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プチヒーラー  作者: テクマ
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ハーレム

皇帝は広く告知し帝国や周辺の国から女が集まってきた。

貴族の子供の母親となれば働かなくともよくなる、との噂が広まっており、皆必死であった。

そしてヒーラーとしての素養の試験を行った。

医師が自分の腕に傷をつけて治療させることではじめの選別を行った。


「うん君は次のステップに進むように、君はここでサヨウナラだ、ご苦労様」


この医者はアンの試験を行った医師だが、相変わらず酒がやめられずせっかく治した肝臓がまた病んでいた。


『ふう、誰か肝を治癒してくれる者はいないものか』


これまで傷を修復できるものは何人かいたがアンのように肝にまで気づくものはいなかった。


「次は私で良いかしら」


手足が長く黒髪で大きな胸をした美人だった。ヒールの能力を問われなければ見た目だけでハーレムの一員になれるであろう。『この手の美人はヒーラーとしてはハズレがおおい』医者はそう思ったが手続き通りに腕に傷をつけた。


「では、この腕を治してみなさい」


医者が冷静に言うと、女はそれに答えた。


「腕はともかく、ずいぶんガタが来てますね」


そう言うと体全体にヒールをかけた。オーバーアクション気味なので医者も気になって自分の体を触診した。


『あ、脇腹の痛みが消えた。

腕の傷は綺麗になくなっている、それにおそらく肝の病も消えているのかもしれない』


「君は残って次に進みなさい」


女は胸を張って医師の助手に導かれて別の部屋に行った。


その日の一次選抜が終わり二次選抜を行うため聖教会で教皇による口頭試問が行われた。


「君達の信仰心をみたい、この像に祈りを捧げてくれませんか」


1人づつ像の前にひざまずいて祈りを捧げて行った。最後に肝の治療を行った女の番が来た。女は皆と同じようにひざまずくと祈りを捧げた。

教皇は静かにその行為を見守りながら最後に言った。


「君だけここに残りなさい、他の者は次の部屋へ移動しなさい」


皆が別の部屋にいくのを確認して教皇は女に近づいて行った。


「君は、形だけ祈ったが何も発しなかった、神に対する信仰心がないようですね」

「・・・」


女は下をむいて何も言わずにいたが、しばらくすると重い口を開いた。


「何をおっしゃっているか分かりません、私に信仰心がないとおっしゃるのですか?」

「そうです」

「これでは押し問答になりそうですね、私は帰ることにします」

「いえいえ、しばらくここにいてください」

「ハーレムに入れるのでしょうか?」

「いえ、異端審問にかけます」


女は怒りの表情になった。


「そんなことは聞いてない、私はこの国のことを思って見ず知らずの初老の男の子供を孕みに来たんだ、お綺麗な信仰者でなければ罰せられるなどバガバカしい、帰らせてもらう!」


そう言うと女は立ち上がり出口に向かって歩いて行った。


「待ちなさい。

あなたを異端認定したわけではない、なかには信仰心の無いものもいる」

「はっきり言えば良いだろ、信仰心の無い者はヒールを使えない、と」

「信仰心がなくともヒールを使うものはいる、知らずに神と繋がっている場合もあるからだ。

それならば祈らずとも君の光が天とつながるはずだが、君はそれがない。

その場合考えられるのは君が


サタニスト


のシャーマンだと言う可能性がある」

「いやいや、私がサタニストだと?ちがうよ、私は魔法使いかもしれない、これまでヒールと思って使っていたが魔法だったんだろう」

「その可能性も無くはない、だが医師の肝は魔法では短時間に治せない。

とにかく来てもらおう、いろいろと聞きたいこともある」


女は駆け寄った兵士の手を振りほどいて、吐き捨てるように言った。


「やり過ぎたか、お前らには寝てもらうよ」


そう女が言うと、部屋にいる者が皆眠りに落ちた。


「サタニストとよく見抜いたな、ビンセントを殺すことは魔王さまの意志、戦いを有利に進めるための初手だ。

まあ正門から堂々と帰らせてもらおう」


女は門番や兵隊が眠っている門を堂々と出ていこうとした。

皆が寝ているはずだが後ろから呼び止める声がした。


「昔はこれでよくやられたよ、サタニストは人間だからヒーラーに近づき殺すことができるから」

「お前が、りょう、か。

聖なる光を帯びているから動けるのか。

それならばビンセントはここにいるのかな」

「さあどうかな、お前達が紛れ込むことは分かっているから、どこかに移動するのは定石だ。だからお前は出て行こうとしているのだろ。

だがいるのかもしれないな私がこうして動けるのだから」

「エジソン王、だったか。あのパーティはくせ者揃いだそうだな。力だけなら魔族に遠く及ばんのに」

「さあ、牢屋に入ってくれ。そうすればお前を切り殺さずにすむ。

お前の力の出所がわかれば押さえ込むのはわけがない」


女は外に出るのをあきらめて牢屋に入った。




ドラゴニアではアンが毎日おばあさんのところでお茶をしていた。


「今日も来てくれたのね、小さいヒーラーさん」

「おばあちゃん、今日も話しにきたよ」

「ありがとう、今日は何を話そうかね。そうだ、あなたが子供を産んでその子をヒーラーにしたいならどうするか、、、

ためらわずに捨てなさい」

「それはこの前聞いたよ」

「そうだったね、まあ私は自分の子供を捨てることが出来なかった、聖なる力は満たされた者の内には多く宿らない、だから強い力は受け継がれなかった」

「アシャも捨てられたのかな?」

「あの人の家系はそうだね、でもある程度の年齢に成ると回収するのよ。

あなたもそれで帰ったのでは?」

「私は成り行きでしたね、本気で捨てたんでしょう」


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