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002 チートスキル

胸糞悪さ注意です。

次の日の朝。


朝食の時間だ。

皆、黙々と食べている。会話をすれば、脱走の意志ありと見なされるからだ。つくづく嫌なところだ。


食器を洗っていると、この孤児院で一番年長のがツバキが話しかけてくる。東洋系の顔立ちで日本人っぽい。

お姉さん肌の面倒見のいい人だ。

みんなこの人の事が好きだ。記憶がハッキリする前の俺も好きだった。


「今日は、スキルを授かる日だね。いいスキルを貰えたらいいね。」


「うん。ツバキ姉を楽できるよう頑張るよ!」


すると寂しげな表情しながら、笑った。


食器を洗い終えると、院長に連れられ教会へ向かった。


「おい。スキルが良ければうちに残すが、クソスキルならわかっているよな。」


「はい。院長。」


良かろうが悪かろうが出て行くけどな。

誰がこんな所で暮らすかよ!


教会は、質素なものだが美しかった。


「これはこれは神父様。本日はよろしくお願いします。」


「うむ。孤児院の子らは元気かな? 院長。」


「はい。うるさいくらいでございます。」


無駄口ひとつ許さないくせに、何がうるさいくらいだよ。これに比べると神父はいい人そうだ。


「では、早速お願い致します。」


「うむ。では、スキルの恩恵を。」


神父がそう唱えると俺の体が光った。

脳裏にスキルの名前が流れる。


スキル 天魔生成ex

スキル 次元収納ex

スキル 装備生成ex


「どうじゃ? 何か頭に聞こえんか? 普通は一つしか得られないのじゃが、稀に二つ授かる者もおる。そのスキルが良いものならば、王都の学校へも行けるのじゃ。」


王都の学校か。ここよりマシか。

天魔生成とかexとか、正直に言ったらやばそうなのあるしな。


「二つです、神父様。スキル収納と装備生成です。」


「なっなっなんと! 早速使ってみるのじゃ!」


『装備生成ex』(短刀)


掌が光る。握ってみるとそこには短刀があった。

短刀を収納してみる。


『次元収納ex』


短刀が消えた。


「……すっ素晴らしい! 君は、王都に行くべきじゃ! ワシが推薦状を書こう。」


「なっ! こいつが……。」


おっしゃ! 王都に行ける! あばよ!

院長の顔を見てみた。


……顔が驚きと憎しみで一杯だ。それもそうか。今まで下に見てた者が、スキルを二つも持っているのだ。


「君の名前は、なんだったかな? 一週間後にでも出発させるよう整えておく。」


「アーレイと申します。推薦ありがとうございます。」


「では、楽しみにしておれ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


孤児院に帰るとアーレイを部屋に閉じ込め院長は、ツバキを防音の懲罰室へと連れて行った。


「こっちに来い! クソガキ! 今日は、タップリ可愛がってやる! ぎひひ。」


「やめっ! ああぁあ!」


ツバキの服を乱暴にひん剥いた。

他の子供に手を出さないという約束で、定期的に犯されているのだ。


「っち!この俺が犯してやるってんだ。嬉しそうにしろ! お前はガキのくせに、体つきだけはいいじゃねーか! ぎっひ! この仕事も、こうゆう時だけは悪くないぜ!」


あぁそうだ! 俺は皆に尊敬されなければならない! 俺様がこんなゴミダメで仕事をしてやっているのだから!

このくらい当たり前だ! くっくっく!


昔の俺は貴族生まれの神童と呼ばれ、女にはモテるし誰からも尊敬されていた! 次の勇者は俺だと皆が言っていた。だがスキルが授けられなかった! 何故だ! あぁ。神よ! 何故なのだ!


だがもういい。神なんか信じない。薄暗い部屋の隅で縮こまるツバキにギラついた目で歩み寄る。


【いい趣味してるな。】


突如、密室に声が響く。


「だっ誰だ!? アーレイか!? くそ舐めやがって! 出てこい! このガキがどうなってもいいのか!」


あたふたと周りを見回す院長。部屋の闇がどろりと溶けるように蠢き、哀れなツバキの元に集まる。


【アーレイ?違うな。我が輩は、悪魔である。頭を垂れよ。】


力を増すその声に、院長は無意識のうちに頭を垂れていた。部屋の隅では闇がツバキの足元から体を覆うように這いまわり、やがて口から、鼻から、耳から、眼窩から、ありとあらゆる穴から彼女の体内を侵食する。ツバキはもう悲鳴を上げることすらできない。


【貴様の憎しみは、いい感じに熟しておるな。どうだ? 私が『支配』の加護を与えよう。】


室内に響く力ある声は、いつの間にか妖艶な女を思わせる声質で、部屋の隅から聞こえるようになっていた。


「そっそれは、スキルでありますか?」


【そうだ。不満か?】


「滅相もございません。あぁ! やっと私に与えて下さるのですね! 神よ!」


【神ではないのだがな。自己紹介をしてやろう! 我が輩は七つの大罪が一人。『傲慢』の堕天使ルシファーである! 人間、貴様は我が輩が魔王になった暁には、我が右腕としてやろう。そしてあの憎き神を!】

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