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プチヒーラー  作者: テクマ
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飛べもえもえちゃん

「とは言えこの屋敷から動けなくなった。

私が結界をはったから安全ではあるが」

「結界石が無くなってるからね。

人が手引きして魔族を引き込んだのかもしれない。

ここのヒーラーも眠らされていてまだ力が弱いからな」


アンとレイが思案していると伯爵が話に割って入った。


「申し訳ない、こちらで管理しておくべきだったが、うかつだった」


そこでドラゴニアから結界石を運んできてもらうことにした。その伝令をどうするか思案したのだが。


「もえもえちゃんに行ってもらおう、樽は責任をもって預かっておく。

いいね」


アンの言葉に、もえもえちゃんは渋々うなづくとドラゴンの姿になった。


「おお、ドラゴンであられたか!」


伯爵達が喜んでいると、もえもえちゃんは飛び立った、だがゆっくりと。


「ドラゴン殿は私が憑依されている間の何かで傷ついているのか?」


伯爵は心配していたが、もえもえちゃんはこれが全力だ。アン達を乗せていないぶん馬よりも早く飛べると考えてのことだった。


『伯爵が見てる前で休まないで』


アンは祈るようにそう考えていた。そしてゆっくりとだが進んでいき、やがて見えなくなった。


「ふう。さて、明後日には結界石が来るでしょう『たぶん』」





もえもえちゃんはアンが見えなくなったところで休んでいた。


「ハアハア、ドラゴン使いがあらい」


「ちょっとなに休んでるの?

急ぎなさいよ。

何か手柄をたてないと曾祖父さまやお母様に会わせてあげない、って言われたでしょ」


妖精のミスティが小さな体でもえもえちゃんを吊り上げようとしていたのでしょうがなくまた飛ぶことにした。





もえもえちゃんがアンの結界が届かなくなるところまで来ると木陰から魔族の戦士達がもえもえちゃんを眺めながらごそごそと話し合っていた。


「おいドラゴンがいるとは聞いてなかったぞ。

騎士なら数で押せば何とかなるが、ブレスを食らうとひとたまりもない」

「だが小さいし、どんくさい。

いや、我々が襲ってくるのを誘っているのか」


かろうじて生き延びた魔族が後ろから声をひそめるように話し出した。


「ありゃどこにいたんだ、ヒーラーと魔術師にサキュバスだけだと思っていたが」


「おい、おい、寝ぼけているのか。サキュバスがヒーラーと一緒にいるわけないだろ」

「いや、確かにやったからあれはサキュバスだ」


「・・・本当ならサキュバスを俺たちにもまわせよ」

「くそ強いぞ」

「俺のは自信がある」

「そっちもだが戦士としても、だ」


魔族達は顔を見合わせた。


「まさかな」

「ビクティム様ではない、と言ってた」

「そうだろうそうだろう、ビクティム様なら、お前のあそこは溶かされているわ」


「でも、二人だろ。

もう一人がビクティム様ってことじゃないのか」

「じゃあお前が聞いた相手がカオス様か?

それなら末代まで誇っていいぞ」


魔族達は静かに笑ったがドラゴンを見てまた素に戻った。


「ふー、まだそこを飛んでいるな、のろまなドラゴンめ」

「どこかで仕掛けるか、負けっぱなしでは帰れない。

ドラの子供なら手柄になるぞ」





アシャのいる診療所では、戦の興奮も冷めて日常の生活に戻っていた。


「あれ、ふにゃは?」

「この前の戦に参加出来なかったので旅に出かけましたわ」

「気にするんだな、たまたま戦をやってただけなのに」

「どちらかと言うと、こん棒様の方が落ち込んでました、ヘヘヘッ」





「おーい、乗せてほしいんだにゃ、ドラゴニアまで連れていってほしいにゃ」


ふにゃは、おもいっきり迷子になって、たまたま見つけたもえもえちゃんの後ろを追って早足で歩いていた。


「逃げて、変な棒を持った猫族が追ってくる」


ミスティはもえもえちゃんをせかしていた。もえもえちゃんは休みたかったが軽量の猫族も乗せたくなかったので知らん顔して飛び続けた。逃げるようにスピードをあげないのでふにゃはもえもえちゃんに飛び乗った。


「いきなり乗ったけど許してほしいんだにゃ、こん棒様が乗れとせかすんだにゃ」

「もー降りてよ急いでるんだから」

「もう急いでいいのにゃ、というかむしろ急いでにゃ」





魔族は先回りして捕獲ワナをはっていたがもえもえちゃんがなかなか来ないのでだれて横になっていた。


「おい来たぞ」


「遅いにも限度があるだろ」


「せや!」


魔族は網をもえもえちゃんに向かって放った。

網に絡まれてもえもえちゃん達は地上に落ちた。


「ドラゴンに乗ったのは一瞬だったにゃ」

「だから、おりて、って言ったのに」

「荒い縄にこすれたら羽が痛むでしょうが!」


もえもえちゃんは子供の姿に戻ったのでみんなあらい網目をなんなくすり抜けた。


「だあれぇ、こんなイタズラするのは」

「あ、魔族だにゃ!

ぶん殴ってやる!とこん棒様が言ってるんだにゃ」


こん棒様はやる気満々だが、ふにゃは殺るか殺らないか悩んで、もえもえちゃんに任せることにした。


「僕は殺らないよ」

「殺らないとかいう選択肢があるんだな、と、こん棒様がおっしゃっているにゃ」


「舐めやがって、取り付いてやる」


「そっちが手を出したら問答無用だ!

ともおっしゃっているにゃ」


ふにゃやもえもえちゃんにミスティに入り込んだ魔族は身の毛がよだった。


「なんなんだ、ドラゴンはどす黒いものがドロドロしてる気持ち悪い、猫族はさっきのヒーラーみたいに金ぴかだし、すでに取りつかれてる、それ以外は食い物のことかよ。羽虫(ミスティ)は空っぽで何もない」


「こん棒様は殺さないから尻出せ、とおっしゃっているにゃ」


「魔界の入り口まで飛んでけー、だそうだにゃ」




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