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プチヒーラー  作者: テクマ
18/89

リョウ

「まっ、魔女!」


村人がおびえながら呟いた。アシャは村人を見ると近づいていった。


「私はただのヒーラーだよ、それに魔女にもいい魔女の方が多いし。

さあ、さあ、悪さをするアホはもういないから村に帰りなさい。あんたらが村につくころには向こうも片付いているだろう」


村人は仲間をおこすとアシャに深々と頭を下げて小走りに走り去った。

アシャは村人達を見送るとレイの方に歩み寄って顔をさすった。


「レイは自己修復をかけたみたいだね、だが顔がメチャクチャだレイラは怒るだろうな。

アンは・・・ふくれて泣きはらした顔で寝てるようだ。これは問題無いな」


アシャと王子のとばっちりを受けた魔族の兵士は灰になっていた。


「けっこういい兵隊連れていたんだな、さすがに王子だよ」


ぶつぶつ言いながら、アシャがレイの顔を修復しているとアンが目覚めた。


「うう、頭が痛い、二日酔いかな。ここはどこだ、トラ箱ではなさそうだが」

「お前はビンセントのところで酒飲んでたのか」

「あ、そうだ後ろから頭をつかまれて・・・アシャが助けてくれたんだ」

「ありがたく思えよ、不肖の弟子。私が来なかったら殺されていたぞ」

「なんとなくアシャが近づいてきているのは分かったんだけど、あのにやけた魔族に気をとられて・・・」


アンはアシャがレイの顔を気にしているのを見て言った。


「レイは、重症なの?」

「美人がマニア好みの顔になったから元に戻してるんだ。

もちろん命は問題無いよ」

「それは良かった、私も後で顔の修復を頼もうかな」

「お前の鼻はそれ以上高くならないから、それで満足しろ」


安心したアンはふらふらしながら座り込んだ。

ドラは二つの肉のかたまりを足で転がして血がにじみ出ないように灰をまぶして袋につめた。


「アシャ、どうします」

「とりあえず神殿の地下において、そのうちうちらの王様に頼んで神々しい塚を作って安置してもらおう。

専門の神官が神からの祝福が常に降り注ぐように祈りを捧げるようにして」

「それはいい。もっとも神に祝福された魔族の王子になるわけですね」


レイの顔の修復が大詰めにさしかかってアシャはアンとドラに聞いた。


「レイの顔ってこんな感じだったっけ?」


ドラは笑っていたが、アンは真面目に答えた。


「んーーー、綺麗に治ってるけど、なにか違和感が。

そうだこれは左右が完全に対象になってるんだ、レイは右側の目が少しつり上がっていたはず」

「あぁそうだな、これならいいか。

いや違うか・・・

ま、これで少なくともレイラは気付かないだろうし、そのうち自己修復で元に戻るだろう。

このまま寝かして連れて帰れば朝までになんとかなるだろう」





診療所に帰るとミューたちはまだ帰っていなかった。アシャはレイラに言った。


「おーい、勝ったぞ」

「え、何に?」

「魔王の王子に」


レイラはあっけにとられたような顔をしていたが、リョウは笑いながら言った。


「ハッハッハ、もっとうまい嘘をつけ。お前らが遅いから先に食ってるぞ」


リョウは少し酔っていたが、レイラはレイがアンにかつがれて入ってくるとレイを抱きしめて言った。


「どうしたんだ、お前がついていながらこれは無いだろ」

「だから、激しい戦闘をしてたんだよ。レイなら大丈夫だ、消耗が激しいから寝かしたままにしているだけだ。

で、私が王子を仕留めた」

「本当か、この子らは狡猾な相手を倒すのは無理だもんな、もっと軍隊式に追い込んでしこんでいたら別だが。

しかし、王子を倒したのは良い知らせなのかな、魔王が怒るだろう」

「そうならんだろ、王子はかなりの跳ねっ返りだし、そもそも殺してない」


ドラがかついできた袋を指差して言った。


「肉のかたまりに根源を閉じ込めてきたのか、魔王が取り返しに来るぞ」

「すぐ返してほしければ話し合いをするよ、それなりの条件を飲んでもらうがね」

「来なかったら私らの代が終わるまでお守りするのか、ダルいな」

「アン達の代にもやってもらおう、その子供達にも」

「双方にとっての嫌がらせだな」

「ハハハッ、文明が終わるまでやってやる」


レイラはレイをベッドに寝かせるとドラと一緒に神殿に行って肉のかたまりを地下に置いた。


「毎日レイと一緒にお祈りをしないとね、神様に祝福してもらうよ王子様」


レイラは氷のような笑みを浮かべて二つの塊を見ながら地下室の扉を閉めた。





しばらくするとリュウとミュー達が帰ってきた。


「勝ったんでしょ」


レイラが言うと、タマが困り顔で言った。


「勝ちましたわ、ただ、すぐど付き合いになったんやけど、途中で、なんか向こうの力がすうっと無くなって拍子抜けですわ」

「アシャがあいつらの親分をやったから、分け与えられる魔力が無くなったんだよ」

「そうでっか、とりあえず全部灰にしときましたわ。

と、言いたいとこですが、逃げたのいますわ」


「これは父親に言いつけるだろうな」


その日は皆でご飯を食べて床についた。


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