最終話、そして、これから。
俺はプロポーズを決意した
一度目の結婚ではできなかったプロポーズをしたいと思った
嘘をつくのが下手だから
結婚の話題になるとバレるから
おれは話を逸らし続けた
計画の第1枚目「D」の写真を二人で撮った
彼女は「なんでDなの?ねぇ?」と詰め寄ってきた
俺は「最近、ワンピースのモンキーDルフィにハマってるんだよ」
下手な嘘だ
俺は確信した、これは1年掛かる、と
12枚の写真を一枚の写真にしたかった
「DO YOU MARRY ME」
しかし、Dで確信した、これはバレるかもしれない
だからひと月に1枚のペースで計画を進めた
彼女は結婚をしたいと願うが、俺は話を逸らす
周りも、結婚しないのかと聞いてくるが
そういうんじゃないから、とはぐらかす
どれだけクズ野郎カス野郎だと思われただろう?
けど、もう中途半端なことはしたくなかった
自分で決めたことだ
成し遂げたい
ある日、親方に詰め寄られた
「ハリー、お前が何か考えてるのはわかる、中途半端な気持ちで彼女さんと付き合ってないのもな、なにかあるなら話せお前はもうひとりで抱えなくていい」
考えた結果、親方だけには話そうと思った
結婚を真剣に考えているけど
プロポーズしたくて彼女を傷付け続けていること
それが一年計画で丁度3年経つ
来年の4月にプロポーズしようと思っているということ
すると親方は
「馬鹿野郎!!女の子はな、どんなに記念日が増えても嬉しいんだよ。お前が真剣に考えてる、それは素晴らしいし、サプライズもきっと喜んでくれる。だけどな、それが彼女さんを傷付け続けていいって理由にはならないんだ。いいか、早くて悪いことはなにもない。早くそのサプライズを完成させてプロポーズしてやれ!!馬鹿野郎が!!」
ほんと、お節介だよな
けど、ずっと一人で考えているのも、彼女を傷付け続けるのも、そういう抱えてたものがふと、楽になったんだ
俺は急ピッチで写真を完成させ、11月1日、プロポーズをすることにした
彼女の妹に彼女を呼び出してもらい
スナックに協力してもらい
完成した動画を見せ
作業着からスーツに着替えてプロポーズをした
彼女は受け入れてくれた
傷付け続けた俺を許してくれた
俺はもうこの子を悲しませない
必ず幸せにする
生きるって何があるかわからないけどさ
生きててよかったよ
ほんと、そう思うんだ。