ドラゴン達
「帝国から来たのか」
「ほら、あの国のお姫様を天空の里に送ってきた帰りさ」
りょう、は帝国への帰り道にアシャ達の診療所に立ち寄った。アシャは近所のおじいさんを診察していたがお構い無く、りょう、と話しこんだ。
「王女のヒイラギ殿か、お前のお眼鏡にかなうとはたいしたもんだよ」
「宿題の素振りもちゃんとやったし、ほぼ1人でゴブリンの巣も潰したよ。あとはマトモな剣士になるためにマトモな剣聖のもと修行すればいい。それに天空の里は魔王もそうそう手を出さないよ、皆変態的に強いから」
「あそこは師範になると仕官しに下界に出てこないもんな、まあ、安心だろう、あの、なんだったか、スピキオ王だったか?ちがうよな、えーっと」
「それもある時期は正しい呼び名だった」
りょう達と魔王に戦いをいどみたいヒイラギ王女を戦場から遠ざけるために王は修行に出させた。
りょう、は診療所を見渡して言った。
「アンとレイ、二人ともドラゴニアに就職か」
「まあ、そんなところか。
・・・いや、進学かもしれないな、むこうも即戦力とは考えてないようだ」
そしてさらに部屋を見渡して言った。
「二人さって二人増えたか」
ドラゴニアから来た小さい人に擬態したドラゴンを見て言った。二人はリュウと一緒に母親のドラを手伝っていた。
「ミュー達もいるし、ここの戦力は一国をはるかに超えるな」
「そうでも無いさ、ヒーラーが1人だと心許ない、昔はそうでもなかったが魔石をもっと置いておかないと心配だ」
「魔石ね、手持ちは無いぞ、帝国も集めているからな」
「それでだな、魔石のある場所は分かっている。
採りにいってくれる人を探しているんだが」
「鉱山か?
私が行けば良いのかな」
りょうはとった魔石を少しもらうことを約束して鉱山に採りにいくことにした。護衛にはリュウとその兄弟、サイラとライザを従え、魔石運搬に猫車のクロも来ることになった。
「クロ以外のネコ族が来ないのはアシャとレイラのまわりがだいぶ危ないのか」
「姉貴たちは肉の調達に狩りに行くからこっちに参加しないだけっす、診療所のまわりは平和っすよ」
りょう、はいつものようにリュウに乗ろうとしたがライザが呼び止めてライザに乗ることにした。
「リュウとサイラはお互いに権勢しあっててまともに飛ばないから私に乗ってください」
確かにお互いに速さや俊敏さを競って飛んでいるから振り落とされるかもしれない。それに比べてライザは余裕を持って飛んでいた。
鉱山の近くに降り立つと岩影にかくれて入り口付近を見た。
「アシャの話では低位の魔物が住み着いてるらしいが、高位の魔物がいないからヒー
ラーはいらないか、むしろ邪魔らしいな」
「あの人の見立てはよくハズレるけど、この戦力なら大丈夫でしょう」
しばらくすると入り口から魔物が出てきてまわりを徘徊していた。
「中には結構な数がいそうだ、だがそれほど強くは無いな」
りょうが切り込もうとするとリュウがとめた。リュウがおもむろに散弾銃に似た聖剣を構えて「ばん」と言うと魔物が倒れた。
「・・・なんだそれは」
よく一緒に狩りに行っているクロ以外一斉に呟いた。
「聖剣、川で拾った」
りょうは「川で拾えるものなのか」と思ったが、それを口に出すよりもはやくサイラが言った。
「川に行くぞ、場所を教えろ」
リュウは黙って洞窟に向かって歩きだしたので
「おい、1人だけずるいぞ。
それをよこせと言ってるんじゃない、拾った場所を教えろと言ってる」
リュウはニヤリと笑って言った。
「今は洞窟が先だよ」
「ぐっ、分かった。
先に洞窟に行くぞ、その後でその川に行く、約束だぞ」
サイラは、はやく自分の聖剣を手に入れたいのでイライラして先頭を急ぎ足で歩いて行った。
りょうは『これは楽ができそうだ』とその後ろを歩いて行った。
サイラは人の形からドラゴンに形態変化すると片っ端から燃やしまくった。黒いススが舞う鉱山のなか、暴れまくるサイラの後をついていくとそれらしい石が地層に埋まっている場所まで来た。
「アシャが来てここの魔石をすべて活性化させれば魔物が近づかないんだが」
「雑ですもんねあの人」
りょうとクロがぶつぶつ言いながら石を選んで猫車につんでいった。
「こんなもんか、これだけあれば王宮全体に結界がはれるぞ」
そう言うと、りょうは自分用に幾つかのせた。この鉱山は迷路のように穴が掘られていて奥のほうから魔物がいる気配がする。
「まだ魔物は奥にいるが、怖がって出てこないな」
振り返ると、ドラゴンの3人は鉱物の採取にも魔物にも興味がなく、サイラとライザはリュウの聖剣に目が釘付けであった。サイラは胸をはって威厳のあるふうにリュウに言った。
「兄弟としてどうかと思うよ、なぜ兄である私に聖剣の存在を報告しないのか?」
「そもそも兄じゃないし、それに聞かれないから言いようがない」
ライザは少し冷めた感じでリュウに言った。
「リュウ、お姉ちゃんには言ってね」
「僕がお姉ちゃんだ」
「じゃあ、お姉ちゃんでいいから教えなさいね」
「二人のお姉ちゃんだけど教えない」
二人が声を揃えて「それは無い」と言った。
クロが「鉱物が採れました、出ましょう」と言うと、3人は早足に外に向かって走って行った。
「護衛が先に行くなよ、まったく」
3人には聞こえて無いようでもう見えなくなった。りょうがしんがりとしてクロの後ろを歩きながら奥に残っている魔物を牽制しつつ外に出た。




