表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/33

001 転生先は、セミ?

俺は、転生した。と思う。


先程、自称神の人が、(俺にとっての)異世界に転生しなきゃ、次はセミになるって言ってたからなぁ。


人気ないんだってよ。魔物がいる世界は……

「この世界はスキルがあるから、このガチャを3回引いてね」って神に言われたけど、中身見してくんなかったな。何が入ってたんだろう。まぁ別になんでもいいけど。セミじゃなかったら、人に生まれるんなら・・・


やっぱうそ! なんでもよくない! 転生した瞬間、10歳位になってるのはいいんだけど、この修羅場は何よ! いきなりはぐれゴブリンが目の前にいるんですけど!


「なんなんだよ! ちくしょう!」


俺は腰にさげてあった短刀を抜き、正眼に構えた。


相手のゴブリンは、嬉しそうだ。

いかにも格好のカモだもんなぁ! だけどタダでは死なんぞ、クソゴブリン!


地面に落ちてた石を投げつけた。


「ギギ!」


ゴブリンは、難なく躱す。だがあちらもこちらに近づけないようだった。


「あはれ《当たれ》!うほほふひん《クソゴブリン》!」


短刀の柄を口に咥え、右手に石を持ち左手に落ち葉を掴んだ。


「ひ《死》ね!」


右手の石を投げゴブリンが避けた方向に一気に距離を縮め、落ち葉と土が入り混じった物を投げつけた。


「ギギァァア!」


すると土がゴブリンの目に入り、目を眩ませた。


「うぉぉおおお!死ね!クソ!死ねぇ!」


「ギギ!ッグッグァァアアアア!……」


目を眩ませたゴブリンの首を、動かなくなるまで滅多刺しにした。


日本ではまるで縁のなかった、命を賭けた決闘に我を忘れていた。不思議と恐怖が湧かなかったのが何とか戦えた理由だろう。


「へっへへ。やったぞ畜生!」


今になってやっと体が震えてきた。


とりあえずこんな所に居たくないから、ゴブリンの戦利品を頂戴して帰ろう。


ゴブリンの棍棒

ゴブリンの首飾り

100カパー

カバン

白い卵


こんなまっとうなカバン、ゴブリンなんかに作れんのか?

さては人を襲った時の戦利品だな。


あとこのカバンの中、パンパンの白い卵はなんだよ。デカすぎるだろ。重いし。


なんでもいいけど、さっさとトンズラしよう。


俺は、なんか孤児院にご厄介になってるらしい。せっかくの戦利品が没収されそうだから、近くの小さな洞穴みたいな場所に隠しておいた。


前世の意識がハッキリと戻る前の俺が、今世の知識と技術をつぎ込んで作った秘密基地だ。よくやるよなぁ。今世ガキの俺も。歩きながら、前世の俺と今世の俺がひとつになじんで行くのを感じる。先ほど、急激に記憶が戻ったので、まるで長い夢から覚めた時のように脳が混乱していたが、もうすっかり俺は、俺だ。セミなんかじゃない!


「ただいま帰りました。院長。」


出迎えるのは、顔だけは爽やかでイケメンな院長だ。


「おい。薬草は、どうした?」


「取りに行った途中でゴブリンに襲われました。」


「ちっ! 使えねぇな! ゴブリン位でガタガタ言ってんじゃねぇよ!」


院長は、思いっきり腹部を殴ってきた。


「ぐっ! ぐはっ! はぁはぁ……すみません院長。」


「っち。明日お前は、スキルの鑑定のため神父様に会わなければならねーからな。これぐらいで勘弁してやる。ただ明日が過ぎればわかってんだろうな!」


スキル鑑定には銀貨5枚。孤児の俺には到底出せない金額が必要だ。

だが孤児院で11歳を迎えるものは、タダでできる。


「スキルもらったら、もうこんなとこに用はねーよ。」


俺は小声で決意した。


元SPは、転生しても戦闘服は、スーツのようです。


こちらも応援お願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ