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プチヒーラー  作者: テクマ
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王城

王子に連れられて聖殿の奥まで歩いていくと明るい光の漏れでる部屋に通された。部屋の中央にはベッドがあり、その回りに女性神官達が囲むように立っていた。


「何があるか分かるかな?」


アシャは分かったようで、アンの肩を押して答えるようにうながした。


「もしかすると、ベッドに寝ている人はいないと思っている?」


変な答えだが正解だった。


「そこにはおおばあ様が寝ておられるがもう私のようなヒールの能力の無いものには見えないんだ。

そこの神官達でもわずかに見えるだけだ」


アシャはアンの背中を押してベッドに近づけると。


「手をさわってあげろ」


と言った。

アンはそっとすくうように手を持ち上げたがアンの手をすり抜けて落ちた。


「癒しの力をまとうんだ、防御するように」


アシャの忠告にしたがって癒しの力をまとうとまたすくいとるように手をとると今度は手を握ることが出来た。


「アシャ、今度はできたよ。

てもよく知ってるね」

「私のおばあちゃんもこうなった、おばあちゃんは力の強いヒーラーだった」


神官の女性がアシャに聞いた。


「この先、おおばあ様はどうなるのです?

私達はわからず不安な日々を送っています」

「いずれ消える、見えなくなるだけかもしれないが。

羽が生えて自由に飛び回われるようになって旅に出ると言う人もいるけど・・・」

「あとどれくらい?」

「まだまだだいじょうぶだ、私たちには、はっきり見える」


神官達はホッとした表情をして肩から力が抜けた。アンはおばあちゃんをじっと見ていた。


「アシャ、私じっと見られている」


ずっと目を閉じていたおばあちゃんは目を開けて手を握ったアンを見ていた。


「話しかけてあげろ」


「はじめまして、私は、アン、ヒーラーです」

「はじめまして小さなヒーラーさん、私はスイラ、昔はドラゴニアでヒーラーをしていた、そこの王子の母親のおばあちゃん」

「あなたはどうしてこうなったの?」

「運よくベッドで死ぬことができそうなので肉体を聖なるエネルギーに置き換えているんだよ」

「置き換えるとどうなるの?」

「この国を悪魔から守ることができるんだよ、あなたの手に悪魔が触れられないように私の体は悪魔を滅ぼすことができるようになる」

「守護神になるの?」

「神ではない、それは恐れ多い、私が成れるのは・・・そうね、良い幽霊。この城に取りつついた幽霊」


そう言うと笑い出した。

この話はアシャとアン以外の者には聞くことができなかった。

王子はアシャの腕を手の甲で軽く叩いて『何て言っているんだ』と言った。


「スイラさんはあんたが私の孫の子供だ、と言ったよ」

「そんな長さじゃないだろ、他には?」


スイラはアシャを見て首を横に振った。

アシャは


「女同士でしかできないはなし」


そう言うと王子は『そうかそれは失礼した』と言った。


たわいの無い話をしてその日は終わった。


夜のパーティーではおばあさんとはなしをすることが出来たアシャとアンは本物の高位のヒーラーであると皆に認識されていた。


「アン、お前はああなるんだ、いいな」

「アシャも」

「私は行いが悪かったからなぁ、まあチャンスがあればならんでもないが」

「ヒーラーは幽霊になるのか」


アシャの言葉の真意をアンは理解していなかったがアシャは『それでいいか』と思ってそれ以上何も言わなかった。

ドラゴニアの国王は二人がけた外れのヒーラーだと聞いてはじめの面会と違い上機嫌だった。


「お二人とも我が国に落ち着きなさい、フランタニア王、だったか、には私から言っておくから」

「私がこちらに移ると戦争になりますよ。

ですから私はこの子を推薦します、私に勝るとも劣らぬ力を持っています、きっとこの国によきことをもたらすでしょう」


アンはとりあえず客としてとどまることにしてアシャは次の日に帰ることにした。


「アン、お前はこのチャンスをしっかりとつかむんだ。意地悪されたら帰ってくればいい、お前を守るためにエジソン王、だったか、に戦わせてもいい。お前の力を伝えたらそれぐらいのことはするさ。だがここ以上の場所は無い、あのレイラですら大人になるまで貴族のお姫様でいられた包容力がある」

「自信がないよ」

「あのおばあちゃんに聞けばいい、私よりも経験値が高いし色々と知っているだろう」


話が終わるとリュウがアシャを乗せて飛び立った。

続いてサイラとライザも飛び立った。


「あれ、あの二体は?」


見送りに来ていた王子が言った。


「母親のドラに会いに行くそうだ。おそらくドラはそんなに会いたいと思っていないだろうが」





数日がたった。


「おーい、アーーン」


城の大きな通路の向こう側からアンを呼びながら走ってくる、レイがいた。


「おお、レイ、、、レイ姫?」

「違う、レイだ、だたのレイ」

「ヒラヒラのドレスを着たただのレイ」

「違う、フリフリだよ、フリフリのドレスを着たただのレイ。

どうなの、アシャは母親だったんでしょ?」

「あの人はしゃべらないよ、相変わらず師匠。

そっちはどうなの?」

「おばあちゃんが二言目にはレイラの素行の悪さを私に洗脳しようとしている。

今では、

くっそ!レイラの野郎、なんで私を捨ててそれを黙ってたんだ!

と、思ってるよ。

それで魔法の勉強の日々」

「それは大変だ、私は客としておばあちゃんの話し相手をしているよ」

「あぁ、なんだこの差は。

時間がない、じゃあまた」


そう言うとレイは走っていった。

アンはその背中を見送りながら小さく手を振った。


「アシャは厄介払いができたのかな」

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