勇者になりたいんだった
なんて、テレビCMを見てる少年がいた。
少年の名は『コウ』。
15歳。
彼は15歳になり神の加護を先日受けた。
この世界では齡15歳になると、教会で神の加護を受ける事になっていた。
その際、神よりその人に合った武器……通称『神具』が与えらる習わしになっている。
神具はその人、本人と言っても過言ではなく。
剣であればその剣の持ち主が死ぬまで刃が零れる事もなく、折れる事もない。
そして、その持ち主がレベルアップすればその神具もレベルが上がる。
正に、一心同体と言ってもいい物だ。
「勇者かぁ〰️あこがれるな〰️」
テレビの前でほんわかしている。
しかし、すぐに現実に戻る。
「……なんで…… なんでオレの加護が輪ゴムなんだぁああ!?」
突然、泣き叫んだ。
「神様よ〰️ オレが何か悪い事でもしたのですかぁ〰️!? 未だにかつて輪ゴムが神の加護でもらったなんて聞いたことないですよ〰️!! こんな神具じゃ、いいところ固くて開かない瓶の蓋をあけるくらいにしか役に立たないのではないでしょうかぁ〰️!?」
1人で天井に向かって叫ぶ。
「オレは今日まで勇者教習所に通うために、昼は24時間開いている道具屋で、早朝には新聞配達……夜は酒場の厨房でアルバイトしてやっとの思いで貯めた入学金を……まさか、輪ゴムで諦めろと言うのですか!?」
正に、この世の終わりかの様な感じで倒れ込む。
「……とりあえず…… 教習所…… 行こう…… そうだ…… 勇者教習所に行けば何か変わるかも…… しれない…… オレは…… 勇者になりたいんだった……」
コウはフラフラしながら、勇者教習所へ向かう。