プロローグ
始まりました、第三章!
“旅院”編でございます♪
学園へ入学して、二回目の困難?
“旅院”君が主となります!
―――では、どうぞ。
静寂の中の音。
チクタクと、時計が拍を取る。
トクトクと、ココロは生を印す。
―――それらは、意味があって行動をしていた。
――――――
狭い窓から彼は空を見上げる。
限りなく青い空は何処か冷たく、何処か儚く、何処かきれいで。
実際は、反射して青くなっていることを教えてくれたのは誰だったか。
広く、おおきいそのそらから見た自分はちっぽけな存在なのだろう。
少し長めの茶髪に大きい黒目。
その年にしては背が低く、けれどS組である彼。
少女のように可愛らしい顔をしているが、目を伏せているからか解りにくい。
“ああ、今日もいい天気だなぁ”
ちいさく、彼は心の中でひとりごちて。
上を向いている顔は色白。
静寂の広がる、彼のいる場所に、風が吹く。
茶色の髪が耳元でゆれて、彼は小さく目を細めた。
―――なんで、人間は醜いのだろうか。
“何故、あの青空とは違うのだろうか?”
―――水に愛された少年は、その己の中にある水の鏡に人間の姿を映して。
“僕の罪は、重い”
許してなんていわないよ、“シンユウ”……。
けど、無駄なことはしない主義なんだ。
だから、抵抗だって反発だって、なんにもしない。
君は、僕を憎んでいる?
君は、僕を恨んでいる?
(彼の問いに答える者は、いない)
(シンユウは、死んでしまったから)
“シンユウ”……『親友』 互いに心を許しあっている者達のこと。
(ろっいーん!)
(何?)
親友を失った心優しき少年と、交通事故により無くなった、心優しき少年の話。
―――“あの頃には、戻れない”