リョウが「確かに。所であの子供は玉を拾っているあいだ何故魔族に襲われないのです?」
「さあ、ただ、ここは元々あの子供がいた場所、つまり縄張りで魔族ともうまくやっていたとかいないとか」
「曖昧ですね」
「おほめいただき有難う御座います」
対岸でまた玉を拾いだした子供だが、どうも子供は魔族に何か話しかけられているようだった。子供がこちらがわまで玉を運んで来たときに何を話していたのか聞いた。
「おい子供、あの二人の魔族と何を話していた」
「懐から金色の玉を取りだして『見たことあるか?』そう聞かれた」
「なんと答えた?」
「さあ知らない、だが異世界ではそういうのが有るとは聞いたことが有ると答えた」
「で、魔族は?」
「喜んで穴に向かって歩いていった」
「その玉って?」
「龍玉じゃないけど、龍玉っぽい何か」
「そうか」
子供は少し付け足した。
「あれは害の無い魔族。
デーモンコアで失敗したんだろう、つぶれた鎧の入った箱を背負っていた」
リョウは『とはいえデーモンコアで人を襲ったんじゃないか』とは言わずに子供をまた対岸に行かせた。
「聖剣であるガトリングにゴルフ苦愛の打ちっぱなしにも全く動じない魔族か・・・」
たかしはその魔族がかってのパーティーメンバーとは気付かなかった。
その数日前、デーモンコアの設置してあった神殿に魔族の二人が訪れていた。
ふにゃがゴロゴロしているところに忍び足で近づいたがふにゃと目が合うと魔族の二人はにっこりと笑った。
「あ、そこの猫ちゃん、ちょっとお願いがあるのだが」
「ふにゃは眠たいんだにゃ。
短めに頼むんだにゃ」
「その鎧を持っていって、いいかな?」
「いいんだにゃ、と、こん棒さまが仰っているんだにゃ」
「おお、それはありがたい」
そう言うと奥から箱を持ち出して鎧を入れた。
「あ、あ、あ、あなた方はなんなのですか?」
神官が怯えたように結界石がちゃんと働いていることを確認したり周りを見回してふにゃにビンタをしながら揺すり起こした。
「魔族ですよ、魔族、ねえ勇者ふにゃ様。
何とかしてください」
「結界石があるけど何ともないから、魔族じゃないよ、たぶんそう。
と、こん棒さまが仰っているにゃ」
「我々は魔族ではありません、よ、っと」
「ではこれにて」
その魔族の二人はそそくさと村を後にした。
「あれは魔族ですよ、尻尾と羽がありますよ、ふにゃ様」
「魔族ならば襲ってくるはず。
そう、こん棒様はおっしゃっているにゃ」
「まあ、こん棒さまが仰っているのでしたら問題ないですかねえ。
納得できませんが、安心しました、
ではお食事にしましょう」
「凄いご馳走なんだにゃ、ふにゃには残飯でいいのにゃ」
「アシャ様がら教えていただいたヒールで荒稼ぎしました、遠慮なくお食べください」
「レイ様のおばあ様から、ふにゃ様逗留中としておくと税金も免除されるとも聞きました。
現状財政的に無敵です」
「それは逗留中だけで、、、いや、まあいいか」
「え?なんておっしゃいましたか?」
「何でもないにゃ」
黒煙に煙る猛火の中、人々は魔族に私益されている。
溶岩の流れる湖の畔に黒色の城があり、そこを魔王は根城にしていた。
そこにせわしなく魔族が二体入っていった。
「魔王様、地上へ行って参りました」
「そうかえ、そうかえ、で、首尾はどうだえ」
「デーモンコアの設置場所には強い聖女と見習い魔法使いが現れてデーモンコアは飛ばされ鎧は潰されました。
その後デーモンコアとつぶれた鎧を回収して帰ってまいりました。
ですがそのおり異世界の龍と遭遇し打ち倒してその魂に等しいとされる龍玉を奪い取りました」
デーモンコアと一緒に金の玉を取り出すと魔王は上機嫌で金の玉をつかむとかざしてみた。
「でかした、でかしたぞよ。
異世界の龍とは神も何を考えているのやら。しかしいまいましい龍を減らしたのは上出来である。
下がって休むとよい」
魔王が金の玉を側近に渡すと、側近はそのまま金の玉をもってどこかに消えて行った。二人の魔族も退出した後に魔王は薄いレースのカーテンの後ろにいる何者かに問いかけた。
「さてとビクティムたちはどうしているのか?」
「行方が分かりません、
が、
きゃつらの大事なものは押さえておりますので心配無用です」




