城の生活
「レイくん、君はなにを考えてるんだね」
「はい?」
「まったく、子供のドラゴンもつれていくのかね、私の課題は攻城ではないんだよ。
それと・・・」
レイは落ち着きなく裏返った声で返答した。
「あー、ドラゴンと言ってもですね、引きこもりでしてぇ、飛んでも遅いので何の役にもたちません」
「ああ、マンドラゴラのあの子か、それならしょうがいないな」
「ですよね」
「他に強いのを連れて行かないように。
何でも推定勇者のふにゃも呼び寄せているらしいじゃないか。あんなのを連れて行くとすべて破壊してしまう、魔王城を落としに行くのが課題ではないんだ。
ここで確認しておくべきか・・・この課題は貴族のお嬢様が道楽でとる資格のそれじゃない。君がここまで習得した魔術を駆使して課題を遂行するものではあるが。それだけではダメだ。力を合わせてサバイバル術を習得するのを目的としているところもある。君の盟友のアン様を同行させるのは最低限生きて帰るためヒーラーなら必要だろうから目をつむるかといったところだ、だから・・・」
「わかっています、けっしてふにゃとか連れていきませんから!」
「そうかね、まあ、人と繋がること事態は悪くない、それじたいは力にはなるが、それは・・・おおそうだふにゃは亜人だったか、この場合は人でくくっていいのかな?
まあいい、ギブアップするときはその魔石に涙を流しながら、助けてください、そう言いなさい。救助に向かいます。
ただしその後はもう課題を課すかどうかわかりませんよ、そこで進級はおわりになる場合もありますからね」
下をむきながら以後の話を聞いたレイは、部屋を出るとアンの部屋に行った。
「くっそ、セバスめ!」
「セバスチャンさんがこの課題の先生なんだ。厳しそうだよね」
「誰が涙を流して命乞いなんぞするか」
一切合切を喋ったレイの話を、その場にいたサキュバス達も聞いていないふりをしながら全部聞いていた。
それからアンの部屋にふにゃも来て言った。
「ついていくんだにゃ」
「え?」
「もえもえちゃんから聞いたんだにゃ、パーティに加わるにゃ」
「あの引きこもり、あ、いや、課題だからたいした冒険も無いんで暇ですよ、それにパーティのパワーバランスがむちゃくちゃになるし、だから城でのんびりしていてくれていいから」
「ついていくんだにゃ、二人とも災いを招き入れるのか上手いんだにゃ、楽しくなりそうだにゃ」
「いやだから、あなたは強すぎるから・・・」
「ついて行くんだにゃ」
「・・・しょうがいないですね、明日の朝、南の出口から出て半日歩いたところに集合だから間違わないようにね」
「わかったにゃ。
楽しみだ、と、こん棒様もおっしゃっているにゃ」
ふにゃは喜びながら明日のお弁当用に厨房の残飯を調達しに行った。
「いいの?
北に集合でしょ」
「いいって、いいって、ふにゃは私の言うことを聞く気がまるでない。
ついてきても何とでも言い訳できるが、面倒の種はいらん。
ここでまいてやる、完全にまいてやる」
夜が明けきらないうちにバラバラに城を抜け出したみんなが予定どおりの場所に集合した。
「レイ来たか、なんでこんなところで集合?」
サキュバス達は先に来ていた、そして
「眠れなくて待ち合わせ場所で寝ていたにゃ」
「なっ!
『北と南もわからないのかよ、まあ
これだけ城から離れていればいいか』
ふにゃにアンそれにもえもえちゃんもいるし行きますか」
アンはふにゃにどうやって来たのか聞いた。
「サキュバスがマントを着て出掛けるところだったから連れてきてもらったにゃ」
サキュバス達はニヤニヤしながら
「大丈夫だろう、たぶん大丈夫だよ、ぷぷぷっ」
こう言うと顔をそむけた。
「歩いて少し行った所の村から馬車を乗り継いで目的地まで行くぞ」
「樽は持ってこなかったの?もえもえちゃん」
「いらない」
「成長したねえ」
ふにゃは先頭を歩きながら・・・
「もえもえちゃんが飛んでそれを引っ張るのをやりたいんだにゃ」
「ダメだって、村が近いから。
隠密行動だから」
「やりたいんだにゃ、と、こん棒様がおっしゃっているんだにゃ」
しょうが無いので村から見えないところまでやらせてあげた。
村につくとレイが時刻表を広げて馬車の時間を調べて何度もうなづくと。
「丁度乗れるぞ、しかも始発だから座れる」
馬車に乗ると他の冒険者パーティも乗ってきた。
「俺たちはデーモンバスター、君達は?」
「私達は・・・『やべえ考えてない、サキュバスにドラゴンにヒーラーだから・・・』サキュドラヒー、ウィズ ウィッチ」
「変わったパーティ名だね」
「そっすか?エヘヘヘへ」
「俺たちはパーティ名のとおり魔族を狩りに行くんだが、君たちは?」
「私達はですね、そのですね・・・財宝、と言ってもあてがあるのではなくう、なんとなく行き当たりばったりにですね、あればいいなー、ぐらいに、探しに行くところですぅ」
「へーあてもない旅とは余裕がありますね。
うちらと一緒に行きませんか、魔族と言ってもサキュバスを捕まえて奴隷商人に売るんですよ。結構儲かりますよ」
サキュバス達はピクリとしたが何食わぬ顔で外の景色を見ていた。
「ああ、いえいえ、私達は荒事は出来ないので足手まといになりますから適当に安全なところをまわりますぅ」
デーモンバスターのメンバーに首輪をして鎖でつながれている神官がいたのでアンは鎖を持っている拳闘家に質問した。
「ところで首輪をした神官は?」
「異教徒の国で買った神官だ、ヒールが使えるから魔族と戦うときに重宝するんだ」
「へー、でも可愛そうだよ。
パーティなら買い上げて仲間にすれば良いのに」
「よけいなことを言うな!
首輪をはずすと、こいつは気が弱いからすぐにげちまう」
そういうと拳闘家の男が神官の頭を叩いた。




