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プチヒーラー  作者: テクマ
16/89

リョウ

「うまい、うまい、うまいね。

マンティコアは蛇の部分が淡白でいいよ」


アシャは大喜びでマンティコアを食べていた。


「あれ、あんまり食べてないね。みんな食べないの?」


「うちらは焼きながらつまみ食いしちゃったのでへへへっ」

「あー、ほほ肉がないか、あそこ旨いんだが、まあ、捕った人の特典だな。

それで明日は東の森でマンティコア狩りに行ってね」

「今日のとは別に?」

「皆が猟に行ってるときにギルドから依頼があったのだよ」


タマが食べながら。


「増えてまんな、魔物」

「それで簡単に倒すんじゃなくてさ、対魔物用に手順を踏んで倒してよ」

「ヒールで弱らせて

動け無くして

急所を一発

でっか」

「そうだね、ふにゃ、はこりごり行くかもしれないけど。

増えてるから」

「そろそろでっか」

「そうだね」


それからアシャかレイラが付き添って毎日のように猟にでかけた。


「食べきれないな、売るか」

「ギルドで引き取ってくれますがな」

「そうなの?」


肉を売ったお金が沢山入ってきたので裕福になった。


「診療やめても生活出来るな、ハハハ、まあ、やめないけど」


連日の狩りにミュー達も疲れていたが、アシャにヒールで強制的に元気にされハイになっていた。


「診療所も儲かってまんな」

「そうなんだ手足食われた患者が増えてアンやレイのいい勉強になる。

間違って足に手を生やして切ってやりなおしとか出来るのもヒーラーが多いここならではだよ、普通なら力が続かないからそのままにするところだ、ハハハハッ」


アシャもハイになっていた。




あるとき女騎士のリョウが訪ねてきた。

リョウは国境で呪いの病をアンに治療してもらっていたのだが。アシャとレイラとは顔見知りのようだ。


「おお、久しぶりだな。アン殿」

「リョウさん、もしかして再発ですか?」

「足は良好だ、今日はここに魔物が沢山でるそうなので切りにきたよ。

それと、アン殿の師匠ビンセント殿が釈放された、と言うのを伝えにきた」

「そうですか、良かった」

「それほど嬉しくなさそうだな」

「いえ、いえ、ただ家督はもう子供についだのでどうなるのかと」

「ビンセント殿は公爵だよ、ジュニア殿は騎士爵だ」

「どういう?」

「実力至上主義だからジュニア殿は騎士爵に降格して、各家の決定には従いながら、ビンセント殿を新しく公爵に任命したんだよ」

「そうですか」


アンがあまり話にのって来ないのでリョウは事務的に話を進めた。


「ビンセント殿がアン殿を連れて帰って来てくれと言っている。

強制ではないがね」


アンは困りかおになって黙ってしまったが、アシャは怒り出した。


「この子はここで楽しくやっているから帰りません」

「アシャ殿はもう、、」

「この子はもうドラゴニアに行くことが決まっている、それまではここにいます」

「ドラゴニア?」

「そう、あそこの王子が洞窟で魔物に殺されかけたのを助けたさいに約束したんだよ」

「そうか、まあそれならそれが一番だな。

アン殿おめでとう、これは出世ですな」


アンは話が急に進んだのであっけにとられていた。


「まあ、ここはドラゴニアの方が近しい関係にあるし、いい話だよ」


リョウの話からドラゴニア王国の神はドラゴンでドラは元々守護神の一体で崇められる存在であり、レイラの出身もドラゴニアだそうだ。アンはモヤモヤしていたものが晴れて呟いた。


「それで王子事情に詳しかったのか」


リョウは、ハハハッ、と笑った。


「レイラ殿は王子の5番目の結婚相手なのを嫌って魔術師と駆け落ちしたからな」


レイラは髪を逆立てて怒り出した。


「それ以上話すとあなたを殺します」

「ああ、すまない。


リュウはどこかな?

久しぶりに会いたいところだが」

「リュウはミュー達と魔物狩りに行ってますよ」


アシャとレイラとドラは、こいつに自由にしゃべらすと危険だ、と思った。


「アン、アンは皆に今晩の食事は一人増えるから沢山獲物を捕ってくるように言ってきてくれるかな?」

「え?肉のストックも沢山あるし、ギルドに卸す前にここにもって来るから、、」

「山菜も必要だよね、リョウは野菜も好きだし」

「あ、あっ、ハイハイ、行ってきます」


アンははじめて聞く話が面白くてもっと聞きたいと思っていたが、何か大人の話があることにやっと気づいて外に出た。


「盗聴の魔法を覚えておけば良かった」


とは言えアシャが怖いので走って森の中に入って行った。

アンがいなくなるとアシャがリョウの両肩をつかんで言った。


「ここで歓待されたければ、私たちの過去をあの子達に話さないでくれ、いいな」

「二人が二人の何だとは言ってないぞ、雰囲気で分かったから、まあレイラのは不味かったか。

久しぶりに会ったのでつい口が滑ったんだ」

「いいか、リョウ、私達で終わらせるから。あの二人には余計な重荷を背負わせたくないんだ」

「ああ、分かったよ。しかしよく隠し続けているな、子供らも気付いているだろ・・・というかアシャ顔が近い」


アシャはリョウの肩から手を離すと両手を組んで見下ろすように言った。


「今の安定感が丁度いいんだ。私達がいなくなってもあいつらは、逃げやがった、くらいに思って忘れるだろうから」


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