一話
初投稿で拙い点ありますが読んでいただけると幸いです。
「おめでとうございます!神の門通過者、通算1000人目に選ばれました!」
「へ?」
ただただなにもない、白いところにいた。上を見ても横を見ても、壁や天井が窺えない。
だが不思議と、水の音が流れていた。
そんな、あり得ないような空間に佇む、目の前の少女。
見た目年齢はかなり若いが、白銀の髪の毛と、深い赤色の瞳が、現実離れした美貌をあたえている。
いまだついていけない私を放置して、目の前の少女はかまわず続ける。
「つきましては、ボーナスをお付けして転生することができますよ!やったね!」
意外にテンション高いなって、えっ!?
「って、転生!?」
「はい!」
少女は、嬉しそうに答えるのであった。
なぜこんな会話が繰り広げられたのかというと、不幸な事故がきっかけである。
とある会社のOLだったその女性は、接待飲み会の帰り道、通り魔に襲われ人生の幕を閉じられてしまう。享年34。.....独身。
.....という前世だったので、次の人生は前世でできなかったことをしたい。
たとえば、魔法使って世界を救ったり。
たとえば、神様として降臨して崇められたり。
.....後者は冗談にしても、夢のような話を持ちかけられた彼女はそれに食いついた。
前世にやり残すことは.....ないと言えば嘘になるが、それよりも目の前の話の方がずっと魅力的だった。
「お願いします、お願いします!次も女性がいいです!できたら魔法のある世界で令嬢したいです!お願いしますっ!」
という気迫のこもった願望に少女は気圧されたのか、たじろきながらも「は、はい」と答えた。
「で、では、早速ですが、転生させていただきますね。.....どうか、良い人生を.....」
少女がそう言うと、少女と私との間に魔方陣のようなものが現れる。
わくわくした気持ちは抑えきれないが、一応、聞いておきたいことがあった。
「あの、もちろん、記憶ってぶっ飛びますよね?あんな職場のことを記憶に背負いつつ人生歩みたくないんですが」
「ああ、もちろん、消えますよ!大丈夫です。他になにか聞いておきたいことはありますか?」
「ないです!」
私は清々とした気持ちで答えた。
少女はにっこり微笑み、
「では、そこの門の中に入ってください」
門に入るように促す。
期待感を隠さずにうきうきとした足取りで門に入ると──。
「ぬわっ!?」
視界がまばゆい光に包まれ、ぼやける。
ついに転生みたいだ。わくわくすっぞ!
ボーナスがうんたら言っていたので、あり得ない能力とか、才能とかあるのだろうか。
考えただけでもわくわくする。
あんなバーコード上司のことは忘れて、次の人生楽しもう!
──そう願った彼女の願いは、果たして果たされるのであろうか。