増殖するドラゴン
「りゅうに似てるな」
アンはかがんで子供ドラゴンに目を合わせようとしたが目をそらされた。
「土に埋まって何してたの?」
「・・・・」
「お城から来たんじゃないの?」
「・・・・」
「まあいいやお城に一緒に帰りましょう」
「僕は行かないよ」
「おお、口をきいた。
なにゆえに帰りたくないの?」
「・・・・」
子供ドラゴンの態度にイライラしたサキュバスがキレた。
「おい、答えろ、こいつが聞いてるだろ!」
もう一人のサキュバスもイライラして言った。
「いやいや、こんなネクラなキャラのドラゴンははじめてだ。
他にも埋まってるのか?」
子供ドラゴンは黙って首を横にふった。
残りのマンドラゴラと雪割草を探すため、子供ドラゴンを下ろすともといた藪に逃げ込んだ。
だがすぐサキュバスが追って捕まえて連れ戻した。
「また土の中に埋まってたぞ、隠れてるつもりか。
城のドラゴンとケンカでもして逃げてきたのか?」
「・・・・」
アンはまた目を見て話そうとしたが子供ドラゴンは目をそらした。
「ちょっといい加減にしなさい、そんなに逃げたければドラゴンに変身して飛んで逃げなさいよ」
「見つかる」
「何に!」
「・・・・」
アンはキレて子供ドラゴンを眠らせた。
サキュバスは心配してアンに聞いた。
「おい、殺したのか?」
「眠らせただけ。
お城に連れていくからおぶって下さい」
「それはかまわないが、臭いぞこいつ」
会話に入らずに雪割草を探していたレイが草を両手にもちながら振り替えって
「そのネクラなドラゴンの洗体をするか。
お姉さん達は帰ってからなめまわすように洗体するから」
素材をすべて集め終えて城に帰る途中、子供ドラゴンを背負ったサキュバスは何回も背中で上下に揺らしてニヤニヤ笑いだした。
「こいつオスだな、背中に立派なのが当たってるよ」
サキュバス達と下品に笑っていると上空からドラゴンが円をかくように降りてきた。人の青年のような見かけのドラゴンはサキュバスの背中に乗った子供ドラゴンを見ると・・・
「森から連れてきたのか?」
「ええ、あなた達と同族でしょ?」
「ドラの子だ、200年前からあそこにいるのは分かっていたが気に入ったようで出てこなかったからほうっておいたのだ」
「・・・また戻しますか?」
「いやいい、私が預かるよ。あのままでは置いておけないとは思っていたからな」
ドラゴンは子供ドラゴンを受け取ると再度サキュバスを見た。
「アンはサキュバスクイーンだな、お前は変わっている。
城まではさほど遠くは無いが私に乗っていくか?」
「いえ、私たちは歩いていきます」
「では先に帰るぞ」
そう言って飛び立っていった。
「ババババババババババババババッ,
ババババババババババババババッ!
あれズバババのほうが良いかな?
ドドドドドドよりもバババババのほうが良いのは確かだが」
診療所の子供ドラゴンたちは草原でためし射ちをしていた。
「思っていたのとちょっと違うが、まあまあだな」
サイラは河原で拾ったパイプを束ねて束状になった物を機関銃のように連射して息を荒げていた。少し悦にいっていたがぐるぐるが詰め寄ってきた。
「あのさ、パイプのそばに置いた僕の本が幾つか無くなってるんだけど」
ぐるぐるは某王からもらった本がなくなったのでサイラの機関銃に取り込まれたと思っていたが、実際そうだった。
「いいだろ、我が銃の糧になれたのだ、喜べ」
「僕はあの本を読むのを楽しみにしていたんだ、それもバイオレンスものの傑作だよ」
サイラはぐるぐるを無視して話し出した。
「しかし魔物が少なくて威力がよくわからんな、ハハハッ」
ライザはサイラが意地悪な返事をしたのが気に入らなかった。
「前の戦場にまた魔族が集まってるらしいね」
ライザは『さすがに行かないだろう』と思ったがライザはすぐに・・・
「それだ。
よし行くぞ!」
そくざに、りゅうとぐるぐるは「僕は行かない」と言った。セイは迷っていたが「行くと言った」。
ライザは言った手前付き添うことにして、りゅうとぐるぐるも強引に連れていった。
ライザはすぐにでも行こうとするサイラを連れて診療所に戻るとドラに許可を求めた。ドラはサイラがしつこいので、しょうがないからアシャと一緒についていくことにした。
到着すると森から先が草木もない場所で王国軍と魔族が対峙していた。アシャは脱力した感じで陣営を眺めると「規模は小さいけど本格的な戦場だよ」と言い、小高い岡に陣取るとそれを見つけた王様が駆け寄って来た。
「おお、アシャ殿にドラさま、応援にきてくださったのか」
「まあそんなところです。
せっかくだから祝福しましょうか」
アシャはライザを連れて兵士達の中央に立つと手を上にあげてつぶやくように・・・
「戦場に集えし強者達よ、神より下された聖なる光をあびて無敵の神兵となり地上から魔を追い払うのだ」
そう唱えて兵士達を祝福した。
興奮する兵士たちを残してアシャはライザを子供ドラゴン達の真ん中に連れて行くと、同じように祝福させた。




