表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/83

プロローグ



 知らなくてもいいことだって、あるんだよ。



 たとえば、どうでもいいような神様のこと。

 たとえば、世界のこと。

 たとえばそう――あたしのこと。



 けれど君たちは、宮辺ちゃんのことだけには気付かなければいけない。

 小さな嘘も、大きな嘘も。


 ねえ、ほら。

 早く気付いて救って見せて。


 宮辺ちゃんの矛盾したことばに。


 宮辺ちゃんのかわいい独りよがりに。




 そうじゃなくちゃ、あたしが奪っちゃうからね?


 さあ早く。

 刻一刻と、その日は近づいてる。



 * * *


 それは、とある昼下がりのことだった。


 ラベンダー色の髪が風に揺れている。紫はぼんやりと目の前の光景を見つめていた。



「あら、ゆかりい! おかえりなさあいうふふふふふふ!!」

 頬を赤らめ上機嫌に言った志貴の腕には、疲労困憊で倒れそうな翠。その傍らで膝を抱え燃え尽きているのは岬だろう。美しいはずの金髪はなんだか白く見えた。


 紫はしばらく無言でその部屋を見つめていた。

 そして、翠の縋る様な目とあった瞬間、仄かに笑って頭を下げた。


「ごめんなさい、部屋間違えました」

 ぱたん。

 たっぷり数秒扉の前で立っていた紫はゆっくり歩き出した。


「いやいやいやまてええええい」

 呻くような声が聞こえようとも振り向かない。


「た、たすけ……」

 蚊の鳴くような声が聞こえようとも足を止めない。


「ゆううかりーん」

 調子に乗った様な声が聞こえようとも動じない。



 紫は取り敢えず、暇そうにしていた明楽に会いに行くことにした。




 その先に何が待ち受けているかなど気付かずに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ