006 王都カテドラル学園
入学式当日教師が寮まで来た。
「君がアーレイ君だね。スキル二つ持っている人は、SクラスになるんだけどSクラス全員で宣誓を行うんだ。アーレイ君は、大人の事情で昨日の今日でSクラスに決まったから宣誓を口パクでやってね。」
「……え!? はい。分かりました。」
口パクって。まぁそれでいいならいいか。Sクラスか一番上のクラスってことだから皆に遅れないように頑張ろう。悪魔を殺せるくらい強くなってみせる。
もう何も出来ないってことがないように。
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入学式
カテドラル学園は、寮の横にある。城みたいな所だった。この城が学園だったのかよと驚きました。はい。
Sクラスの最前列最右翼に見たことがある女の子がいた。ジャンヌだ。序列順に席が決まっているので、平民の俺は、Sクラスで一番後ろだったから声をかけられなかった。
ボーっとしていると「気をつけ!」と怒号が響く。
王が入場するらしい。「捧ぁげぇ! 抜刀っ!」再び怒号が響き、先に入って来ていた近衛騎士たちが剣を抜き顔を刃で隠し、左手は、腰に当てている。
右手一つでブレずに剣を持つのは、近衛騎士が鍛え抜かれた精鋭という事だ。
入場が終わり、王が拡声器を手にした。
「Sクラス代表ジャンヌ・ダルク・グングニル!」
「はい!」
ジャンヌを順にSクラスが呼ばれていった。それにしてもあのアホ丸出しのお転婆娘は、どこに行った。
「アーレイ!」
「はい!」
「以上でSクラスの紹介を終わる。これを持って諸君は、学生の身だ。階級制度は、禁止とする。」
礼なしにジャンヌが
「宣誓! 」
後からSクラス総員で宣誓をおこなった。ウソ。僕以外です。すみません。
「ーーーーーーーーーー! ーーーーーーーーーーーーーーーーー! ーーーーーーーーーーーー!ーーーーーーーーーーーーーーーーーー! 」
正直口パクなんで、周りに申し訳なさしかないわ……
無事式が終わった。
「では、生徒は、各クラスに集合。」
厳格そうな教師が叫んだ。それを合図に緊張の糸が切れたのか。散々な事を言ってる。
「名だけ?平民だと! 」「なんてこと!? 私の方がSクラスに相応しいわ! 」「この俺が平民以下だと。」「でもちょっとかっこいいかも。」
気にしないように歩いていると
「アーレイ! 久しぶりだね。あの時聞いたことあるって言ったのは、お父様がSクラスに入れるって言ってたからなのね。一緒のクラス楽しみにしてたの! これからよろしくね。」
さっきのキリッとした少女は、どこに行った。
「よろしく。」
「えぇ! 感動の再開なんだよ! もっと喜んで! 」
君がテンション高すぎなんだよ!
愛想笑いをしてみた。うん。ご満悦のようでいらっしゃる。
「ジャンヌ。いや姫殿下そいつは、孤児院育ちの平民だ。しかも覇気のない顔をしてやがる。第9王位継承権を持つ君が仲良くしていい人間じゃないんだ。そうだね。僕公爵家長男アーサー・ペンドラゴンが相応しいと思うよ。」
ほっとけ。 昔から院長に夜遅くまで仕事をさせられてたから顔のクマが消えないんだよ!
「……殿下?」
「言ってなかったっけ?私のお父様は、王様だよぉ! 」
いやそんな可愛く言われても。
「というかあなた……だぁれ?」
純真無垢な可愛い顔で悪魔的発言をするよ。この子は、おもわず吹きそうになったろ!
「ぼっ僕だよ! パーティで良く一緒にいたじゃないか?」
笑うな。俺! 我慢だ。
「うーん。いっぱい囲まれてて分かんない。ご飯食べられなくて、嫌だったんだ。」
ご飯のが優先って食い意地張りすぎだろ。その他大勢らしいですよ! 公爵様。
「っぷ。ははっ! 」
「えー?私なんか面白いこと言った?」
ミスった。ゆっくり公爵家ご長男様の顔を見る。
そうですね。えぇ! そりゃそんな顔もしますわ。
端正な顔付きが、くっしゃくしゃになっておられる。
「決闘だ! 平民如きが序列二位のこの僕を笑うとは、いい度胸だ。今すぐだ!」
王様が階級制度禁止するって言ったばっかなのに。
やっぱ根付いてるよなぁ。
「おい。貴様ら各クラスに行けと聞こえなかったのか?」
あの厳格そうな教師が割り込んできた。
ありがとう。顔怖いけど。
イケメンを敵にしたい傾向があります。個人的なものは、一切ございません。
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