魔王暗殺
レイラは聖剣で魔族の男の喉元を何回も切りつけた。
「やめろ、やめろと言っている、分からんのか」
「まだ切れないのか、魔族になってだいぶたつのだろ、どういう仕組みなんだい。
お前はとっくの昔に人ではなくなっているはずだ。
それに・・
お前はサキュバスの腹を切ったじゃないか、あのサキュバスが羽根や尻尾がとれて人のような姿になったのはつい最近だと聞いているぞ」
「魔剣は同族も切れるのさ、聖剣はそうはいかん、それだけのことさ」
「おい、こいつまだ自分が人だとでも言いたそうだ。
じゃあ聖剣で切れないクビを持つお前はその魔剣で魔王のクビを切ることができるのか」
「・・・さあね」
「ほう。
・・・まあ、今回はおおめにみてやる、尻尾を巻いて魔界に帰るんだな。
そして
やることをやれば戻ってこい、お前らの望みを叶えてやる」
「相変わらず上からの物言いだな。
普通じゃない、すぐ元にもどすもんだろ」
レイラ達3人は顔を見合わせてドラがうなずいた。そしてアシャが
「どうだお前ら、玉が1つでは収まりが悪いだろ、いいものをくれてやる」
ドラは金色の宝玉を魔族たちの足元に転がした。
「どういうつもりだ、これは何だ」
「手ぶらで帰っては魔王様の手前ばつが悪いだろうと思ってね、手土産が必要だろ」
「お前にしては気の利くことだ。
だがこれはドラゴンの金の玉・・・ではないのだろ」
「某王の話では、そういう物を持つ種類のドラゴンが異世界にいるらしいから持って帰れ、お土産だよ。
魔王様に献上すればいい」
「異世界のドラゴン?
『そんなものがタマタマいたので殺しました』そう言って魔王に渡すのか。
何でもありか。
しかし気持ち悪いほどの神々しい光が漏れている、異世界のドラゴンは神の使いなのか」
「魔族と対極の存在と戦って奪ったんだ、ってことになるだろ」
魔族は宝玉を拾うとデーモンコアといっしょに鎧のなかに入れた。
魔族はしばらく考え事をしているようで黙っていたが重い口を開いた。
「ビクティムとカオスを従えているあの娘は強いがそのうちあいつらに殺されるだろう」
「ああ、ご忠告ありがとうよ」
「まあ、必ずしもそうなるとは限らんだろうが」
「お前に切られたからな、立場は変わったかもな」
「フフッ、あれは失敗したな。
では懐かしい魔界に帰るとするか」
「あぁ、そうするか。
じゃあな、レイラ。
呪文を暗記させろ、命がいくらあっても・・・まあいいか。お前の血が濃いから悪運だけは強いだろう」
魔族の別れの挨拶になにも答えない二人を見てドラは丁寧にお辞儀をしながら答えた。
「ハルフォード御一行様、またいずれお会いできることを楽しみにしております」
魔族は笑いながら森の奥に消えていった。
「ドラ、アイツらはもう御貴族様ではない、それ以前に人では無いがね」
「人として復活されるかも、しれませんから」
「ドラは優しいな。
しかし、あの金の玉が何なのかアイツら知らないのか?
もしパーティ時代使っていたら・・・」
「いえ、その後だと聞いています」
「ところであのサキュバス、名前がビクティムとカオスか、あそこではローズとガーベラとか名乗っていたよな」
「こっちがやろうとしていることはむこうもやっているんだよ。
こっちは意図してやろうとしてるわけでは無く、あの二人が間抜けだから捕まったなだけだが」
「聖女の婆さんがいるからそこら辺お見通しだろ。
所でドラ、あの玉は某のどれだったかな?」
「戦闘形でしょうから、オーディーンでしょうか。だいぶ前なので今使ってない人格でしょう。知らせておきますか」
二人はドラと一緒に診療所に帰った。




