王城
「やあ、遠路はるばるよく来てくれた、
まずは王に会ってくれ、それから城を案内して、夜はパーティーだ」
出迎えた王子が言った。
人の形になったリュウが別行動をとろうとして脇の階段に進むとメイド達が立ちはだかって王子の後について進むようにうながした。
「おじさん達に挨拶したいだけなんだ」
そう言うリュウに対してメイド達は、笑いながら・・・
「大丈夫ですよ」
とだけ答えてリュウの周りを囲んで王城の奥に進んで行った。
アンとレイは帝国にいたので慣れていたがアシャはキョロキョロとまわりを見回していた。
「すごい天井が高いねえ」
「人の形をとらないドラゴンが通れるようになっているんだ」
「へえ、これだとドラよりも大きいのがいるのか」
「ドラ様はまだ大きくなりますよ」
リュウは母親のドラのことを皆が知っていることに少し鼻が高かった。だがアンとレイはキョロキョロしている田舎者のような態度のアシャが少し恥ずかしかった。だがアシャはそんなことにはお構いなしで・・・
「魔族が入れないように通路を狭くしないのかい」
「人専用は小さいよ、人用は色々とトラップがあるからあまり歩き回らない方がいい。
ほら、そこは彼がとらえられていたときの部屋だ、まわりには見えないがトラップがある」
「丸見えだね」
「兵隊と一緒に地下の牢に入れておくことも出来ないし、かといって普通の部屋で逃げられるのも困るから」
接見の間まで来ると王子はアシャ達にマナーを少し教えてすぐ中にはいった。アシャ様、アン様、レイ様、リュウ様と名前を呼ばれて王の前に進み出た。王は老人で眠そうにしていたが背筋は伸びて強そうな雰囲気をしていた。王の周りには数人の家来らしき人達が立っていた。
「やあ、よく来られたヒーラーの方々よ、王子の命を助けてくれたこと深く感謝する。ここはあなた方の家だと思ってくつろいでいってくれたまえ」
そう言うとさっさと引き下がって行った。
王が退出すると周りにいた人達がアシャ達に歩み寄ってきた。
「リュウ、ドラの子よ。
私はドラの親だ、そしてこれはお前の兄弟」
リュウのおじいさんにあたる男の後ろに男の子と女の子が少し隠れて立っていた。二人は手でうながされると前に出て挨拶をした。
「お前の兄のサイラだ、可愛がってやるから、仲良くしろ」
「私はたぶん姉のライザです、よろしくねリュウ」
リュウは自分以外の兄弟は戦争で死んだと思っていたので驚いたが、自分に兄弟がいることを素直によろこんだ。しかし二人が兄と姉と名乗ったことに引っかかった。
「私が産まれた時はまだ他の卵はかえってなかったから私があなた達の姉です。
敬いなさい」
サイラとライザはケラケラ笑いながら。
「卵として先に外にでたのがお兄さんお姉さんだがそんなこと母さんにも分からない、つまり先に名乗ったもの勝ちだよ、リュウは遅かったから妹だ」
リュウは納得いかないのでくってかかったが他にいた大人のドラゴン達にかこまれながら奥の部屋に行った。
王子は笑いながら・・・
「リュウは夕食まであそこで遊んでもらおう」
そう言うと、今度はレイのまわりに人が集まった。
「あなたがレイね?
お母さんにそっくりだわ」
「は?お母さん、ここにいるんですか」
「今までいっしょにいたんでしょ?」
「レイラ?」
「そうよ、私はおばあちゃんにあたるの・・・ハハハッ、私がおばあちゃんか、さあさあおばあちゃんと呼んでおくれ」
そう言うと取り巻きに囲まれてレイをつれて奥の部屋に消えた。レイはお化けを見たような顔をしていたが、アンもあっけにとられながらも自分にも何かあるのかと回りを見回した。
「アンにはサプライズは無いから」
アシャはそう言うとアンはがっかりしながらも王子に連れられて城の中を案内してもらった。王子はアシャにたずねた。
「レイの魔法の腕はどうなんだ」
「まあまあ使えるよ」
「まあまあなら仕込まれるだろうな、あそこは代々魔法使いの家系だから、まあまあ、だと認められない」
「まあまあのままだと追い出されるかな?」
「いや、それは無い。
ただ厳しく仕込まれるだけだろう。
父親も優秀だったからそう簡単にあきらめないさ」
アンはレイがどうなるのか気になってしょうがなかった。
「レイは帰らずにここにいるのかな?」
「そうなるだろうね、追い出されたらまた帰ることになるかもだが。
レイラは親子の涙の再開がいやだからこうしたんだろうからまた帰ってこられても困るだろう」
「なんで今さら」
「この前さ、魔族のぼくちゃんにレイが半殺しにされたのにこりたんだよ。
あそこで思っている通りに育てるのはムリだって」
王子は黙って先頭に立って歩いていた。中庭に来ると世界中から集めた薬草や珍しい植物などの説明をした。アシャは興味なさそうに草をつまみ上げて下から見上げながら話を聞いていた。王子は一通り説明すると、次に神殿に招き入れた。
「うちは君達のようなけた外れのヒーラーはいないが力のあるヒーラーは何人かいるんだ。
魔法使いもヒールを使うが、ヒールをかける時は場所をキチッと特定しないと効果的に治療できないので処置できなくて困ってしまう。そういうのはヒーラーにまかせて時間をかけて治療していたがビンセント殿が見事に治して行ったからうちにも彼ぐらい力のあるヒーラーが必要だと思ったわけだ。
うちにもかっては君達にも匹敵するヒーラーはいたんだがもう引退していてね」




