父親
子供ドラゴン達は診療所に帰り着いてもえもえちゃんを母親であるドラに会わせていた。
「もえもえちゃん、ですか。
いい名前ですね、妖精がつけたのですか?」
「はい、お母様、親友の、マンド、ラゴラの妖精、ミスティ、につけてもらいました」
「あなたは土属性が強い、土龍。
自分の強みを伸ばしなさい」
「はい、お母様」
もえもえちゃんは心配に反して母親であるドラに簡単に受け入れられ喜んでいた。
アシャもそれを見ながらホンワカした気分になっていた。
「こんなに子が育つのは珍しくないかい?ドラ」
「確かにそうですね、今が平和と言うわけでもありませんのに」
「あと何体いるんだい」
「分かりません。でもここから倍に増えても私は驚きません」
「いやうちらは驚くよ」
みんなが笑いながら話し込んでいると、ぐるぐるがアンとレイに会ったと伝えた。
「へー、アンとレイがいたのか」
「魔族の財宝がある場所にいたってことは、レイがあの試験受けてるのか、早いのか遅いのか、どうなんだろうね」
「デーモンコアは、セバスチャンが仕込んだフェイクなんだろう、そう思うが。
まあ、仮に本物だとしてもふにゃがいるから問題ないか」
「しかし連れて帰って来たもえもえちゃんが鎧担当っぽいけど・・・どうかな」
診療所ではのんびりとした雰囲気が漂っていた。
しかし祭壇の上では鎧が動き出していた。
「これは生きのいい神官と魔術師だ」
鎧の騎士はカチャカチャと鎧の音をならしながら立ち上がるとアンとレイに向かって歩き出した。
アンは余裕の表情でヒールを放ったのだが。
「あれ、あれ。
きかない、ヒールがきかない」
サキュバスが説明するには「気密性の高い鎧なのでヒールが届かないんだな」と言った。
「あ、穴を、裂け目を作らないと、サキュバスズは時間かせいで!」
サキュバス達はニヤケながらぶつぶつと言い出した。
「どうするかな、鎧の騎士を倒して魔族内での私達の順位をあげるのもいいか、それとも一緒に手柄をあげるか」
「あんた達、そんな余裕は・・・」
鎧の騎士と横にならんで余裕で語っていたが、アンの一言を待たずに一体の鎧の騎士がローズの腹を切り裂いた。
「敵の前で無防備だな、聖騎士よ」
「なっ、なに!」
ガーベラが反射的に飛び退いたがローズは腹を押さえて倒れこんだ。
「コイツら目がないからあんた達は金ぴかに光る勇者とか英雄にしか見えてないよ」
アンはローズの腹を修復すると、魔力を封じるためヒールを鎧の中にねじ込もうと集中させた。
サキュバス達は状況を悟って怒りから奇声をあげて一体の鎧武者に切りかかり、結果時間を稼ぐことになった。
「ふにゃは?」
「さっき見回りに出て行ったでしょ」
「レイ、ほら何かあるんでしょ?
魔法だよ、魔法」
「それは。
アワアワ、あ、あるけど・・・あれ、あれ、ページが上手くめくれない」
レイはノートを広げて呪文を探そうとしていたが、手が震えてページがめくれなかった。
もう一方の鎧の騎士はアンのヒールが効いているのか黙って少し待っていた。
「これだ、エクス・・・エクスプロージョン」
鎧の表面で盛大に魔法が弾けた、だが鎧に傷をつけることも出来なかった。
「その魔法は鎧の中にないってないから、効いてない。
別のやつを」
「それなら、イン、プロージョン」
鈍い音をだして「ボコ」っと少し鎧が凹んだ。
「レーイ、たぶん発音!」
アンは近くに落ちていた棒を両手で持って鎧の騎士を遠ざけるよう突っついていた。
半歩ほど後ずさりしたように見えたとき。
「分かってる。
分かってるよ、
インプロージョン!」
鎧の表面がボコボコに凹んで原型をとどめない状態になって亀裂が生じた。
「よし、よし、これでヒールが使える」
亀裂から黒い物があふれ出て来るがなかなかななくなる気配がなかった。
まだ意識がある鎧の騎士は小さい声で喋り出した。
「穴が開いてもデーモンコアから魔力が供給されている間はまだ動ける。
よく聞け、お前達は私に負けても私のように生きることが出来る。
アンお前がそこのサキュバスにしたようにお前は魔族になれるのだ。
私に殺されないか?
そいつは拒絶したが強い魔族にしてやる。
そして私とお前で最強の魔族になるんだ」
「は?
何言ってるんだ」
アンが棒でつついていると後ろから聞きなれた声がした。
「ふにゃ、やれ」
そこにはアシャとレイラが立っていた。
ふにゃはデーモンコアを打って遠くまで飛ばした。
「ホームランだにゃ、と、こん棒様がおっしゃっているんだにゃ」
アシャは
「アン、レイ、魔族のいうことに耳を傾けるな、意味のないことだ」
「アシャ、レイラ。
あれは魔族だったの?
もしかして人じゃないのかと思ってた」
「知らんね、確かなことは人だとしても元人、つまり死んでるってことだ」
レイラはサキュバスが相手をしていた倒れた鎧の騎士に近づいた。
「しかし弱いな、だが中身が無いからどっかに本体がいるんだろう。
おとなしく死んでくれたらいいものを」
少し遅れてセバスチャンが来るとアシャとレイラがセバスチャンと口論をはじめた。




