表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/10

③攻略アドバイス【輝視点】


僕の生活は、先輩に告白してから変化を遂げた。


今までも充実した毎日は送っていたけれど、その比じゃない。言うなれば、超充実している。


朝は4:30に起きて支度し、ジョギングに行く。朝は苦手な僕だったし、体力作りだとはいえ……先輩とのジョギング。コレは完全にご褒美だ。


その際思い切って『先輩と一緒に下校したい』と言ったら「放課後は進学希望者の為の補講がある」とのこと。

待つのなど全く問題ない。


なので放課後は補講の終わりを待ってから、先輩と一緒に下校。その間は、図書室で勉強することにした。


待つのは先輩にとって想定内だったようで、補講終わりの先輩に声を掛けると微妙に呆れられたが……

嫌がったりされなくて、正直ホッとした。


そして家ではゲームである。


最初は深夜までゲームに耽る僕を注意していた母も、朝早くジョギングに行き、放課後は残って勉強していることがわかると「身体には気を付けなさい」と言うくらいになった。


先輩の言う通りだ。

流石、先輩!好き!




順風満帆……だがしかし、ひとつだけどうにも上手くいかないことがある。


「──バルバロッサ大佐……いつになったら塩対応じゃなくなるの? !」


そう、肝心要のゲームである。

バルバロッサ大佐の好感度だけ、何故かサッパリ上がらないのだ。


各種デートイベントには


『お前にそんなことをしている余裕はない筈だ……』


(ことごと)く断られ、好感度が足らないのかと思い、上げようとひたすらミニゲームをやるも……上がらず。


他の人より倍以上の時間を掛けてアプローチしているのに!!


「キィィ~!! なんなのよ!? そんなにワタシに魅力がないというの!? こんなにもひたむき一途にアナタだけを見ていると言うのにッ!!」


……女の子の気持ちが少しだけわかった気がする、今日この頃。




そんな夜が明けた、ある朝のジョギング中。


「──どうした?」


唐突に、先輩からの素っ気ない質問。

だがそこには僕への心配が感じられる。

悩んでいるのが顔に出ていたようだ。


バルバロッサ大佐に憧れているというだけあり、先輩とバルバロッサ大佐は似ている。

クールでカッコイイ。

人一倍思い遣りがあるが、それを表だって出すことは無い。

そんなところが素敵だ。好き。


「バルバロッサ大佐の好感度が……いやっ! でもあの自分で頑張ってクリアしたいんで!!」


そう、それだけに自分で頑張ってバルバロッサ大佐とも仲良くなりたい。

攻略本に頼らないのはその為だ。




そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、先輩は言った。


「ふむ……心意気は買うが……攻略のヒントというか、アドバイスくらいはセーフじゃないか?」

「!!」


そ う か も 。


恋愛相談とか、話に聞くもんな!

(※これはゲームの相談です。)


……流石先輩!

優しい!!


──好きぃいぃぃぃ!!!


ダダ漏れになる『好き』をダッシュで誤魔化し、50メートル程で先輩のところに戻り、アドバイスを賜ることにした。


「じゃぁその……ちょっとだけ……アドバイスを……ッ」

「お……おお。 そうだな……」


今の『ヒカル(※ヒロイン名に自分の名前をつける派)』の状態を先輩は大体把握している。

常にゲームの話をしているようなモノだとはいえ、それがなんだか嬉しい。




「バルバロッサ大佐の性格を考えろ」

「…………──」



──バルバロッサ大佐の性格を考えろ?!



(…………いや、う~ん?)


先輩のゲームらしからぬアドバイスに驚いたが、

恋愛ならば相手の気持ちを考えるのは至極当然である。


確かに(ヒカル)はバルバロッサ大佐の気持ちなど微塵も考えておらず、自分の気持ちばかりを押し付けていた。

大佐は常に塩対応だからわからなかったが、迷惑をしていたのかもしれない。


乙女ゲーム、奥が深い。


「以上だ」

「イエッサー!!」


僕は、バルバロッサ大佐と先輩を重ね、思わず敬礼した。


……先輩も、本当は迷惑だったりしないよね?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] YEEEEEEES!(≧▽≦) 乙女ゲーはキャラの性格めちゃ大事! 単に邂逅頻度を上げるだけではなびかないキャラもいるんだよ! 某ゲームの超難易度高い正統派キャラを思い出しました(笑)
[一言]  好きな人と一緒にいるために早起き!  すっごい情熱…恋愛のパワーってそんなにすごかったっけ。アラフィフには眩しい…。
[一言] 輝くん可愛い( ˘ω˘ ) 完全に輝くんがヒロイン( ˘ω˘ )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ