2
気付けば、高校を中退していた。
高校を中退して、中退した高校にたまに遊びに行くのが楽しかった。
「げんきしてたか」「かっこよくなったね」
「久しぶりだね」
俺はその学校で特別な存在になれた。
家に帰ると、うつ病を抱えた母と口を開けば喧嘩を仕掛けてくる三男の兄と、小言の絶えない父。
無理だった。
今まで我慢してたものが、全て決壊してしまった。
小学生のとき、何故家に帰ることが少なかったのか?
ゴミ屋敷だった。
歩くのは服の上、テーブルなんてあるようでない。
家に帰っても夜になるまで誰もいない。
父も母も共働きだった。
小学校一年の時には既に炊事もできるようになっていた。
5人兄弟で、末っ子。
甘えたくても、甘えちゃいけないことを悟っていた。
だから頑張った、既に社会の渡り方を知っていた。
中学生の頃になると上の兄弟は自立しており、三男の兄と父と母と僕の4人暮らしで一軒家に住んでいた。
ゴミ屋敷からは脱出していた。
しかしこの時、看護師だった母は自律神経失調症とうつ病を抱えていた。
高校の推薦受験面接日の前日の深夜。
僕は明日面接だというのに、寝ているところをハサミで襲われた。
「鬼はお前か」と謎の言葉をつぶやき、母は僕の前髪をバッサリと切った。
泣きながら、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいと謝っていた。
母は、必要のない警察や消防などを呼んで、「鬼がいる、鬼に殺される」と泣き叫ぶ始末。
母はそのまま精神病院に入院することになった。
僕は家に帰るのが少なくなっていった。
学校が終わったら週5で10時までバイトをして週末は朝から17時までバイト。
日曜日は友達や彼女の家で過ごすようになった。
もう、学校に行くのもめんどくさくなってきて
気付けば留年ギリギリのところまで、学校を休むようになった。
ある日の授業中、クラスにスズメバチが入ってきた。
みんな僕の名を呼んで「お願い、倒してくれ」と僕を頼った。
僕はクラスのリーダー的存在だからだ。
下敷きを構えて、蜂を倒そうとする。
まずはクラスから蜂を追い出さなきゃならない。
都合よく、蜂を廊下に誘導することに成功する。
歓声の中、蜂を追いかけ
遂に、蜂を仕留める事に成功する。
しかし急に誰かにネクタイを強引に引っぱられ、無理矢理連行させられた。
家庭科の教育指導係の教師は俺を嫌っていた。