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プチヒーラー  作者: テクマ
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シャー

「ふう、すっきりした。

良く出来ているよ、この杖は。

間違いなく聖剣・・・じゃないな、これは聖者の杖だ」

「あの、もっと、こう洞窟内を探検してから、魔物をピカッと退治して、そう思っていました」

「なんだ冒険したかったのか、どうせ低位の魔物しか出てこないよ。・・・しょうがない行って来なさい、生き残った魔物かひくついて倒れているだけだろうけど」


シャーも加わって洞窟の奥に向かって歩いていった。保護者としてアシャも後ろからついていった。


「お、ここでのびてるの旨いやつやろ」


そうタマが言うとクロがとどめを刺してわきにおいておいた。帰りにもって行くつもりだ。


「ああ、まあ、味は良いけど脂っこいんだよな、少しあぶって脂落とすといいかな」

「姉さん、まだ脂気にする歳ちゃいますやん」

「いやいや、結構来てるんだよ」


そう言ってアシャは腹の肉をつまんだ。アンは笑いながらもそんなアシャを少し嫌だなと思った。


「そろそろ行き止まりだろ。

ほら結構浅いんだよ、このダンジョンは」

「おお、魔物がお宝溜め込んでますやん」


タマが宝物の入った箱を見つけるとはしゃぎ出した。

その横にかろうじて生き物と分かる、魔物の食べさしが無造作に放置されていたのだが。


「これは人かな、手足は無いが生きているから蘇生できそうだ。

アンやってみろ」

「ここまではやったことがない、どうかな」


そう言うとアンは、その生物かもしれない物に手をかざした。


「失われし癒しよ、再びこの者に宿りて女神の加護を授けよ」


強い光と共にその生き物の四肢が元に戻った。

アシャは嬉しそうに笑いながら。


「成功だ、よくやった。

んー、男の騎士だな、たぶんそうだ」

「いゃー、帝国で従軍した時はここまでは出来なかったよ」

「しかし、加減はまだまだだな、これは癒しが多すぎだ。

お前はまだ相手の状態と自分の実力の差が開きすぎて・・・」


アンは、またアシャのお小言がはじまったと思っていたが・・・

男の騎士はうつ伏せの状態から真新しい両手両足を使って立ち上がると激しく息をしながら目を見開いてこちらに向かって歩いて来た。

ミューは『発情してるようですねへへへっ』と言った。

騎士は上目づかいに。


「ハアハア、ありがとうお嬢さんたち。

瀕死だったが何とか、生き返って、なんと言うか、絶好調だ。

こんなこともあるんだな」


アシャは苦笑いしながらアンに言った。


「アレを用意しとけ」

「、、、え、あ、あれ?

あれって?」

「はやく!」


男の騎士はヨダレをたらしながら近づいてきたが、アンはあたふたしてなにもできないでいると、レイが捕縛魔法をかけた。


「危なかった、今回は間に合ったね。レイラに報告だ」

「何だったの今の?」

「元気になりすぎたんだよ」

「あっ、あー、え?」


アシャが言った。


「お前が得意な鎮静効果のあるヒールをかけてさしあげろ」

「あ、ああ、あれね。

そう言えばいいのに」


アンがヒールをかけると騎士は体から力が抜けたように膝をついた。


「俺はどうなっていたのだ、こんな状態で助けてくれたおばさんに・・・」


そっちかい、とみんな心で呟いたが。アシャは何事もなかったかのように。


「ここで何していたんです?」

「腕試しにダンジョンの攻略をしに来たんだが強い魔族に負けて餌にされていたんだ」

「強い魔族?」

「エルダーリッチかな」

「それならヒールに弱いから、消し飛んだんだと思うよ」


アシャは、じゃ、と言って皆を引き連れて帰ろうとしたが騎士は。


「助けてくれたのだ、何かお礼をしなければ気がすまない」

「その気持ちだけで十分ですよ」

「いや、そうはいかない」


騎士は後を付いてくるので宝物を見られたくないアシャはしかたなく言った。


「お兄さんはどこの国の人?」

「私は・・・その、帝国と敵対している・・・」

「こんなところに来て王国に捕まると牢屋に入れられるから言えないよね」

「しかし、こんなに魔物がいるのは他に類を見ないので・・・」

「・・・アンの師匠のビンセントが捕まっていたっけ?

アンはもうどうでもいいだろうけど」


アンは・・・


「釈放してあげてほしいな・・・」


と呟いた。ビンセントが予想より早く釈放されて帰ったときのジュニアの困った顔を想像してニヤリと笑った。

騎士はその笑いを好意的に受け取って。


「帝国のヒーラーの知り合いか?

釈放するのはいいが、誰か代わりにヒーラーを紹介してくれないか?

ちゃんとした身分で雇うから」

「ビンセントクラスなら・・・今すぐは無理だだがそのうち現れる」


アシャが言うと騎士はすぐに。


「そうか、ではその人を迎え入れよう、忘れるな」


そう言うと名前も告げずに騎士は帰って行った。


「あの騎士は捕虜の釈放を口約束して行ったぞ、ビンセントが本当に釈放されたら、ありゃ王族ってことだろ。

アン、レイよ玉の輿になるチャンスだったな、惜しかったよ」


アシャは、キャハハハ、と笑った。

しかし、シャーは。


「惜しかったのはアシャさんだよ」

「なんでだよ、シャー達も愛でられながら城で何不自由なく暮らすチャンスだったぞ」


アンもレイもミューからクロまで、この人は鈍いな、と思った。


「しかし昔はそれほど深くないと思ったけど、今回のここは気分的に結構深いな。

だいぶ魔王の影響が来ているのか」


皆で魔物が集めた宝物を分担して担いで穴の外に出た。


洞穴の外には入るときには無かった馬の蹄のあとが沢山あった。


「お迎えが来ていたか、ますます期待が高まる。

さあ帰ろう、留守番させたレイラが怒ってしまう」


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