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プチヒーラー  作者: テクマ
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病の拡散

魔女と呼ばれるヒーラー、アシャ、は王様の呪いを治療してドラに乗って帰って来たが家の通路にドラが入りこめないので家よりもちょっと離れた場所に降り立った。


「呼べば来ると思ってるよ、あの程度の呪いに大げさに騒いで」

「まわりにいた老兵の方が重症でしたね」

「大き目にヒールしたからあの人たちも治ったでしょ」


家が見えるところまで来るとアシャは立ち止まった。


「なあドラ、おかしくないか」

「おかしいですよね、いくら夜中とはいえ町人が何人か通路で寝ているのは初めてみます」


アシャは手を差し出すと、ウッ、とうめいて手をひっこめた。


「指先が麻痺した、睡眠の魔法?いやヒールだ。誰だこんないたずらするのは、まったく」


アシャはアンチヒールを放って打ち消すと大股に家に向かって歩いて行った。すると家の前で寝ているアン達を見つけた。


「なんだこの子供達は、この子たちもヒールにかかっているのか」

「一人は私と同じドラゴンです。この二人は、ここら辺では見ない子たちです、荷物もおおいし、旅行者でしょうか」

「こんな子供が?まあ、しょうがない子供を外にほうっておけないな」


アン達を患者用のベッドに寝かせると、アシャはまじまじと見てドラに言った。


「これは私の子だ、魔王軍に追われて帝国まで行って捨てた子供だ。しかし、こんな時にここに来るとはタイミングの悪い子だ」

「こっちはおそらくレイラの子供ですね。帝国で追放になったとか言う子供のヒーラーはこの子達でしょう、あなたを頼って来たのですよ」

「さすが私の子供だ、師匠のビンセントを裏切って来るとは・・・どんな育ち方をしたのか」

「あれは噂ですよ・・・たぶん」

「ドラゴンはお前の子だろ?」

「火山帯に卵を産んだことはありますが、どうでしょうね。この子は人と長くいたせいか匂いが分からない」

「ここはじき戦場になるし私達は戦わないといけないから、どうしたものか。

知らぬ存ぜぬで追い出して、いもしない親を探して旅をさせるのもどうかな」

「とりあえず目をさました時に何を言うか聞いてみましょう」


「やあ、目が覚めたかい。家の前で行きだおれていたから家の中に入れたんだ」

「あなたが魔女ですか」

「魔女?ヒーラーの先生様でアシャだよ。家に何かご用かな」

「私達は駆け出しのヒーラーです、あなたの弟子にして下さい、癒しの技を習得したいのです」

「前は誰に教わっていた?」

「ビンセント特認公爵様です」

「それはそれは、御高名なお方に師事されておったのですな。私が教える必要はありませんよ、師匠の元に帰りなさい」

「師匠は戦争で捕まってしまいました。私は行くあてがありません」

「あそこは跡継ぎがいたはず、その人はどうしたんですか?」

「私はその人と婚約していましたが破棄され、ここまで流れてきました」

「破棄?いったいどんな悪いことをしたんでしょうね」

「ちまたでは色々言われていますが、実際前線から帰って来て会っていませんから分かりません」

「師匠を敵に売ったとすれば破棄は当然ですよ」

「私達はそんなことはしていません!」


アシャはアンの勢いにたじろいだが続けて言った。


「・・・あなたの言うことが正しいなら、そのうち捕虜交換で師匠は帰って来るでしょうから、そのとき師匠が証言してくれるでしょう。

それまでうちで下働きするならヒールを教えてあげましょう。

ですが嘘なら神聖な力を封印しますからね」

「はい、それでかまいません、有難うございます」


アンはアシャのそっけない態度に母親かどうか聞くことをやめた。


アンとレイはアシャの家で働きながらヒールの勉強をすることになった。リュウは野生の感でドラをお母さんと呼びドラも受け入れて一緒にアシャの仕事を手伝うことになった。


「アンはレイに基礎から順をおってヒールを教えてあげなさい、それが復習になる。

魔法は家の裏にある神殿のレイラから教えてもらうといい、私はちまたで言われているような魔女とは程遠い存在だよ」


アシャは毎日患者の処置に忙しくしていた。


「王城に行っていた間に患者がたまっているな、レイラだけでは処理しきれなかったか」


アシャのところには遠い国からも患者が来ていたので町には宿屋や商店に土産物屋まで立ち並び繁盛していた。


「はい、っと、これで大丈夫。

数日たったらまた来てください」


患者が帰って行くとアシャにアンが質問した。


「今のは呪いですか?それならあれで完治では?」

「あの人は遠くから来ているからまた来るのはたいへんでしょ。

それにお金持ちだから泊まって行くと町が潤う。


よし、今日はこれで終わったからお前達に教えよう。何を教わりたい?」

「え?」


アンとレイは顔を見合わせた。


「んーー、もっと強くなりたい」

「強く?」

「大きなヒールで、そう魔神を倒せるような」

「麻酔のヒールでいいじゃない、うちの前で使っていた」

「あなたに破られないようなヒールを身に着けたい」

「ヒールはすべての呪いや魔法を上書きすることは出きるけどそれには強い能力がないと、ってことなら使い続けるといい。

寝ている間にこの家と神殿に結界を張り続けなさい。

ただし麻酔だと人をトラップするから魔物や悪党を遠ざけるようなイメージで」

「すでにアシャがはってあるのでは」

「上書きしてみなさい」


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