王様
次の日になって、レイは元通り片方の目がほんのちょっとつり上がった顔になった。だがまだ少し安静にするようにレイラに言われて横になっていた。
アンとミュー達はアシャの診療を手伝ったり掃除をしてすごしていたが、リョウはリュウと王様の所に飛んでいった。
この世界はアン達がいた帝国とレイラやドラがいたドラゴニア王国、そして魔王が降臨した暗黒地帯を平定した勇者である王様が支配する地域に分けられる。アシャやレイラがいるのは勇者である王様がいる地域であり、二人は神官的な地位についているが曖昧な感じはあった。
リョウとリュウはかつて勇者パーティーにいたので王様とは旧知の仲であった。色々と話したいことがあったので会いに行くついでにアシャに頼まれた魔王の王子達を奉る塚を作るよう頼みに行った。
「久しぶりに空を飛んだが速いな、あっという間に王宮に着きそうだ」
「本当ならもっとスピードが出るんだが、リョウは少しどころじゃなく重くなったな」
「昨日の酒が残っているかな?
いや、筋肉がついたからかもしれないな。脂肪はここまで歩いてくるのにだいぶ落ちたぞ、ハハハ」
リュウは納得がいかないが黙って飛び続けた。リョウは聞きたいことがあったのでリュウに話しかけた。
「ドラはリュウの母親だろ?」
「そうだよ」
「アンの母がアシャだよな?」
「そうだね」
「なんで隠してるの」
「さあ・・・もうずっと同じものを食べているから二人とも同じ臭いになってる。シャーとかも気づいてるよ。レイにレイラも同じ臭い」
「旦那が魔王との戦いで死んだからか?」
「そうだな、それはあるかもしれない。魔王はまだ生きていて、地上を制覇するため侵攻する気配がある。自分が旦那のようになるとまたアンを親として放り出すのが嫌なんだそうだよ」
「ドラが聞いたのか、アシャはめんどくさいな」
「王子との戦いのように圧勝はできないだろうし、まあしょうがないかも」
いろいろと話しているうちに王宮が見えてきた。王宮は城塞都市の中央にあり、平べったく真ん中に少し突き出た塔がある作りになっていた。
「デカいのを作ったな。あれなら大きな魔族の兵隊は自由に動けないか」
勇者の王様は元々地球からの転移者であり四十過ぎてから来たのでもう老人であった。転移まえは学者をしており魔王を魔界に追い返した後、転移前のいろんな知識を使って城を作った。
「おお、リュウにリョウよく来たな。神様から聞いたよ、魔王の王子を捕らえたらしいじゃないか、これはお手柄だ」
「アシャがキレてやったんですよ、娘のアンとレイラの娘をやられたんで」
「そうかそうか、娘たちは元気なようだ、それで王子はどうするのだ」
「今は神殿で祝福してますよ」
「ハハハっ、魂、いや根源が浄化されると面白いな」
王宮には黒い板が沢山並べられており、ケーブルが足もとに転がっていた。
「あんたは昔から変わっていたが、なんだいこの板は」
「これはPVパネルだよ、太陽の光を溜め込んで夜になると城の中や外を明るく照らすんだ」
「魔法で照らしちゃダメなのか?」
「アンチマジックとか使われると困るだろ、これにも問題点はあるが魔王はそれを知らないからね。
それに他にも使い道が有るんだよ」
王様は二人を城の中に招き入れた。
「御用向きはなにかな?復活しそうなアレのことかね?」
「そうだ、あんたはもう歳だ、今度の戦争には参加できないだろう、かわりをどうするのかとお聞きしたくてね。娘がいたがそれを出すのか?」
「いやいや私が参加するよ、娘は出たいだろうがまだ子供だし、鍛錬はしているが普通の人だ。だが後継者が出来たのでそれにもやってもらうよ。
リョウは参加する気なのかね?」
「私はしがらみがないし、異常な人だからな」
「帝国の騎士団長に返り咲いたのだからのほほんとしておけば良いものを」
「そうもしてられんよ、今度は皇帝が乗り気なのもあって、帝国のヒーラーやらを参加させて決着をつけると言ってる。
それで後継者とは?神が遣わしたのか」
「ちょっと複雑だが、まあ、ふにゃ、だ、正確には違うが」
リュウには分かっていたので言った。
「こん棒だね、ふにゃ、の聖剣。あれが転生者で神の加護持ちだ。ふにゃ、も転生者だがそもそも戦いをするためにこの世界に来ていない」
「こん棒って、物、じゃないか。生きてるってことなのか?」
「生きてるか生きてないかで言えば、生きてないが。魂は宿っている」
「神は物好きだな、だがこん棒は死なないな生きてないから。これは上手く考えた」
「壊れるかもしれないが、死なないな生きてないから」
王様は笑いながらお茶をいれて二人に進めながら言った。
「私のようなオッサンを転移させたからな、確かに神は物好きだ。だが少年少女達を騙して戦場に駆り出したのは私だ申し訳ないと思っているよ」
「こっちの世界では成人だから。私に関しては自分の意思で帝国を出てパーティーに加わったので気にすることはない」
「アシャやレイラは私を恨んでいるだろうな」
「なんとも言えないな、二人は何も言っていないが、娘たちが元気なのでもう旦那のことは忘れたかもしれない」




