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プチヒーラー  作者: テクマ
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サタニスト

「ねえねえ、母さん、今日の晩御飯は何?」

「今日はあなたの好きなハンバーグよ、さあ手を洗ってきなさい」

「はーい」


「はーい!?」


アンはサタニストの村にある粗末な宿泊施設で目覚めた。


『なんだろ、母さん?

あれはアシャでもないし、転生前のお母さん?

でもないか、いや分からない、と思うけど、ハンバーグ?

懐かしい感じがする』


アンは『変な夢を見たな』と思って、ぼうっとしていた。そして目覚めが悪いのでもう眠れないだろうと思い、ベッドから降りて窓から外を見たら遠くの方が少し明るくなっていた。


『夜明けか、もうそんな時間か』


アンが着替えるとドアをノックする音がした。


「おいアン、起きているか?」


王子は、だいぶ慌てているようで何回も部屋の扉を叩いた。アンが扉を開けると王子がアンに言った。


「お前の部屋の窓から見えるだろ、遠くの方だが魔族が何体か現れて騎士達と交戦中だ、ちょうど結界の外から攻撃している、少し結界を広げてくれないか」


アンはすぐに結界を広げると王子は交戦している地帯に走っていった。


アンは窓から遠くの明かりを見ていた。


『あれは交戦している明かりか、結界の中に入れば魔族は魔力を使えないはずだし、結界の祝福の効果で騎士も力を増すから・・・大丈夫か』


独り言を言っていると、アンの世話をしている宿の女がお茶を入れに部屋に入ってきた。


「だいぶ騒がしくなりましたね、騎士の方たちも出かけていきましたよ。でも魔族は強いけど大丈夫なのですか?」

「ええ、大丈夫です。

以前魔族と人族の戦争を見たけど圧倒的に人が勝ちましたよ」

「そうですか、だといいのですが」


女はお茶を入れるとさらに言った。


「私達が使えていた魔族はその戦争に参加した魔族よりも高位ですよ」

「そうですか・・・名を言えますか?」

「それは言えません」


女の話では名前を言ったら復讐されるから、確実に始末してもらわなければならないらしい。だが魔界に逃げられると追って行くことが出来ないので一生おびえて生きることになるそうだ。

アンは少し心配になったので杖を持った。


『強い魔族かもしれないのか、心配だから少し多めに祝福しておきますか』


アンは杖を振りかざすと無言で振り下ろした。

アンの祝福を見た女は目を大きく見開いて言った。


「あなたがヒーラーなのですか、小さい、まだ成人していないのでしょう」

「えぇ、そうです、まだ駆け出しですが」


女は凍えたように前屈みになって両腕を組んだ。アンは心配になって言った。


「気分が悪いんですか?」

「いえ、違います、こちらに来ようとしています」

「来る?」


どこが悪いのか分からないがとりあえず女にヒールをすると女は安らかな顔になって言った。


「私は少しだけ魔族との回線が繋がっていましたが、今切れました」

「そう、それは良かった」

「ですがあなたの顔を魔族に知られたかもしれません」


アンは、それはどういう意味かと考えたが、たぶん魔族の信徒をうばったから魔族から営業妨害で訴えられるのかと想像した。だが女は


「ヒーラーは魔族の天敵なので勝てる算段なしにそう簡単には手出しをしてきませんが、中には私を通して攻撃しようとしてくる者もいます」


『裁判なしで殺しに来るのか』


女から色々と話を聞いているうちに今度は本当に日が明けて王子達が帰って来た。王子はご機嫌だった。


「ヒーラーがいると連戦連勝だ、魔力の無い魔族に我々が負けるわけが無い」


守備の騎士を残してアンと王子は城に帰還した。





城に帰るとアンはおばあちゃんに会って今回の魔族との戦いについて話した。そして夢の話をするとおばあちゃんは言った。


「それはあなたが何者なのか探られたのよ」

「魔族が、ですか」

「その女性を通して、魔族が」


夢を見させてその夢から判断するつもりだったのか、とアンは考えた。


「でも、ハンバーグ?それは何か知らないけど、弱味が見つからなかったのではありませんか」

「そうですね、私の知らない人をお母さんと呼んでいたし、その人を探すことは出来ないでしょう」

「仮に前世の母親だとしても、魔族にそこまでの力は無いでしょう」


なんとなく納得したが、なぜアシャが出てこなかったのか不思議ではあった。その事を理解したのか、おばあちゃんは・・・


「あなたの深層意識がとっさに隠したか、あるいはすでに暗示があったのかも」

「あぁ、それはやりそうですね」


アシャはこう言ったことも想定していただろうから、私に暗示をかけていたのかもしれない。でもやはり『私にことわりもなしにそれは無いな』と、怒りとも憤りともつかない思いがわき上がっていた。

そんなことには意と介さないようにおばあちゃんは・・・


「でも顔が売れたのはヒーラーとしては喜ばしいと言うか人としてはまずいと言うか、1人で城の外に出ない方がいいでしょう」

「魔族に命を狙われますか」

「そうです、ドラゴニアでは魔術師とドラゴンを護衛につけます。特に今のように不安定な時期なら剣士も必要でしょう」



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