第五話
不完全燃焼……かもしれません。
でも先は長いです、きっと十部くらいまで行きます。
まるで夏休みの宿題ですね、宿題先延ばしにして最終日に一気に片付けるようになるかも……。
いや、きっと、いけます。頑張ります。
……と、言うことで二話続けての投稿になります。
「いい? 今現在、僕の知っている世界ってのは数えるのもしんどい位あるの」
紫は、眼帯に手を這わせてつぶやいた。
翠はふうんと答え、岬は身を乗り出してうなずいた。
「けど、中でも僕のいた世界って言うのは特殊なところでね。ルナちゃんなんかは“時間を失った世界”なんて呼んでるよ」
「ルナ? って、たしかあの時の……?」
「……“失った”?」
紫は静かに頷いた。
横で無視された岬が騒ぐがそれすら届いてないようだ。
「人々は、死ぬ。それなのに、決して老いない。消費された食料は翌日には元通りで、子どもは生まれず育たない。僕のいた世界の住人は、みんながみんな“不老”なんだ。けれど人口は減る一方……まさに、滅びるのだけを待ってる世界って感じ?」
「へー! まるで、漫画の世界だな」
岬がそう言うと、翠が鼻で笑った。
「俺達が言うことか?」
「いやまあ、そりゃそうですけれどもね? 魔術だとかなんだいってぶっ放してたけどね? それ言っちゃおしまいじゃね!?」
うるせと耳を抑えた翠に岬が騒ぎ出す。
そしてガシャーンという盛大な音に、二人は静まり返った。
机に置かれた片手、その上にある可愛らしい顔。
「黙って……黙って、聞いてくれるかな?」
張り付けた様な笑顔に、岬は震えあがって頷いた。
翠が二回言った、とぼやいた。
「だからこそだと思うんだけど……僕はここにきたら貧弱な体になった。時間のない世界からこの地に来て、いわばツケの様なものなんだよね。ここじゃ、何を手に入れるにもお金がいるでしょ? それとおんなじだよ。血反吐は吐くし運動神経とかもうカスだよね」
「へ、へえ……案外、シビアなんだな」
言った岬に、二人が黙り込んだ。
「え? ……なに、なんだよ?」
慌てて二人を見るが、無表情なだけで何も言わない。
たっぷり一分黙り込んだ二人は、やがて声をそろえて言った。
「「シビアだなんて……そんな言葉知ってたのか」」
「うっせえよ! もーいーから話し続けろし!」
ぎっと紫を睨んだ岬に、翠が笑った。
「もうさ、どうでもよくね」
「……は?」
紫の素っ頓狂な声に岬が思わず笑った。
翠は、頬杖をついてつづけた。
「先の話なんて今は関係ないだろ。俺たちゃ、三人そろってチームだからな」
あーだかうーだか唸り、肯定も否定もしない岬に紫が慌てて翠を見やった。
「いや、でも僕に話させようと思って追っかけてきたんじゃないの」
「べつに? 逃げる奴がいたらおっかけたくなるだろ」
岬の顔が、ひくりとひきつった。
「おま、それであんなにはしゃいでたのか! サドだ、サディストだ!!」
「普通の完成だろヘタレ」
「なんで辛辣!」
いや話聞けよと言った紫に、岬が小さく唸るように答えた。
「まあ、残念ではあるけど……紫がここにいるんなら、それでいいよ」
「ただし、帰る時はちゃんと言えよ。帰りたくても、ちゃんと言え。お前がそうしたいんだったら、いくらでも手を貸すから」
しん、と部屋が静まり返った。
二人は紫を見つめて、紫は床をじっと見ていた。
やがて、震えた声が返ってきた。
「……ありがと」
岬は、小さく笑って立ちあがった。
「俺達は三人で一人だからな!」
(……うっわ、クサ)
(青いね岬)
(ううううううるせえよ、今ちょっといい感じだったのに!)




