王様
「やあ、俺を覚えているか」
「ああもちろん、賢者、たかし」
「それは良かった、影が薄かったから忘れられているかと思ったよ」
「そんなことはない、へんな武器を作っていたのを覚えている」
賢者たかし、彼は王様である勇者と一緒に転移してきた。あまり運動神経が良い方ではなかったので裏方に徹して、戦略とか武器の開発を主な仕事にしていた。
「へんな、っていうのは当たっているのでどうも返答に困る」
そう言いながら剣を出した。
「二人はまだ聖剣を入手していないなら渡したいと思ってね」
「リュウは飛び道具の聖剣を手に入れているぞ」
「そうか、なら必要ないな」
たかしは少し寂しそうに剣を前に出すとりょうに渡した。
「いずれ本物を手にするだろうが、それまでこれを使ってくれないか」
「ほう見事な片刃の剣だ、だがそれだけでは無いのだろう」
「ああ、もちろんそうだ。
ここにあるボタンを押すと電気が流れるんだ、私たちのいた世界ではスタンガンと呼んでいたが、それはどうでもいい、触れさえすれば倒すことが出きるから是非使ってくれ」
「ああ、ありがとう。大切に使うよ」
「それで」
「それで?」
「使った感想が欲しいんだ」
「変わってないな、研究か、分かったよ」
王様は笑いながら付け加えた。
「トランスやトランジスターを作るのに苦労してね。国じゅうから錬金術師を集めても出来なくて育成したり大変たったんだ」
「雷を操る魔術師を育成しないのがあんたらの良いところだよ」
「その手があったか」
ハッハッハ、と笑いながら王様は頭をかいた。
部屋の外では何やら騒いでいた。
「姫様、お待ち下さい」
何人ものメイド達がとめたが姫がドアを勢いよく開けて入ってきた。
「お初にお目にかかります、王女のヒイラギです。
勇者パーティのメンバーがお越しとは、いよいよ魔王退治に出掛けるのですね。わが父はもう歳ですから私が出掛けまする」
王女ヒイラギは剣士の出で立ちで光輝く鎧にひときわ長い長剣を肩に担いでいた。
王様は見ないようにしながら言った。
「お前にはここに来るなと言ったはずだ、その言いつけを守れなかったのでパーティにはいれない」
「何をおっしゃるのです父上、私しかこの大役を成し遂げることはできません」
「お前は待てと言っても先に進む、それでは早死にしてしまうし、皆も危険にさらしてしまう。
失格だ」
「必要とあらばじっと待ちましょう、いまいちど、父上、ご再考を!」
王女はメイドと衛兵に引きずられるように退場していった。
「男のように育てたのがいけなかった、大人しく育てて学者にすれば良かった」
「若い頃のあなたにそっくりですよ」
「そうか、、、だがあの子には聖剣が下されていないし、加護がない。
やはり違うのだろう」
このやり取りの間も、賢者たかしはリュウの聖剣を見せてくれないかと頼んでいたが、診療所に置いてきたと聞いてがっかりしていた。
そこで賢者の作った鉄砲をリュウに見せた。
「こんなのでしょ?」
「筒が二つで横に並んでた」
「ショットガンか!
ドン、っ感じで撃った?」
「いや、バンバン、バンバンバン、ババババババ、
とか」
「機関銃にもなるのか」
「これみたいに詰めないよ」
「玉もいらないのか。
分かった分かった張り合うのはやめよう、聖剣なんだから勝てなくていいんだ、むしろ勝ったらおかしいんだ。
だがこれは兵隊に持たせるんだ、強い武器になるから。
魔族用に聖なる祝福をした玉を用いるとして、もっと口径を大きく、もうちょっと工夫をして、、、そうだもっともっと火薬を増やして」
リユウは賢者が一人でぶつぶつ言い出したのでそっとしておいた。
王様は上機嫌であった。
「二人が来てくれたお陰で、たかしも刺激を受けたな」
リョウは思い出したので言った。
「聖剣のパイプが幾つか余っているから使ってくれとアシャが言ってたがどうする?
切り刻まなくとも勝手にリュウの使っているような形になったみたいだが」
たかしは二つ返事でもらう約束をした。
「昔ほどの悲壮感はない、だがいくら用意しても安心は出来ない。
という事で、たかしに頼んで色々防御装置を作ってもらったんだ。
どうだろう、見てくれないか」
王様と賢者は二人を連れて城の外堀に向かった。
「これは電気を通す線だ、さわると感電して死ぬ。
今はながしていない、感電して人が死ぬとまずいから。
ほら」
そう言うと王様は電線をつかんだ。
「あわわわわっ!!!」
感電したふりをしたが、二人は冷静に、、
「変わってませんね」
そう言って笑った。
今日は泊まっていくことにしたのだが、その夜になって王女ヒイラギがリョウの寝室まで来て頼んだ。
「なんとかメンバーに入れてくれまいか」
そう言って土下座をした。
「王様も勇者時代になにかと言うとそうやって地面に這いつくばったものだが。
あなたの父上がダメと言っているし、今回はグループとして動くかどうか分からんよ、ヒーラーと魔法使いをあの二人が引き受けるともかぎらん。
昔と違い軍隊として動くと思うし」
「では、私に何がたりないのか、鍛えてくれまいか」
「帝国に連れて行くわけにはいかないし、アシャたちの診療所は・・・あふれかえっているし。
・・・ここで少し、教えるのは良いだろう、私の方から王様に言っておこう。それで才能があるなら私が剣を習った天空の里で本格的に修行をすればどうだろう」
りょうは王女がこれで諦めるだろう、と思っていた。
王女は目を輝かせて二つ返事でお願いすることにした。
「では私はここの状況を皇帝に知らせてからまたここに帰って来るから、それからはじめよう」




