4.中身は女、キャラは男
ドラクエ10はオンラインモードを始める際、種族とその外見を形作るキャラクターメイキングを行う。
オーガ、プクリポ、エルフ、ウェディ、ドワーフ、目覚めし5つの種族からリオさんが選んだのはウェディだった。
そして彼女はウェディの性別を男にした。
中身は女だが、ゲームのキャラクターは男。
中身がおっさん、ゲームのキャラクターは女という逆のパターンはよく聞くが、どうして女性なのに男のキャラクターを選んだのだろうか。
「なんでウェディの男にしたのか、実はよく覚えてないんですよ。
たぶん自分の身長が高いので身長が高めの種族にして、性別を男にしたのはオンラインゲームだから男にしてみたら面白んじゃないかなと考えたんでしょうね。
それをおもしろそうだと見ていたうちの主人は、エルフの女で始めました。エルおじってやつですね。(笑)」
友人に二度背中を押されてようやく始めたドラクエ10のオンラインモード。
やはり最初のうちは少し画面に酔うこともあったそうだが、慣れていくとともにオンラインゲーム特有の魅力に取り憑かれていった。
自分の周りで動いているキャラクターたち。
その操作をしているのはどこかに住んでいる別の誰か、そんな沢山の人たちと今この瞬間に同じゲームをしている―
そう思うだけでリオさんはドラクエ10を楽しむことができた。
リオさんからこんな初期の思い出を教えてもらった。
「ストーリーを進めていて、最初の村から次の町に向かう途中、強い敵に遭遇してしまい、全滅の危機になったことがありました。
そのときに、偶然通りかかった人が応援をしてくれて、万が一全滅したときのために戦闘が終わるまで、見守っていてくれました。
なんとか戦闘が終わって、お礼を言いたいのに、当時の私はキーボードもなく、定型文の存在も知らなかったため、『ありがとう』を打つのにもとても時間がかかってしまいました。
それでも、その方は私が何かを話そうとしているのを待ってくれて、ゆっくり拙い会話に付き合ってくれました。
その後、フレンドになりたいけれど、どうしていいかわからず、いいね!を何度かしたところ、その方の方から『フレンドになりましょうか』と言ってくださり、めでたく初めてのフレンドができました。
その方とは、初期のストーリーを一緒に進めたり、公式サイトに便利な情報が載っていると教えてくれたり、スキルの振り分け方を教えてくれたり、本当にお世話になりました。
オンラインゲームは抵抗あったけど、初めてのフレンドさんがとてもいい人だったので、こうしてハマってしまったのかなぁと思いますね(笑)」
始めたころに良いフレンドさんに出会ったことで、リオさんは毎日の冒険が楽しくなってきた。
暇ができるとWiiの前に座り、ドラクエ10を起動するという日が多くなってきた。
また、リオさんの少し後を追ってご主人もエルフの女になってオンラインの世界へ飛び出してきた。
規約的に少し微妙な部分もあるが、同じアカウント内のキャラクターを交代しながら仲良く遊んでいたという。
交代で遊ぶといってもプレイ時間の割合はリオさんとご主人で9:1程度。
プレイ開始時以降からドラクエ10は殆どリオさんのためのゲームといってもよかった。
「ちなみにドラクエやっていた主人なんですが、そのあと結構早い段階でドラクエをやめちゃいまして……
はい、持ってるゴールド全部使った錬金が大失敗してやらなくちゃったんです。
それから主人が使っていたエルフのキャラクターも私が使っています。」
早い段階でドラクエから離れてしまったご主人、これが後にリオさんの家庭崩壊危機へとつながっていくとはまだ知る由もなかった。