007 決闘
「貴様らは、私の言う事を聞いていたかね?」
真顔が怖い。ドスの効いた声。あの厳格そうな教師だ。
「はい。」
「いや! コイツがですね。」
そういうと教師が顔をしかめた。
「私は、命令が聞けないのか?と聞いただけだ。貴様の事など聞いておらん。」
「っく! すみません。」
「もういい。貴様らは、見せしめとして決闘を行ってもらう。決闘のしきたりは、分かっているだろうな?軽々しく言うものでは、ないと。学生だからといって容赦せんぞ。」
野次馬の歓声が湧く。
はぁ!? なんです? 勝手に話すすめないでや。
こいつもこいつでなんでニヤついてんだよ。腹たつな。
「ありがうございます。クックック。この僕が相手になるんだからありがたく思えよ。3下。」
やばい。コイツぶっ飛ばしたい。
「俺もちょっとやる気出てきました。」
「え!? 決闘するの? 危ないよ! 」
ジャンヌが真剣な顔で静止してくる。だが何故だろうか。辞めるっていう。選択肢が見つからなかった。
……なんだろう。なんか俺自身に違和感がある。なんだろうモヤっとして、スゴく気持ち悪い感覚だ。
「やります。」
「ほう?いい度胸だ。では、決闘場へ来なさい。」
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歓声止まない。
「では、決闘を始める。両者左腕を。」
公爵様と俺の左手首を持つ形で結ばれた。
「では、ルールは、正式な決闘で行う。相手の左腕を先に切った方、または、殺した方が勝者だ。それ以外は、何でもありだ。」
魔法陣を教師が唱えた。
は?今なんて言った。
身体が身震いをする。それをアーサーは、見逃さない。
「クックック! 俺は、模擬決闘で負けたことがない! 知ってるか?お前の腕を切ったら、何でも一つ言うことをきかせる事が出来る。この左腕の魔法陣には、そう刻まれてある。」
ゾッとした。心配そうにジャンヌが見ていた。
そうだ何を俺は、考えているんだ。あんな院長や悪魔、残虐な決闘に喜ぶ観客そしてコイツ。この世界は、汚いんだ。俺は、ツバキ姉の時何も出来なかったからここにいるんじゃないか。死ねない! いや絶対に死なない!
俺は、またあの違和感に苛まれた。
なんだこの感覚は、クソっ! なんか敵が喋っているが、何も聞こえない。聞こえたのは、教師の「始め」合図で我に帰る。ヤバイ出遅れた。
「こい!エクスカリバー! 」
アーサーが武器を召喚した。
銃は、温存しておくべきだ。不特定多数が見ているし。俺は、短刀を持つ。
「そんなゴミみたいな剣で僕のエクスカリバーと戦おうと? クックック! 殺すか。左腕をぶった斬るか。僕の気分次第なんだよなぁ。いいんだよ。僕は、この場で這いつくばって、謝れば左腕だけで許してあげても。」
俺は、短刀を突き出す。
だが、エクスカリバーに易々と壊される。
「クックック。もう許さない。お前は、じわじわとじわじわと殺してやる。」
距離を詰め、俺の耳元で囁く。
「クックック。ジャンヌも君が死んだ後犯し尽くし、僕のお嫁さんとするよ。」
殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。
俺の中にある違和感が違和感でなくなった。と同時に意識がボヤッとする。
『装備生成ex』(エクスカリバー)
アイツの持つ剣をモチーフにして生成してみた。
「なっ! エクスカリバー!? なぜ貴様が持っている? 」
俺は、剣を振り抜く。だが剣に力を込めた瞬間俺のエクスカリバーは、爆散した。
「ちっ!俺が作るのには、強度足りないのか?」
「ひっ!…… え?ビビらせやがって! ぼっ僕の勝ちだ! クックック! 」
俺は、すかさずディアブロを出し、アーサーの右肩に撃ち込んだ。
「ひっあああああああ! 痛い! 痛い! 痛い! 」
「最初からこうすれば良かったのか。あははは。じゃあな。」
俺は、乾いた声で言う。
「ひっ!なんだその武器は! あっ悪魔。お前は、悪魔か? 」
悪魔?なんだ?俺が悪魔?頭が冴えてくる。
これは、俺がやったのか?前世は、平和ボケの日本人だった。この俺が?吐き気が襲ってくる。
「おえぇ。」
アーサーは、殺されると思ったのか小便を漏らしている。
「そこまででいいだろう。クランプス君。」
そこには、王がいた。
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