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学園祭の時、ギターを持ってくることが多々あった。
クラスのステージ発表で僕はギターで伴奏をする事になっていたからだ。
そんな僕を見て家庭科のその教師は
「学校はギターを持ってくる場所じゃない、お前はアーティスト気取りか、そんなんだから成績も良くないんだ」と罵った。
なぜ、僕は攻撃されているのだろう?
そんな疑問とは裏腹に「ごめんなさーい笑、気をつけまーす」と口答えをすることもなく、受け答える。
社会の歩き方を知っているからだ。
しかし、わからない。僕は悪いことをしたのだろうか?
疑問はつきないが、仕方のないことだ。
そう処理した。
そして、蜂事件。
「調子に乗って、学校の風紀を見出していることに気付かないのか!!!!」
僕と家庭科の教師
ほかに誰もいない家庭科室
竹刀をバシバシと叩きつけ、僕を罵る
僕は何故怒られているんだろう
みんなのヒーローだったはずだ
疑問は尽きないが、やはり
「ごめんなさい、調子に乗ってみんなに迷惑をかけてしまいました」と謝る
しかしその、教師は止まらない
「ギターも二度と持ってくるな、お前が風紀を乱してる、制服も着崩すな、なんだその髪は明日切ってこい、眉毛も細すぎだ、今すぐ眉毛を描け」
もう既に、蜂のことは関係なかった。
担任の教師が慌てて入ってくる。
「この子にお願いした、私の責任です、申し訳ありません」
担任は僕の代わりに謝ってくれた。
そして家庭科の教師は「あなたがそんなんだから、こういうバカがつけあがるんですよ」
すみません、すみません、すみません。
担任の教師と僕はただひたすら、謝った。
謝ることで、終わるからだ。
社会の渡り方を知っていた。
知りすぎていた。
もう
無理だったんだよ。
知りすぎてる。
ウチは貧乏だから、親が共働きだったから、ゴミ屋敷だったから、母がうつ病だから、親父が才能を認めてくれない小言親父だから、三男と毎日喧嘩するから、俺はダメなんだ。
俺は、ダメな人間なんだ。
「君にはグループのリーダーとして引っ張ってもらいたいんだ」
「…ふざけるな!!!!!」
もう、いい、もうたくさんだ。
僕は壊れた。
家を出て
学校も辞めた。
やりたいことだけやって
やりたくないことからは逃げた。
音楽も、ほとんどやらなくなった。
生活は一変していった。