第四話
街がある。国があって、土地があって、海があって、星があって、宇宙があって。それらは、ひとつにつながっている。人間の手で、自由に行き来することができる。同じ時間を生きている。
しかし、この世には「それぞれ別の時間」を生きる世界が他にもたくさん存在するんだ。たとえばそう、お前ら二人の生きる世界。それから、宮辺の元の世界。そして、この世界。それぞれがまったく別の、異なった世界だ。
本来ならば交わることのない、世界。
それぞれの時間をそれぞれが過ごす。
悪い事が起こればその世界の中でどうにかされ、良い事が起こればその世界の中でどうにかなる。
決して交わることは、ない。
その中のルールで生きることを強要される。世界を渡ることは、本来は禁忌の以前に、考えられないことである。
しかし稀に、不祥事が起こる。
交わるはずのない世界と世界が、ふいにつながる。……いや、その言い方は正しくない。つながるわけではない。ただ、「何か」が何かの拍子にそこから消えるだけ。そしてその異常事態を正すため、むりやり違う場所に連れ出されるだけ。
その拍子とやらは所謂「魔術」だとか「魔法」だとかが原因であることもあるし、「事故」ってのもある。世界によっちゃそう言うのが「多い」ってところもあるしな。まあそれは特例。普通はねえよ。
宮辺がお前らの世界にきたのは、「魔術」だな。あいつの力もよっわくなってるし、不祥事起こってるし。まあ、それにしちゃ代償が小さすぎる気もするが。
……ん、なんだ、ここら辺は知ってんのか。
わかってるさ、聞きたいのはその先だろ。
それぞれ、帰るべき場所ってのは決まってる。
その世界で生まれりゃその世界で死ななければいけない。そういうもんだ。たとえ違う世界に飛ばされ死んでも、その躯は元の世界に戻される。
宮辺も、同じことだ。それは、根底にあるルール。絶対的な決まりだ。たとえどんな状況であろうとも、それは正さなければならない。例えお前らの世界に誰かが呼んだとしても。
お前らがここではけっして生きられないように、あいつもお前らのところでは生きられない。海で生きる魚は川じゃ生きられん。それとおなじこと。本来ならば速効戻されるものだ。普通は、な。
さて、ここでその管理の話をしようか。
世界はそのルールに従うことで均等を保っている。だからいくつもある世界のうちどれかが消滅したとすれば、その支障はかならず全世界にも及ぶ。だが、 どうしたって不祥事ってのは起きてしまう。最近では特にそれが多い。ではそれをどうするか? 違う世界に飛ばされたやつはどうやって連れ戻される? 誰が何処に居るべきなのか、何故分かる? 何故俺がこんなことを知っている?
――それが、ALICEだ。 正確には、異界屋とALICEってやつだが。異界屋は本部。多くの世界を監視する。誰が何処に行っただとか。そういうやつ。そして、その情報がALICEへと行く。ALICEは支部みたいなものだ。実際にアクションを起こすのはその世界その世界に居る、ALICEって呼ばれる「ただの」人だ。まあ、ただの人って言うには力が大きすぎはするがな。
あいつらは普通だれもが持ってる「力」の量が異常だ。だから、つながりのない世界の間をその力で通ることができる。ま、自力で穴掘ってトンネル作るようなもんだな。だが世界渡るだけでも力を使う。さらに環境の違う世界に留まるのであれば結構な力を使う。だからそう安易には世界間を渡れないし、異界屋から止められてる。
“ALICE”ってのは、いわば世界を守る集団だな。キチキチっとその場所その場所に動物やら物やらを返して、そのつながりを戻す。上手く均等を取らせんのが、あいつらの仕事。
宮辺も、その一人。
そんでもって、ALICE設立「初期メンバー」でもある。




